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夜ツ矢奇譚・亜久ツ少年視点2
あれから一晩がたったけれど、探せど探せどボク以外の村人が見当たらなかった。
途方にくれていたボクの目の前に現れた彼は。
ボクのことをみると思わずといったふうに、口から言葉を吐き出した。
「はっ?……そうかまだこの時期じゃなかったのかァ」
「時期?とういか君!さっき蛍さんを……」
「それならそれでいいんだよォ。勇者なんてお前には似合わねェからなァ」
「一体何をいってるんだい?」
「ちょうどいいや、お前聖人でもやってみたらどうだ?送ってやるよォ」
「???」
「hahah!お前の困惑した顔なんていつぶりだろうなァ。あー、面白い。俺は今とても機嫌いいからよォ。苦しませずに気絶させてやるよ」
「っ!?」
彼が振りかざしてきた鎌に対応できなかったボクは、そのまま意識を失った。