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魔王さま〇〇END  作者: 天墨 咲久楽
メルトグラム
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グラムラック

 俺はメルトグラム。小惑星ほどの大きさをしていた元宝石であり、今は人型魔法生物だ。ロストとは兄弟であり、双子であり、親子関係に近い所もある。語り出したらきりがないと思われるので、一部分ずつやっていこうと思う。


 さて、俺は今獄界のおでん屋台にいるのでな。出汁の効いたはんぺんを食べながら話していこうと思う。


 まず先に話しおきたいところだが、俺と弟では口癖の使用頻度が違うらしい。俺の主観ではなく、第三者たる住人たちからのお手紙でわかったことだ。なので間違いないだろうが。ぞ?だとか、なのだ!を多用しているのが弟。そこまでじゃないのが俺らしい。


 なぜ弟との事が気になっているのか?それは今頃、アースプランプラムという存在と話しをしているだろうからだ。中立世界たる地球から、内在世界に弟がきた理由を二人きりでな。


 ああ、二人きりといえば。俺は今、夜ツ矢火乃香とおでんの屋台で隣合わせに座っているのだ。ハコネとのお昼寝を数日した俺は、むしょうにはんぺんが食べたくなってな。数日前にいた獄界にまた戻って来ていたのだぞ?そうしたらだ、おでんの屋台の先客に、夜ツ矢火乃香がいたというわけだ。


 先ほどから俺一人の語りになっているが、夜ツ矢火乃香が喋れない状態だからだ。口の中いっぱいに色んな具材をほおばっている。たのむから俺にむけて出してくれるなよ?と思いつつ様子をみていると、無事に飲み込み終わったらしい。満足げに口ふき用の紙で、自らの口元をふいている。



「ごちそうさまァ!」


「……(こくり)」


「……(こくり、にこっ!)ぽんっ」



 夜ツ矢火乃香が狸の店主に声をかけた。狸の店主も満足しているようだ。俺も店主に頷きかけると、店主も頷き返してくれる。店主がぽんっと腹を叩くと、屋台も店主の姿もここからいなくなった。


 このまま俺も魔王城に帰ってしまおう。自由行動中に迷子になったら、また優しくクトゥーに笑われてしまうだろう。それに単独行動を長時間やっているのだ、俺の運が尽きる前に寝て回復せねば。



「ちょっとまってくれよォ……グラムの兄貴ィ?」


「はぁ……」



 ぽんっと俺の肩に夜ツ矢火乃香の両手がのる。どうやら一足遅かったようだ。なんだか酒の香りもしている。そういえば、おでんの屋台の机の上には大量の回復役があった気がする。最近、回復薬と称して酒が獄界の中で出回っていると蛍から聞いていた。なので、そういうことなのだろうな……。


 だが、二十歳以上でないと飲めないようになっているはずなのだが。



「まつのはかまわんが、おまえ何歳なのだ?」


「二十歳はこえてるよォ〜」



 結果、夜ツ矢火乃香は二十歳以上であった。


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