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呪われ転生じゃ死にきれない  作者: 鳴神 春
7/46

5.5話 クイズと泥棒についていけない!

1


ある日。

俺は部屋のベッドで携帯をいじっていた。

転生したばかりの頃は使えなかったのだが、以前ルウに前の世界に干渉しないことを条件に、特別に直してもらった。

見ていたのはクイズのまとめサイト。

決して暇だからと言って見ていたわけではなく、これも発想力の訓練なのだ。

とか自分に言い聞かせないと、どうにかなっちゃいそうなくらい暇だ。

ベッドの上でああでもないこうでもないとうねうねしていると、隣の部屋からイリカが訪ねてきた。


「ん、おにい、あそぼ」


「んー?見ての通りにいちゃんは忙しいんだ。後にしてくれー」


そう言って俺は、イリカに背を向けるようにして寝返りをうった。

するとイリカがベッドに身を乗り出し、


「かぷっ」


「っひゃああああああ!!」


いきなり俺の耳にかぶりついてきた。


「い、いきなり何すんだ!」


「ん、おにい、嘘ついた、から、おしおき?」


「なんで最後疑問形なんだよ。はあ、わかったわかった、相手してやるから」


俺はベッドに座り直し、イリカもベッドの上に座った。

しかしイリカ相手に何をすればいいのやら……と、考えていると携帯の画面が目に入った。


「そうだ!イリカもクイズするか」


「ん、くいず?楽しい?」


「まあ楽しいんじゃないか?やるか?」


「ん、楽しいなら、やる」


「よしきた」


俺は画面の中から、イリカでも解けそうな問題を探した。


「よし、じゃあ第1問!えーっと、馬車がカーブを曲がる時に必ず落とすものは?」


「ん、馬車、落とすもの……?」


しばらく考えてイリカが答えた。


「ん、車輪?」


「そしたら馬車は壊れちゃうだろ」


「ん、じゃ、木屑?」


「それは曲がらなくても落としてるかもな」


しばらく考えても答えが出ないようなので正解を言うことにした。


「正解は速度だ」


「ん」


そう言ってイリカは次の問題に身構えた。

え、次あんの?

もうちょっと悔しがってもいいと思うのだけれど。

まあ次の問題行くか。


「よーし!ニューヨークに行きたいかー!」


「ん、どこ、そこ。楽しい?」


「いや、ごめん。わかんないよな。忘れてくれ」


「ん、おにいは、相変わらず、難しいこと、言う」


思わずクイズでテンション上がっちゃったけど伝わんないよね。やっぱ。

その後何問かクイズを出した後に、突然イリカが言った。


「ん、イリカも、くいず、出してみたい」


「え、ああ出せるのか?」


「ん、やってみる。おにい、のやつ、見てた、から」


そう言ってイリカから問題が出題された。


「ん、第、1問、ででん」


まったく、変なことばっかり覚えて。

誰が教えたのかしら。

って教えたのはさっきの俺でしたね。そうでしたね。


「ん、グレネードドラゴン、が、空飛ぶ時、落とすものは?」


え、何その物騒なドラゴン。

異世界怖い。

でも答えは多分これ。


「えーっと……グレネード?」


「ん、正解」


「でしょうね!てかこれクイズじゃないから!まんま答え言ってるから!」


イリカにはクイズの出題は難しいかったようだ。

するとイリカがベッドから降り、扉へ向かった。


「どうした?」


「ん、飽きた、から、帰る」


「そうかい」


なんとも自由なやつだ。

俺はまた、携帯の画面に視線を落とす。

するとイリカが、部屋を出る前に振り返って俺に言った。


「ん、ありがと、おにい」


バタン。

まあ、あれだ。

また今度遊びを教えてやるか。

なんだかんだ言って、結構楽しかったしな。

頭の中でさっきのイリカの顔を思い出しながら、今日で3度目になる眠りについた。


2


目を覚ました時には昼過ぎになっていた。

起きた原因は、外から聞こえるルミナのはしゃぎ声だった。

窓を開けると、畑の中で両手に野菜を持つルミナの姿が。

ルミナも俺に気づいて声を上げる。


「悠くん!見て見てこの野菜!お婆さんが作ったんだって!」


食べ物のことになると、ルミナはテンションが上がりっぱなしだ。

俺もルミナのテンションに影響されて、下に行くことにした。

何度も言うが決して暇だからというわけでは(以下略)


「悠くん!こっちこっち!」


「わかったから、野菜落とすなよ」


畑には色んな野菜があった。

見覚えのあるものから不思議な形まで。


「取った野菜は今日の夜ご飯になるんだよ」


「お前の原動力はやっぱそこなんだなぁ」


まあ部屋を使わせてもらってる身としては、手伝わないわけにはいかないな。

収穫を手伝おうとしたその時、野菜が勝手に動き出した。


「おい、野菜が動いたぞ!」


「んー?そんなわけないでしょ?悠くん疲れてるんじゃない?」


「いや、ほんとなんだって!」


2つ、3つ、4つと、野菜が次々と動き出す。


「え!何⁉︎どうしちゃったの⁉︎」


ルミナも動く野菜を見たらしく焦っている。

野菜は宙に浮き、そのまま一ヶ所めがけて飛んでいった。


「あっちにはたしか…」


「今は使われてない古城があったはずだよな」


野菜は全部盗られたわけではないがいずれ半分近く盗られた。


「どうする、ル…」


「取り返しに行くよ!!」


ルミナが食い気味に答えた。

そう言ってルミナは宿に戻ったと思ったら、数秒で出発の準備をしてきた。


「ぼさぼさしてないで行くよ悠くん!」


「お、おう……」


ルミナのガチ度に引きつつ、俺もすぐ部屋に戻って準備した。

新しい冒険用の服に袖を通し、腰に中ぐらいの刀を装備した。

下に降りた時にはすでにイリカもいた。


「行くよ、みんな!」


「ん、おー」


「お、おー」


こうしてガチ中のガチのルミナに引っ張られ、緊急クエストが始まった。

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