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「こんにちわーす。義兄さんは今日休みなんですか? 姉さんいます?」

「やあ、クリス君。セレスなら奥にいるよ」


 義兄のアレンさんはギノス種族の中でも性別に拘る異端な俺に好意的で、両親を説得してくれた学び舎の先生である。

 姉が嫁いでから姉が俺に理解があったのは、義兄に相談して距離を縮める為なんじゃないか?と思うようになった。


「あっ、これ魔法触媒に使えるかもしれないのです。解体で出た端っこなんで授業にでも使ってください」

「一応先生だから寄付でも学長に渡してほしいんだけどね?」

「ウチの一家は俺が最年少っすよ。学長って言っても全員合わせて100人もいないし、近所のじいちゃんばあちゃんが教えてるんだから、そこまで気にしなくてもいいんじゃないですか?」


 古代文明が何故滅んだなんて、諸説あり過ぎて手を付けられないが、災害なのか魔物なのか?とにかくそれらから何世代もかけて逃げて来たと伝えられている。そのせいなのか、文明の発展がいびつに感じる。


 1つ、化石燃料に頼らない。

 同じ種でも個体差が激しいのはわかるが、液体燃料なら均一と言わないまでも適度に混ぜて使えるはずなのに、それを利用する文化が伝わっていない。

 1つ、移動手段の発展が異常に低い。

 生活に必要な火や飲み水に関係する道具はそれなりに揃っているが、移動には馬車や竜車など、動力が生物の道具が多い。魔力から火など、変換しているのが多々あるのに、魔力から動力への変換の機構が単純で。そこだけ世代が遅れているように思える。


 他にも通信設備が限られてる。

 ここより大きくて古い街に通信施設があり、同じ時代に造られた街と通信できるが複製できていない。これは移動手段もそうだが、使用可能な状態で出土された事がない。

 移動手段なら陸海空それぞれ形状が違うのでソレと気が付かない可能性があるが、通信機は現在も使われていて類似品が発見されていないのは恐らく何らかの規制がされていると考えられる。


「懐具合の事は言わないでくれ。それより背負ってるのは?」

「ジャンク品組み直したコンロ。火力はないけど、姉さんは強火でしか料理しないでしょ?」

「まぁ、せっかちだからね。それより大丈夫なのか?」

「作ってる所で真似されないように複雑にしてるみたいだけど、これはそういうの全部無くしてるだけだから」

「昔から器用だと思ってたけど、現物持ってこられると流石と言えるね」



 同じ工房(サイン)の商品で共通だったのは、自己保持回路みたいなのも基本だけでそれぞれが独立している。

 例えるなら、回路が横にずらりと並んでいるようなもので、三路スイッチや四路スイッチが無く、余計なのが多い。余計なのが多いから触媒も多く必要だし、モノ自体も大きくなる。

 ちなみに俺は、単純な動作で複雑な仕事をさせるギミックなど、見るのも・考えるのも・調べるのも好きだ。

 〇〇(なんとか)回路とか覚えなくちゃいけない。とかなかったら、一日中いじり回せる自信がある。


 挨拶も終わり、持ってきたコンロを置かせてもらう為にキッチンへと案内してもらう。

 この地方は人口に比べ、自然が多くほとんどの家庭が薪で煮炊きをしている。竈は煉瓦を組んで出来ているが、煤が焼ききるほどの火力を使っているようだ。


「え~。家にいた時より高温に出来そうじゃん。なんでこんな事に……」

「アンタが料理は火力だって言ってたんじゃない」

「姉さん……。いたんだ」

「そりゃいるわよ。それより旦那に頼んで火力上げてもらったのに、くっつくし、焦げるし、失敗ばかりじゃないの」


 ぷんすか怒っているきつめの女の子。ギノス種族は双方向性転換なので中性的な姿形をしている。そして姉弟だからよく似ているそうだ。

 正直好みのタイプで女性に生まれ変わっているのなら、吹っ切れていろいろな格好したいのだが、男女両方になれるギノス種族だから女性になる覚悟がない。


「それアレだよ。下処理で油通しで火を入れてから、もう一度炒めるとかやってるからね。他にもフライパンを熱して、冷たい油を引いたら油に熱が入らないうちにお肉入れたりって気を使ってるんだからね。

 大体義兄さんも一人暮らしだったんでしょ? そっちに教わったら?」

「すまない。途中で色々考えちゃって、セレスより焦がすことが多いんだ」

「で、私が掃除担当なのよ。」


 その後、コンロの設置をしている時に話に出たのは、姉の整頓術だった。学び舎に通っていた頃、じいちゃんばあちゃん先生に囲まれて義兄が妙に垢抜けていたのは姉が「勉強して先生になれば、長老達からも一目置かれるの。それなのにだらしない恰好だと誰も勉強しようと思わないわ」と洗脳したらしい。

 本当のところはギノス種族の女は男を飾りたてる性質があるそうだ。

 群れ全体を考えれば、一番強い男を囮にして逃げらばいいし、運が良ければその男が生き残る可能性が高い。


 クリスでも前世の知識を正確に思い出すには、気が付かないと出てこない。言わば本の表紙だけを並べただけで、見つけないと意味がない。しかも、クリスにとって前提条件が違うのが多く、問題解決に対する思考方法の方が役に立ったが、姉セレスのような積極的な行動力はなかった。





私はファンタジーが好きです。

またかよと言われそうな転生モノ。それでも書いているのは、説明しやすいんですよね。

転生主人公が「液体燃料みたいなモノか……」などの言葉を使えば、すぐに読む人がわかってくれるんですけど、

ファンタジー世界の主人公だと説明に時間がかかってかかって……。

特に運動エネルギーとか概念だとお手上げです。


クリスは前世の知識を引き出せますが、完全ではありません。

知識もちの場合

「~これを百聞は一見に如かずって言うんだ」

知識を引き出せる場合

「~っていうのをなんて言ったっけかな……。あっ、百聞は一見に如かずだ!」

ってな感じです。





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