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呪われ転生じゃ死にきれない  作者: 鳴神 春
42/46

37話 黒幕は素顔を見せない!

1


「…………と、ゆ………と、悠斗!」


名前を呼ばれ目を覚ますと、アリスがいた。

俺を揺さぶりながら起こしてくれたらしい。


「……アリス、か」


「ええ、無事みたいね」


アリスがほっとした表情を浮かべる。


「ほかの2人は?」


「大丈夫よ。気を失ってるだけみたい」


俺はアリスと一緒にルミナとイリカを起こした。


「よかった、みんな無事だったんだね」


「ん、ここ、いや……」


周りを見渡すと俺たちは知らない空間にいた。


「そういや、ここってどこなんだ……」


たしかみんなで観光してて、帰ろうとしてたんだよな……。


「とにかくさっさと出よう。こんなとこにいたくない」


「でも悠くん、出るってどこから出ればいいの?」


ルミナの言う通り、出口と思われる場所は全く見当たらない。


「ほんとにどこなんだ……」


「やあやあ、沖谷悠斗くん」


名前を呼ばれ振り向くと、細身で黒いローブを着た男が立っていた。


「お前がここに連れてきた張本人らしいな。誰だ」


俺がそう言うと、男は飄々としながら話し始めた。


「君はそんなこと知らなくてもいいさ」


男は懐から懐中時計を取り出し、ふたを開けた。

すると時計から、禍々しい黒いオーラが止めどなく溢れてきた。


「ちょっと、何あれ⁉︎」


「俺が知りたいくらいだ!」


黒いオーラは足元を埋め尽くし、体の自由が奪われる。

気を抜くと飲み込まれてしまいそうだ。


「んーん、思ったより少ないようだ。まあ、大丈夫だろう」


ローブの男はオーラを体に纏い、呟く。


「まずは全員出てきてもらわないと公平じゃないなぁ」


そう言うと男はオーラを放出し、衝撃波を起こす。


「さて、こんにちはライハくん」


衝撃波が収まると、隣にはなぜかライハが立っていた。


「ライハ!なんでここに⁉︎」


「あー、バレずにここから脱出できたらって思ってたんだけど……」


ライハが口元だけ笑ってみせる。


「やっぱりあれが厄介だなぁ……」


「あのオーラのこと知ってるのか?」


俺が聞くと、ライハは重々しく話し出した。


「あれは怨の力、つまり負の感情の集合体ってことだよ。あいつは今まで人間の負の感情を集め回っていたんだ」


「負の感情……」


俺は思わず呟いた。


「えーっと……悠斗?その人誰?」


アリスが他の2人を代表して聞いてきた。

たしかにアリスたちはライハとは面識がないはずだ。


「はじめまして、僕は悠斗の友達……いや、親友だね!」


「今はそこどっちでもよくない?」


空気を読まないライハに思わず突っ込む。

するとイリカが近寄ってきてぺこりと頭を下げて言った。


「ん、こんにちは」


「はい、こんにちは〜」


「んー、イリカ偉い!けど今じゃない!!」


イリカには今度こういうことを教えなきゃな。


2


「ずいぶん邪魔をしてくれたじゃないか……ライハくん?」


ローブの男はライハに話しかける。

顔を覗き込むもオーラが邪魔して見えない。


(僕を知ってる……一体何者なんだ?)


ライハの顔から余裕がなくなった。


「ここで君を葬るにはいい機会かもしれないね」


そう言って男はライハにオーラを飛ばす。

ライハはそれをするりとかわす。


「私たちも闘うわ!行くわよイリカ!」


「ん、がんばる」


「だめだ!あいつに触っちゃいけない!!」


ライハが止めるも、アリスとイリカは既に男に攻撃を仕掛けていた。

しかしアリスたちの攻撃は跳ね返り、アリスたちは黒いオーラに吹き飛ばされてしまった。


「きゃっ!!」


「ん、」


「アリス!イリカ!」


「あれが厄介なのは、普通の攻撃を跳ね返すところなんだ。負の感情のオーラを倒すなら神の力でもなきゃ……」


男を囲うオーラには負の感情が増しており、そこには一瞬だが、不知火やジールの顔も浮かんでいた。


「まさか、あいつらも!」


「おそらくあいつに吸い取られたんだろうね。2人とも相当の負の感情を溜め込んでたみたいだから」


その時、俺の心臓がドクンと跳ね上がった。

やめろ、考えるな。

しかしこんな時に限って嫌な思考が止まらない。

あいつらが負の感情を溜め込んだ原因は?

あいつらが吸い取られた原因は?


「…………俺の、せいで……」


2人を帰らぬ人としてしまった。

そう思いだすと震えが止まらない。

自分が自分じゃないような感覚に陥る。

まっすぐ立っていられない。

力が入らず地面に倒れそうになる。


「悠斗!君のせいじゃない!!」


ライハが倒れそうになる俺をがっちり掴み支えた。


「全てあいつの作戦だったんだ。君がそんなんじゃ、勝てる勝負も勝てなくなる!」


「あ、ああ……」


なんとか正気を保つが、あいつに勝てる気がしない。

するとライハが手を離し、男に向かって歩いていく。


「僕が行くよ」


「でも、あいつは……」


「大丈夫、信じてよ」


振り返ってライハが笑いながら言った。


「これでも神様だからね」


3


「君の方から来てくれるなんてね。まあ、私的にはちょっとスパイスが足りないかな」


ローブの男は調子を崩さない。


「簡単に負ける気はないよ」


ライハが言い放った。

途端、2つの衝撃波が激しくぶつかる。

だが。


「くっ……」


明らかに怨の力がライハを凌駕していた。

そして衝撃波が弾け、ライハのみが吹き飛ぶ。


「うわっ!!」


男はビクともしない。

ここまで力の差があるとは思わなかった。


(何とか……勝機を見つけなきゃ)


じっと男を睨む。

すると胸元にキラリと光るものが見えた。


(っ!……あれは……)


そしてライハの中で何か繋がった。


「わかったよ悠斗!あいつは……」


そう言いかけて、ライハはオーラに飲み込まれ消えた。


「ライハ⁉︎なんだよ、あいつは何なんだよ!言わなきゃわかんねーだろ……」


ライハまでもいなくなってしまった。

そう思ったその時。

目の前に不思議な光が現れ、次第に俺を吸い込んでいった。


「っ痛ぇ……って今度はどこだ?」


腰に激痛が走る。

周りは真っ白な空間。


「はぁ、ほんとに今日はよく知らない場所に飛ばされるな」

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