32話 デジャビュは繰り返さない!
1
前回のあらすじ。
「お前のせいじゃねーか!!」
「う、おいい、いはい(ん、おにい、いたい)」
「まあ落ち着きなさい、悠子」
「悠子言うなぁ!!!!」
朝起きたら、女子になってた。
「何とか元に戻る方法ないのかよ!」
このままだと俺はずっと女子のままだ。
羨ましいと思ったそこの君。
君が思ってるほど、いい状況じゃないぞ。
まじで。
「あった!これじゃない?」
きのみの図鑑を調べていたアリスが声を上げた。
アリスが指差す絵には、たしかに見覚えがあった。
「図鑑によると、あれはウヴァの実って言うらしいわ。性別を変えるほどの魔力が詰まってるため、とても貴重な実って書いてあるわ」
「ねぇ、なんでよりによってそんな貴重な実取ってきちゃうの?」
イリカの耳を触りながら、困った顔で言った。
「ん、がんばった」
「力の入れどころが違うんだよなぁ」
今度はさっきつねった頬をもみほぐす。
イリカは相変わらずの無表情で、黙って頬をこねくり回されていた。
「じゃあ早いとこそのウヴァの実を探しに行きましょ」
アリスはそう言って、出かける準備をした。
ルミナとイリカも、後に続いて準備をし始めた。
俺も着替えようとパジャマを脱ぎかけたその時。
「女子サイズの服、持ってないな……」
2
何度も確認するが、俺は今、女子の体である。
当然男物の服が合うわけもなく、袖は余るわ胸は締まらないわでとてもじゃないが外に出られない。
仮にもし出たとしても、警備兵にパクられるのがオチだ。
「仕方ない、アリスから借りるか……」
パジャマを着直し、アリスの元へ。
「アリスー、服貸してくれ」
「帰りなさい変態」
「いやそういうんじゃなくて、着ていく服がないんだよ」
危うくまた誤解を招くところだった。
するとアリスがにこにこしながら提案してきた。
「じゃ、買いに行きましょうか」
「は?」
言葉の意味を理解するのに時間がかかってしまった。
だがアリスは続ける。
「だって、着る服ないんじゃ困るじゃない」
「だからアリスが貸してくれれば……」
「やーよ。いくら悠斗でもその発想は乙女的にアウトよ」
たしかに今は女子の姿だから違和感はないが、元の姿で言うと完全に変態だわ。
「でも、女の子の服買いに行くの恥ずかしい……」
「仲間の服をねだる方が恥ずかしいわよ。いいから行くわよ」
俺は仕方なくマントを羽織って、みんなで服屋に向かった。
「じゃ、選んできてあげるから!」
アリスが意気揚々と言った。
「あんまり変なのはやめろよ」
「わかってるわよ、行きましょう!」
そう言って後の2人を連れて、どこかへ行ってしまった。
3人を見送った時に、俺は思い出した。
あの3人の圧倒的センスのなさを。
「不安だなぁ…………」
猛烈にデジャビュを感じた。
以前のように自分のセンスで選ぶわけにもいかず、今回は黙って待つことにした。
3
数分後。
それぞれが持ってきた衣装に袖を通す。
まずはルミナ。
「これなんか似合うと思うんだけど……」
青いジャケットに胸の防具。
黒いスカートが、ジャケットの下の白いシャツと合っている。
そして腰に巻いたスカーフ。
「結構まともなんだな。それにしても、スカートがなんか落ち着かなくて……」
「しょうがないよ。女の子の服だもん」
次にアリス。
「とびきりのやつを選んだわ!」
アリスが選んだのは、ミニスカ・へそだし・防具は胸だけという三大入れて欲しくない要素がぎっしり詰まった衣装。
「これは恥ずかしすぎる!こんなんで人前に出られないよ!」
「動きやすさを重視した衣装だから。それより…………」
アリスが俺の胸をがっしり掴む。
「どうしてこんなに育ってるのかしら。分けて欲しいくらい………」
「や、やめろぉ。胸を揉むなぁ……」
最後にイリカ。
「ん、これ」
「これ着ぐるみじゃん」
まごう事なき着ぐるみを渡してきた。
「これ、着る、だけで、動きが、早くなったり、動物に、好かれたり」
「衣装の割に機能すごいな!」
結局、一番抵抗なく着れたルミナのおすすめを買うことになった。




