複雑な夜
気にしねェことが大事だと思うよなァ?夜ツ矢火乃香だぜェ。獄界でクトゥーと別行動を始めた俺の、調査の進展と言ったら。まったく!何も!!進んじゃいねー!?
「念の為にでっけェ鎌をもってるけどさァ。ちったぁ、怖がらなくてもいいんじゃねぇのォ?なんでェ?」
人の気配のない獄界で、さらに妖怪っ気もない森の浅〜い場所。俺はなるべく目立たないようにしながら、自身の頭をかかえることになっていた。ちなみに、鎌は木の側においてあるぜ?俺だってェ、常に武器を持っているわけじャあない。ホントだからな?
「まあまあ!おかげで僕が目立たないで色々聞けたからね!あと、獄界で美味しい和菓子屋さんの情報が手に入ったからさ。一緒ににいこうよ……ね?」
「!?……お、オォ……」
目の前でクトゥーが俺を落ちつかせようとしている。こいつは俺の目の前の、木の影からでてきたのだ。独り言を話していた時に、突然ヌッと影からでてきたモノだから。フツーに頭抱えてたのに加えて、びっくりした。
さて、クトゥーが語った内容、俺が情報を集めるのに苦労した理由とは。それは獄界の連中のほとんどが、俺に二年前ヤられたヤツらばかりだということ。もしかしなくても、そんな俺と一緒に行動すると、クトゥーのやつまで話しが聞けなくなっていたかもしれない。そのための別行動ォ、そのため和菓子屋情報ォ、そのためのォ……これ以上考えるのはヤメとこォ。
それよりも、クトゥーは一日目が終わる頃。だいたいの事を調査し終わったという。俺に今話すと不都合があると教えてくれたので、後で教えられるよりもいいけど。
「ちと複雑ゥ……」