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お仕事をしよう

「Rがユークリッド環であるならばRは単項イデアル整域である。それは……」


 黒板に書かれた内容が消えて次の定理の証明が始まる。なんだ。このメガネは何を言っているんだ。ものすごい速さで定理の証明がなされていく。雑な説明。適当な板書。書かれた内容を書き写すのがやっとで内容の理解は二の次になってしまう。

 4年生の代数学を担当する教授は公平が苦手とする人だった。1年生の前期、彼は極限や微積分の授業を担当し、やはり雑な説明を行い、やたらと難しいテストを作り、入学したての学生たちのことごとくにC判定を付けトラウマを与えたのだ。


「これは数学か?」「数が出てこないんだけど」「ε-δって結局なんだったの」「上限とか下限とか意味が分からない」「連続ってなに?」etc……etc……。


 公平も同様に沼に嵌り、2年生にあがる頃には見事に数学嫌いの数学科学生となっていた。苦手意識が解消したのは3年生の時の位相の授業である。たまたま何かの歯車が噛み合って、たまたまそれまでやってきたことが急に理解できた。おかげで公平は学費を免除してもらえるくらいには成績のいい学生になったのである。エックスが来てから若干忙しくはなったが、それでも昨年の数学専門科目の成績はオールSだったので、十分以上に優秀である。

 卒業できるだけの単位はある。そもそも彼の専門は代数ではなく解析学だ。代数の授業の単位なんか無理に取る必要はない。別にいい成績を取らなくたっていい。しかしだ。


(ここまで来たら止めてられっかよ!俺にだってプライドがあるんだよ!)


 鬼気迫る表情で板書を続ける。出来る限り数学の授業を受け、学費免除してもらえるだけの成績を維持する。公平の誇りの一つ。今は高校生の頃よりずっと数学が好きだった。ここで負けたくない。

 隣に座る田中はとうに諦めて眠っている。腹立たしいのはこの男、公平のノートをコピーして分からないところは公平に聞いて、それで単位だけ貰っていくつもりだということ。いつかバチが当たれと願う。


「これでこの定理は証明されました。……続いて補題ですが」


 ちょっと待って!心の中で悲鳴を上げる。


------------------------------------〇-------------------------------------


 授業の終わりを告げる鐘の音。教授は黒板に書かれた羅列を消し始めた。公平は疲れきっていた。今日もやり切った。今日も乗り切った。自分で自分を褒めてやる。隣で田中が顔を上げ、大きく伸びをする。


「終わった?メシ行こうぜ」

「お前……。今回ばっかりは絶対ノート見せないからな……」

「まあまあ。いいじゃんいいじゃん。同じゼミのよしみでさ」


 公平と田中は同じ教授のゼミを受講している。内容は解析学……さらに細かく言うと確率論だ。

 本当は複素解析のゼミをやりたかった。しかし今年度で専門の教授が退職してしまったので、渋々田中と同じゼミを選んだのである。


 学食は学生でいっぱいだった。長蛇の列の最後尾に立ち、スマホを眺めながら時間を潰す。公平は気にしてはいないが、彼はちょっとした有名人である。エックスとの関係性も、あり得ない宝くじの当たり方をしたことも少なくない数の学生が知っている。


「そういや。今日エックスさんなにしてんの」

「うん?仕事だよ」

「仕事?」

「ああ。多分そろそろかな……」


 公平のスマホが着信音を流す。テレビ電話だ。通話を開始すると画面の向こう側でエックスがニコニコ顔で手を振っていた。


『やっほー』

「やっほー」


 田中は一瞬顔をしかめた。画面の端に、小さく建物が写っているような。


「この人今おっきいのか。でもこの人スマホ使ってるんだよな……?」

「うん。ああ、一緒にスマホも大きくしたんだよ。一台エックス用に買って」

「へえ……」

 

 よく分からないけれどそんなもんかと思う。エックスは田中がいることに気付いて声をかけた。


『あー田中クンだ!久しぶりー』

「ああ。どうも。なんかお仕事されるとか?」

『そうそう!見てこれ!』


 じゃーんと言いながら。しかし画面に変化はない。画面にエックスの顔が映っているだけだ。田中は困惑した。


『……あれ?変わってない?えーっと。どうするんだっけ。どうやってこっちのカメラに切り替えるんだ?えーっと。えーっと』


 ああでもないこうでもないとスマホを弄るエックス。しかし画面は切り替わらない。困り切った顔であちこち弄る姿だけが映っている。


「エックス……。まだ慣れてないのか」

「あの……やっぱいいです。なんか大変そうだし」

『だ、大丈夫だよ!けど、まあ。今日はちょっとスマホちゃんの調子が悪いみたいだ……』


 スマホのせいにする嘘を吐く。公平は苦笑いした。


『し、仕方ないね……!』


 画面に映るエックスは下を向いた。ぞくっと、公平の背筋が凍る。なにか来る。咄嗟に天井を見上げた。裂け目が開いている。向こう側に見えるのは青空と緋色の瞳と、それからこちらに迫りくる巨大な指先。


「う、おおお!?」


 田中が慄く。周囲で悲鳴が上がって人が離れて行く。緋色の瞳が悲しそうにした。


『ゴメン……』


 スマホから声が聞こえる。二人がこんなに人の多い所にいるとは思っていなかったのだ。

 やってしまったことはもう仕方がないので、そのまま手を伸ばして、公平と田中を捕まえて攫っていった。残された学生は茫然と青空の見える天井を見上げている。緋色の瞳が覗きこんだ。小さな悲鳴が上がる。瞳はしゅんとした。裂け目が閉じていく。


「騒がせてごめんなさいっ!」


 最後にそう言い残して。


------------------------------------〇-------------------------------------


「あんなに人がいるならそう言ってよお!」

「あんな無茶苦茶するなんて思わないよ!」


 言い合う二人を田中は見つめていた。平静さを装いつつも内心はらはらしている。今、エックスの手の上にいるのだ。高度100m近くの高み。それだけの背丈の巨人の手に載せられている。

 もしも。もしもほんの少し彼女が機嫌を悪くしたら。その気になれば簡単に二人とも殺される。ちょっと手を傾ければ落ちて死ぬ。ちょっと手を握ってしまえば潰れて死ぬ。ふうと息を吹いたら吹き飛ばされて死ぬ。知らない相手ではないけれどちょっとだけ怖かった。

 そんなことが出来るエックスに公平は平然とやり取りしている。すごいんだかただのバカなんだか分からない。そう思っていると彼女の指先がずいっと伸びてきて押し付けてきた。


「どうだっ。このっ。ぐりぐり」

「うわーっ。卑怯だぞ!やめろーっ!」


 喚く公平を横目に見て、やっぱりただのバカだと思った。田中はエックスを見上げる。


「あのー」

「ぐりぐりー。うん?なあに?」

「それでー、俺たちなんで呼ばれたんッスかね?」

「ああ。そうだったね。ゴメンゴメン」


 エックスは公平から手を離した。彼はふうと息を吐き、身体を起こす。頑丈な男だ。

 彼女は握った右手を口の前に持っていき、コホンコホンとわざとらしく咳払いした。そして。


「お披露目だあ!じゃーん!」


 くるりと身体の向きを180度回転させる。相変わらず二人はエックスの顔を見上げているので、何が何だか分からない。


「う、後ろ。後ろ見てっ」


 言われるがままに振り返る。彼女に見下ろされる形で大きな建物が聳えていた。


「あ、石和田ホテルだ」


 田中が呟いた。

 石和田ホテル。K市内にある廃ホテル。80年代には観光地として栄えたK市だったが、時代の経過とともにブームが去り、経営不振によって倒産、金銭的な理由で取り壊すことが出来ず、今に至る。

 ぱっと見の外観はそこそこ綺麗なのだがよくよく見ると無造作に草木が伸びていたりあちこち亀裂が走っていたりして一切手入れがなされていないのが分かる。


 エックスは時々建物の解体を引き受けていた。しかしそれは霊的な被害のせいで工事会社が手も足も出せない案件だけ。純粋に何でもない普通の廃墟を壊すことになったのは今回が初めてである。

 彼女に依頼が回ってきたのは一週間前。スーパー小枝でその日のおかずであるエビチリの材料を買いに行った時だ。


「このホテルの持ち主は小枝の店長さんの友達の石和田さん。たまたまその日お買い物に来てて……」


 石和田は石和田ホテルの老朽化が進んでいること。突然建物が崩れたりしたらどうすると近隣住民から苦情を受けていること。しかし資金が無く取り壊すことが出来ないことを店長に話していた。解決できそうな困りごとが聞こえてきたので、エックスは勇んで二人の会話に入り込んだ。


『それならボクが壊してあげましょうか?もちろんタダじゃないけど、格安で!』


 どうせどの業者も手が付けられない案件だ。それなら自分が引き受けてもいいだろうと。友達の友達ということで、特別価格で引き受けた。他の業者では絶対に出せない金額である。火薬も重機も使わない、自分の身体一つで取り壊す彼女以外には不可能だ。

 解体当日から三日前にエックスは一度現場に赴いた。目的は近隣住民への連絡である。

 空からやってきて、地面を揺らして降りたつ巨人の姿を皆が不安げに見上げた。周囲の家々から住民が見上げてくる。却って都合がいい。エックスはコホンと咳払いして、すうと息を吸いこんだ。


「K市の皆さんこんにちは!ボクはエックス!異世界から来た魔女です!三日後の12時ごろにこの石和田ホテルを取り壊しに伺います!近隣住民の皆さま、一応気を付けてはおりますが、念のため当日は半径二キロ圏内には立ち寄らないでください!」


 言い切ったエックスはやり遂げた満足感でほうと息を吐く。再び浮かび上がると。「それじゃあよろしくー」と言い残して飛び去って行った。

 突然現れて訳の分からないことを宣い去っていく巨人。K市民はなんだかよく分からないまま、日常生活を再開した。よく分からないことがよく分からないままに終わったのだとどこかで思っていた。しかし三日後の12時。当然のようにエックスは再び現れた。


「来たよー。って、誰もいないんだっけ。……おや?」


 不思議そうに首をかしげて、周囲の気配を探知して、そしてムッとする。


「なんでまだ残ってる人がいるのかな?」


 その声に、石和田ホテルから半径二キロ圏内にいる人々の背筋が凍った。エックスはホテルの敷地内に降りて背筋をピンと伸ばして立ち上がる。腕組みをしながらちょろちょろ動き回る人たちを見下ろた。


「……仕方ないな。あんまりやりたくなかったんだけど」


 そう言うとぱちんと指を鳴らした。同時に指定区域内の人間が全員消失する。事前に用意したK市を模した箱庭に丸ごと移動させたのである。これは殆ど誘拐だ。出来れば住民たちの意志で離れてほしかったのだが。


「ま、仕方ない。あっ。そうだ。公平に電話しよーっと」


 そして。今に至る。


------------------------------------〇-------------------------------------


「あとは壊すだけってことか。……どうやってですか?」

「そりゃあもう。踏みつぶすのさ。ぐしゃぐしゃあって」


 石和田ホテルは一度は栄えた大型ホテル。エックスの膝よりほんの少し高い。


「踏みつぶすってなったら結構大変ですね」

「それがそうでもないんだな。そうだろ?」


 公平の言葉にエックスはにっこりして頷く。かと思うとゆっくりと空にあがっていった。

 左手に載せた二人を落とさないように、右手で軽く覆う。田中は隙間から下を見下ろした。高度200m、300m、400m。どんどんどんどん地上が遠くなっていく。人体で作られたエレベーターが空へと運んでいった。


「よおし。これでだいたい1.5kmかな?」


 そこでエックスの上昇が止まる。かと思うと、彼女の身体がカッと輝いた。


「今のままでは一気に踏みつぶせないっていうのなら──」


 手の平の上の面積がどんどん広がっていく。公平と田中の距離が離れて行く。


「大きくなればいい!」


 田中は咄嗟にエックスの手にしがみついた。彼女の右手が守ってくれているとはいえ、なんだか振り落とされそうな気がした。

 エックスはそんな様子を感じ取った。なんだかおかしくってかわいらしい。一方で公平は平気な様子である。最近ずぶとくなってある程度のことは受け入れるようになっている。田中の反応の方がちょっとだけ新鮮だった。もちろん、公平ほど慣れた相手ではないのでイジメたりはしないけれど。

 空間の拡張が止まった。天井が離れていき、光が差し込んでくる。冷たい風が吹いた。


「す、すご……」


 広がった手の平からエックスの顔を見上げた。エッヘンと言わんばかりの得意げな顔がいっぱいに広がっている。先ほどの十倍。およそ1kmの大きさまで巨大化してしまった。

 田中は唖然としていた。魔法が使えるのは知っていたけれど、ここまで滅茶苦茶なことが出来るなんて想像していなかった。公平が全くもって平然としているのも意味不明だった。


『どう?これなら足を下すだけで踏みつぶせるでしょ?』


 頭の中でエックスの声が響く。


「声を出すと吹き飛ばすかもしれないからさ。これくらい大きくなったときは念話を使うんだ」


 公平が解説してくれる。見上げたエックスの表情はどこか困ったような照れ隠しのような笑い顔。田中は引きつった顔で苦笑いした。


『じゃあいくよ』


 エックスの身体がゆっくりと落ちていく。万が一にでも二人を振り落とさないようにと慎重に。他の建物に傷つけないように設けた500mのインターバルを下降していく。右のかかとが石和田ホテルに到達する。そこで一度浮遊の魔法をかけなおしてとどまった。右足だけホテルの屋上についていて、左足は浮かせている状態である。

 エックスの魔法の範囲外にいた市民は、どこからでも1kmの巨人を見ることが出来た。まるで山のようで、山のようにおとなしくはなく。ふとした気まぐれでその力が向けられるのではないかと気が気ではなかった。


『よし。最後に念のためチェック』


 今日、最初にここに来てすぐにホテル内に人がいないかは確認した。いつどこかが崩れてもおかしくないボロボロの建物だ。廃墟探検に来るような者も住み着いている者もいなかったが念のためだ。

 万が一誰かが居てもエックスは内部の人間を一切傷付けることなくホテルだけを踏みつぶすことが出来る。ただ彼女は自分の力をあまり信用していないので、最終確認はしっかりと行う。魔力探知とキャンバス探知がホテルを包んだ。


『……よし。やっぱり誰もいないね。行きまーすっ』


 浮遊の魔法を少しずつ解除し、徐々に徐々にと落ちていく。100m強の足が朽ちたホテルを砕いていく。周りに破片が飛んでいかないようにと慎重にしているだけなのだが、結果的にはいたぶるようにして、一つまた一つと階層を踏み抜いていく。

 和室も客室も踏みつぶした。客人に素敵な料理が提供されていたレストランも踏みつぶした。旅行客の心と身体を癒した温泉も踏みつぶした。かつて栄えていたころの営みも廃虚になって侵入した何者かの痕跡も関係ない。巨人の足は全てを一緒くたにして、何の感慨もなく、そこにあった記憶ごと蹂躙していく。

 地面に着いた瞬間にK市は大きく揺れた。ホテルのあった場所には代わりにエックスの脚が聳えている。最後に。巨人の足はとどめを刺すかの如く動き回り敷地内全域を踏みにじっていく。


「あ、そうだ」


 ふと思いついたように言う。4文字しかない声は市内に響き渡り、その勢いで公平と田中は転がされた。幸い彼女の手は広いので落ちることはなかったが。


『あ、ごめん』

「お、お前な……!」

「気を付けてくださいよ……」


 エックスはクスっと笑って、二人のすぐ目の前に裂け目を作った。


『通ってほしいな』


 彼女のお願いに従い、公平と田中は裂け目を進んでいく。その先はホテルの敷地のすぐ前である。二人は聳え立つ巨大な足を見上げた。


『どう?おっきいでしょ?』


 もう一度、足をぐりぐりと動かして、その力を見せつける。エックスは二人の位置を正確に把握しているので、ぶつかることはない。しかし100m以上の大きさの足が動いた勢いと、それにより引き起こされる風圧は多少なりとも彼らの身体を震わせた。

 この足が全てではない。その遥かな上方には、この足の主が見下ろしている。1kmの巨人に存在を認識されている。相手がエックスでなければ発狂していたかもしれないと田中は思った。


「取り敢えず撮っとこ」


 田中はスマホを取り出してエックスの足がホテルを踏みにじるさまを動画に撮った。こんなもの滅多に見られるものじゃない。貴重な映像である。


「……お前結構余裕あるな」

「お前ほどはねえよ」


 その後エックスの巨体は浮かび上がって、足も離れていく。再び500mほどの高さに登っていった。あとに残されたのは圧縮されて粉々になった瓦礫だけである。上空の巨人は真下に指先を向けた。敷地内に真っ黒な穴が開いて瓦礫を吸い込んでいく。


「『未知なる虚空』か」

「ブラックホールみたいだ」


 エックスの魔法の一つである。この魔法は全能の力を得てからは更に精度が上がって、任意の相手だけに干渉するブラックホールに進化した。お陰で公平や田中や、他の家々に影響せずに瓦礫だけを吸い上げることが出来る。

 撤去作業が終わった後には何も残らなかった。地面の下には建物の基礎が残っているのだろうが、それは対象ではない。今回の依頼はあくまでも「崩れそうな石和田ホテル」の破壊だけだからだ。

 エックスは元の大きさに戻って、地面に降りてくる。石和田ホテルがあった場所に着地した。


「……と、まあ。こんな感じのお仕事でした!どう?ボクも結構やるでしょ?」


 得意げに胸を張るエックスを田中はぼんやり見上げた。ここまでで一時間もかかっていない。自分たちに自慢するようなことをしなければもっと早く終わっていたと思う。


「これでいくらになるんです?」


 田中の問いかけに、エックスは斜め上を見るようにして記憶をたどる。あんまり興味はなかったからすぐに思い出せなかった。


「えーっと。たしか二十万円」

「二十万円」


 恐らく知り合いのツテということによる超超良心的価格。価格破壊を起こしかねないレベルだろう。当然だが彼女は賢いのでその辺りのことも分かっているはずだ。次に依頼があっても受けないだろう。少なくともこの価格では。

 もったいない。田中は思った。このスピードで僅かなゴミも残さずに解体を終わらせてしまった。その気になれば基礎まで破壊した完全な解体も出来る。これなら相場の3倍、いや5倍の価格を提示したって需要はあるんじゃなかろうか。それなら他の業者ともすみ分けできるだろうし……。


「そうか!」


 はっと思いついて、公平に向き直る。


「なあ」

「うん?」

「大学辞めてさ。会社やろうぜ。解体業。お前が社長で俺はナンバー2でいい。で、エックスさんに建物ぶっ壊してもらうんだ」

「人の嫁を重機扱いすんなっ!」


 公平は憤慨した。

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