グレアザイン
俺様はグレアザイン。黄金の竜、外来の魔王、勇者に敗れし者だ。そしてなんと!現在は勇者を見張る者である。ふはははっ!面白おかしいことだ。勇者の様子が変わってから、俺様が逆に勇者を見張ることになるとはな。
本日の俺様の予定は、勇者の様子を見に行くことである!外来世界と内在世界を行ったり来たりで忙しかったが、やっと落ち着いてきたのだ。
「勇者よ。檻の前に掃除魔法をかけ続けてどうしたんだ?」
俺様が勇者のもとにいくと、檻の前で魔法クリアをひたすら唱える勇者がいた。先ほどまで客か侵入者でもいたのか、勇者とは異なる匂いがする。勇者の縄張りに入ってきた、何者かの香りを消している可能性が浮上するが……。
そんなことより、俺様のことを無視するか?勇者。それも致し方あるまい、世界が統一されたことで立場が変わっているのだから。……ふん!少しぐらい勇者がグレたところで、勇者の本質は変わるまいが。俺様が反省して、優しくしてやってもかまわないのではないだろうか?
「……ん?いたんだグレア」
「ふはは!気づいていなかったのか!俺様が反省などするものではないな」
「?まあいいや。相変わらず君って元気だね。さっきまで人がいたんだ。君が帰って来る前でよかったよ。君ってば、勝ち負け決めたがりだからさ。勝負を持ちかけられたんじゃあ、将来のお客に逃げられちゃうでしょう?」
「ふっ、それもそうだな。俺様はここに温泉宿を建設予定だ。そのための下準備はすんだが、お客に逃げられては商売にならん」
そう俺様は勇者の見張りをしつつ、この地で金を稼ぐことにしたのだ。勇者に敗れたことは認めているが、それにともない金銀財宝を失ったのは認められない。俺様は、金銀財宝の上で眠るのが大好きなのだ。