グラムカラー
俺はメルトグラム。宝石というものは一つ一つ違うものであり、同じような色形であっても個性がある。ましてや全く違う色形をしているなら、一度に二つ欲しくなるものだ。けれど、それぞれに輝ける場所も違えば。一度に管理できる量も決まっている。
「夜ツ矢お前……酒の匂いがすごいんだけど?というか、今まで飲んだことあったっけ?」
「えェ酒ェ?苦いポーションなら飲んだけど。うあァ……あれ酒だったのかァ。う〜ん……やっぱ限界だわァ」
「えっ!?ちょっと」
「おろろろ……」
「ふむ……よしよし」
檻の前で吐かれ、嫌そうな顔をする亜久ツ海夢。そして、気分がよろしくない夜ツ矢火乃香の背をさする俺。こんな状況でなければ、彼らの魂の輝きを覗き見ていてもよかったのだが。今みても、あまり良い輝きは見れないな。
「……特に用事もないし、今日のところは大人しく帰ってやるよォ」
「そうして……うん?用事があったら来るの!?」
「そういうわけだから俺たちは帰るぞ」
こうして俺達は洞窟を後にし、俺の休みが過ぎていく。夜ツ矢火乃香の酔いについては、クトゥーが俺を迎えに来るまで続いたのだった。