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呪われ転生じゃ死にきれない  作者: 鳴神 春
45/46

40話 気持ちは隠せない!

1


とてつもない力に吹き飛ばされ、体に痛みが走る。

重い体を起こすのもやっと。

絶望感に苛まれる。

だけどその絶望感の中でも、負けじと立ち向かう見覚えのある人影。

彼は力に屈せず、決して諦めなかった。


「行っちゃ、ダメ…………悠斗!」


目を開けると私はルミナの家の布団に寝ていた。

さっきのはどうやら夢らしい。


「……よかった」


小さく呟く。

あの空間から出た後、私たちはルミナの家に戻ってきていた。

そこからのことは覚えていない。

周りでは他の3人もぐっすり眠っている。


「あらあら、みんなすごい寝相ね」


みんなを起こさないようにゆっくり起き上がり、周りを見る。

掛け布団はぐちゃぐちゃ、枕は足元、イリカの左足は悠斗のお腹の上に乗っかっている。


「ふふっ、ほんとにひどいわ」


悠斗の頭をそっと撫でる。

柔らかい髪の感触が手のひらをくすぐる。

すやすやと寝息を立てている無防備な寝顔を見ていると、思わず口元が緩んでしまう。


「…………」


また悠斗に助けられてしまった。

これで何回目だろうか。

しかもそれを当たり前のように言ってくるのが、余計にタチが悪い。

なんか私だけ意識してるみたいで癪だ。


「たまにはやり返さないと気が済まないわ」


自分のこういうところも嫌だ。

素直に伝えればいいのに。

本心を隠す理由がないと行動できない自分に、時々嫌気がさす。


「…………ばか」


悠斗の顔に近づき、頬に口づけをする。

当の本人は寝顔を崩さなかった。


「ほんとに、バカなんだから」


私はまた布団の上に寝っ転がった。


(こんなことやっても虚しいだけね………あーあ、天罰でもくだらないかしら)


そんなことを思いながら私はまた眠りについた。


2


再び目が覚めたのは悠斗たちがもそもそ起き上がってくる頃だった。


「ふわぁ……みんなおはよ」


悠斗があくびをしながら挨拶をする。

私もそろそろ起きようと思い、挨拶を返す。


「おはよう……って悠斗どうしたの?」


「いや、なんかここら辺に違和感があって……」


悠斗は不思議そうに右の脇腹をさすっていた。

そこはイリカの足が乗ってたと教えると、悠斗は必ずまだ寝ているイリカに仕返しするので言わないでおく。


「気のせいじゃないかしら。それより体は大丈夫なの?」


「ああ、たくさん寝たらもう元気だ!」


そう言って悠斗は元気よく肩を回してみせる。

すると今度はルミナが起き上がる。


「おはよう、みんな早起きだねぇ」


起き上がったルミナの目はまだ開いていない。

私はすくっと立ち上がって部屋のカーテンを開けた。

眩しい朝日が部屋に入る。

その光に反応したのか一番の寝坊助が起き上がる。


「ん、もう、おなか、いっぱい」


「こいつ、どんだけベタな寝言を……」


悠斗も思わず呆れ顔。

それが面白くて、私は思わず笑ってしまう。


「ふふっ、じゃあ朝ごはん食べに行こうか」


ルミナがそう言って部屋の扉を開ける。

ルミナについて行って食堂まで行くと、見覚えのある人が。


「やあルミナ、おはよう」


「ジールお兄様⁉︎」


そこには死んだと思っていたルミナの兄、ジールがさわやかな笑顔で挨拶をしていた。


「ご、ご無事だったんですか?」


「ご無事?なんのことだい?僕は今も昔も変わらないよ。ハッハッハ」


さわやかに笑い飛ばすジール。

以前のルミナに対する執着は綺麗さっぱりなくなり、まるで別人のようだ。

別人すぎて、正直気持ち悪い。


「気持ち悪い……」


悠斗もボソッと呟く。


「ねぇ、あれ何なの?」


私は悠斗に耳打ちした。


「俺に聞かれてもな……」


突然の質問で悠斗は戸惑っていた。

すると急にそっぽを向いてぶつぶつ呟いたと思ったら、こっちを振り返って話し出した。


「あの男に吸い込まれたジールは、負の感情の集まりなんだ。その感情を抜かれた今のジールには、そういう感情がないんだって」


「ないんだってって……あなた誰から聞いたのよ」


「えっ、いやぁ……あくまで想像だけど」


悠斗はたまにこうなる。

怪しい。

そういえば、あの時悠斗の隣にいた男の子は結局誰だったのかしら。

なんか親友とか言ってたけど。

ちょっと聞いてみようかしら。


「ねぇ、悠」


「さあさあみんな、早くしないと朝食が冷めてしまうよ。行っておいで」


質問しようとした矢先、ジールに邪魔されてしまった。

こいつほんとに邪魔。


3


「じゃあお父様、行ってきます!」


ルミナが父親にぺこりと頭を下げる。


「ああ、気をつけてな。たまには帰ってくるんだぞ」


ルミナパパも手を振って娘を見送る。

これでルミナも心置きなく冒険者稼業ができるわけね。

よかったよかった。


「よし、じゃあ帰ろうか!」


悠斗の声に私たちは頷いて、ベルメルク王国への帰路につく。

全く、人の気も知らないで呑気なんだから。

いつか本当に天罰が下っても知らないわよ。

でもベルメルクに帰る道すがら。


「うわっ、何で俺のとこにだけ鳥の糞が!」


「きゃあ、悠くんが何もないところで転んでそのままどっか行っちゃった!」


「ん、おにいの、まわりに、だけ、モンスター、いっぱい」


「早速天罰下りすぎじゃない⁉︎」


ほんとにこの人は見てて飽きないわ。

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