蛍の記録
よっ!蛍だぜ!昔の方が体力あったなんてぇこと。よくあることだよなぁ。けど俺、まだ200数歳なんだぜぇ。妖怪の中じゃ若いのさっ!
「いやぁ、それにしても。狭い部屋だが、案外退屈しないものだなぁ」
俺は今、秘密の部屋で一人読書をしていた。俺の元奥さんが小説家だったのだが、その時の俺はあまり本に興味がなかったからなぁ。野外で写真ばかりとっていた記憶がある。
そんなわけで、いろんな本をぺらぺらとめくって。おクさんとグラムの旦那が、俺の補佐をつれてくるのを待ってるのさぁ。なんで俺が直接行かないのかって?部屋で待機を言い渡されるくらい、俺に体力がないからだなっ!あははっ!ん?
「そしたらなんと!鍵付きの棚があるじゃないですかぁ。みてみたくなるだろぉ?」
鍵付きの戸棚にさっそくとばかりに手をのばす。俺の特技の半透明化、実質体の一部。そうだなぁ、わかりやすくするとほら?幽霊って物質をすり抜けるだろう。そんで、手を幽霊みたいにしてすり抜けさせ、一冊の本をとりだしたってわけよぉ。
「ありりゃ?行動読まれちゃってますわぁ!」
すっととりだした本の栞を何気なく見ると、おクさんからの連絡事項がちょろっと書いてあった。この本は君のだからいいけど、他の子の情報はみちゃだめだよ?ってさ!まあ、人の個人情報を見るのはよろしくないよなぁ。じゃあ、俺のやつだけでもみてみようかなっと!