表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王さま〇〇END  作者: 天墨 咲久楽
夜ツ矢蛍
118/163

薄緑の蛍

 おっと!人間さんへの挨拶が遅れたな?俺は四ツ矢蛍ってぇんだ。よろしくなぁ。まあ、中には人外さんもいるかもしれねぇけどさ。ピースだぜ!



 「うまぁく、火乃香から逃げ切ったぜ!おクさん!グラムの旦那!」



 現在の俺は、獄界から魔界へと移動し終えたところなのさぁ。そんでもって、現在地は、魔界の魔王城の秘密の一室。机の対面に座るクトゥクルーこと、おクさんが苦笑いをこぼしつつ、綺麗な動作で机に紅茶カップをおいた。床ではふかふかのカーペットの上に布を広げ、宝石を眺めては磨くメルトグラムこと、グラムの旦那がいる。



「そうだね!正直助かったよ。この調子で頑張ってもらうから、よろしくね?」



  おクさんが俺に笑顔をむけているが、なんとなく圧を感じる。まあそりゃ、そうだよなぁ。獄界での問題を解決したら、すぐにでもこの部屋に戻ってくる予定だったところを。無理を言って、火乃香にあってから帰ったんだしなぁ。闘技場?まあ、現状が落ち着いてからなら大丈夫なんだけどな!



「現在の獄界の主は蛍だからな。まだ公にはされていないが、補佐となる人物を見つけしだい公にする予定だぞ?」


「そうだよ!だからそれまで和菓子屋はまっててね?」



 グラムの旦那が赤い宝石を磨きながら、少し焦った声色で。おクさんはほんのりと諭すように言う。



「補佐も和菓子屋も気にしなくても大丈夫だぜぇ?こっちである程度候補をしぼったしさぁ。それに和菓子屋の引き継ぎは終わったとこさっ!」


「そうか?無理はするなよ」


「グラムくんは心配性だね、そんなとこも好きだよ?でもね!心配しなくても、蛍くんならアドリブでどうにかできる。そうでしょ?」


「おうっ!その通りだぜ?グラムの旦那」



 おクさんがにこっと笑いながら言い。俺が同意をする。自慢になっちまうが、俺の特技はアドリブさっ!



「……確かにその通りだな。クトゥー、今夜は長話になるだろう。コーヒーをいれて来てくれないか?」


「それじゃあ、補佐候補の子を書いてまっててね!グラムくんにはいつも通りミルクをいれてくるね!」



 俺に紙とペンを渡し、おクさんが部屋を飛び出していく。グラムの旦那の側に、いつでも居たいおクさんらしい行動だ。


「さて、この黒いワンコと。白いライオンが俺の中で一二を争う候補なんだが。グラムの旦那はどっちがいいと思う。ま、それと。できれば戦ってみてぇんだけど、ダメかい?」



 グラムの旦那は今まで磨いていた赤い宝石をおき、代わりに二個薄緑の宝石手にとり磨き始めた。なんというか、さっきよりも丁寧な動作がなぁ。ううーん、ちと凄みを感じる。


 そんで。互いにぶつかり会う宝石だが、片方の宝石は最初からヒビが入っているようだ。ぶつかるたびヒビ割れた宝石から、カケラが手の中から溢れていく。それを悲しそうに微笑みながら見るグラムの旦那。


 すっかり最後までヒビの入っている宝石を、宝石の砂に変えて見せたグラムの旦那は。残った緑の宝石を大事そうに撫で、赤い宝石と緑の宝石を別々に布に包みこんだ。



「戦いはまだ先でもいいんじゃないか?」


「わーお……そうしとくぜ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ