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呪われ転生じゃ死にきれない  作者: 鳴神 春
39/46

34話 家出少女は帰らない!

1


無事に男子に戻ってから数日経ったある日、俺はルミナと買い出しに出ていた。


「ふぅ、結構買ったな」


「だねー、これでしばらくは大丈夫かも」


「まあ、これのほとんどがお前の腹の中に入るんだけどな」


買ったものの中身は、ルミナが食べたがってたものが4割程を占めている。

まあ今はお金には困っていないし、別にいいのだが。


「ううぅ…だ、だから少しでも安く買ってるでしょ?」


「一応自覚はあるんだな……」


なんてたわいもない会話をしていると、ふと3人の警備兵を見かけた。

そういや今日はやけに見るな。

何かあったのだろうか。

警備兵たちの会話に耳を傾けてみた。


「いたか?」


「いえ、どこにも……」


「この街で見たという情報があるんだ。必ず探せ!」


そう言って警備兵が走り去ると、警備兵の手元から紙が落ちていった。

なるほどお尋ね者ってわけか。

紙を拾い上げ、目を通す。


「どんなやつを探してるんだ……」


だがそこには見知った顔が。


「…………おい、これって」


その紙にはルミナの顔が。


「これ、どういうことだよ!」


隣にいた本人に問いただすと、ルミナは少し気まずそうな顔をした。


「あー、もう隠しきれないみたいだね……」


ルミナは目を泳がせて、ぽりぽりと顔をかく。


「ここじゃあれだし、とりあえず帰ろっか」


2


「で、これは一体どういうことだ?」


家に帰ってからアリスたちに一連の流れを伝え、3人でルミナに質問する。


「えっと、まず私の正体から話そうかな」


そう言ってルミナは改まって続けた。


「私は、ここから東にあるグラリアって国のお姫様なの」


「「「ええええええっ!!!!」」」


このカミングアウトは俺も予想できなかった。

普段の様子からは全く想像できない。


「お姫様って……まじか」


「ん、すごい」


「ほんと、信じられないわ……」


「えへへ、まあ小さい国なんだけどね」


俺たちが驚くと、ルミナは照れ笑いを浮かべた。


「だから親が勝手に決めるお見合いとかも多くて……まあ全部断ってきたんだけどね。もううんざりしちゃって、家出してきたの」


「ん?じゃあ今ルミナって……」


「そう。絶賛家出中」


てことは俺たち、家出少女を匿ってるってことにならない?

そうだとしたらとんでもないことだ。


「ちょっと!そういうことは早く言ってよ!」


アリスが興奮して机を叩きながら言った。

そうだ、言ってやってくれ。


「言ってくれれば、ルミナの実家にお金たかりに行ったのに!」


「いやそうじゃないだろ!」


ほんとにこいつはいい性格してる。


「あ、もしかして俺と会った時に、空腹で倒れてたのって……」


「あー、なんの計画もなく飛び出したから、何にも持ってなくて……あの時はお世話になりました」


そう言って、ルミナがぺこりと頭を下げる。

しかしどうしたものか……。

このままルミナを匿い続けるのにも、限界がありそうだな。

と考えていたその時。

ドンドン扉を叩く音と家出姫を呼ぶ声が聞こえた。


「お嬢様!ここにいるのですか!」


3


「エーデル⁉︎どうしてここが?」


エーデルと呼ばれた老女は、ずれた眼鏡を直し、淡々と話し始める。


「街でお嬢様が冒険者をやってるとのお話を聞きまして、ここに参りました」


エーデルはそう言うと俺たちに向き直り、話を続ける。


「私はエーデルワイスと申します。今までお嬢様をお守りくださりありがとうございました。さあお嬢様、早く帰りましょう」


形式的にお礼を言うとエーデルはルミナを連れて出て行こうとした。


「やめなさいエーデル、私は帰らないわ」


「何をおっしゃっているのですかお嬢様。お父様も大変心配なさっておいでですよ」


「それでも私は帰らない。これからも冒険者として生きていくわ!」


ルミナの言葉に困ったとばかりにため息をつくエーデル。

だが困るのは俺たちも同じだ。


「ルミナは渡さないわ。異論反論抗議質問は一切認めない。用がないなら帰ってちょうだい」


「アリスちゃん……」


アリスがエーデルにビシッと言い放つ。


「ん、ルミナは、ひつよう」


「まあ、せっかく今までやってきたんだ。ここでお別れなんてさせないわな」


「イリカちゃん、悠くん……」


俺たちの言葉にルミナが目を潤ませた。

するとエーデルは深々とため息をついて渋々言った。


「……わかりました。ですがせめてお父様にはお話した方がよいかと」


「わかったわ……みんなも来てくれる?」


「当然だろ!」


「ん、いく」


「当たり前でしょ!」


こうして俺たちは、ルミナの故郷であるグラリアに向かうのだった。

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