30話 このままじゃ終われない!
1
不知火から指輪を取り返し、ルウを見送った後、俺は家に帰っていた。
ちなみに気絶していた不知火は、警備兵に突き出した。
あのまま放っといてもなんか寝覚めが悪いし、同じ日本出身って事で俺なりの情けをかけたつもりだ。
これから不知火がどうするのか俺は知らないが、あんな痛い目に合ってるし、もう当分俺に突っかかってこないだろう。
「ただいまー」
「え!ゆ、悠斗⁉︎」
アリスが俺の顔を見て驚いた。
それも仕方ない。
家を出てから1時間しか経ってないのだから。
「もう終わったの?」
「ああ、指輪も取り返してきたぞ」
俺はそう言ってアリスに右手を見せる。
中指の指輪がキラリと光る。
アリスは「へぇー」と驚いた声を出した。
「本物みたいね……あーあ、せっかく助けに行こうと思ったのに」
そう言うとアリスは後ろを振り向いて手を叩き、奥にいる2人に伝えた。
「みんなー、悠斗が帰ってきたわよー」
すると奥から呼ばれた2人が出てきた。
「えっ、悠くん帰ってくるの早くない⁉︎」
「ん、あいつ、たおした?」
ルミナとイリカが口々に聞いてくる。
「ああ倒したぞ。もっと褒めろ褒めろ」
「ん、おにい、すごい」
「はは、そうだろ」
「ん、おにい、まじぱない」
「ははは、これはアリスと、本気で話し合わないとなぁ」
呼ばれたアリスは気まずそうにそっぽを向いた。
「ゆ、悠斗も帰ってきたことだし、今日はもう休みましょう!」
誤魔化すように俺の背中を押すアリス。
押されながら歩く最中に、俺はルウに話しかけた。
『話がある』
2
「君が改まって話すのなんて珍しいね」
いつもの部屋でルウが少し驚きながら言う。
「ああ、今回の件で俺の今後の方針が決まったからな。一応報告?」
「ふーん、それでどうするの?」
「指輪が無くなって改めて気づいたよ。やっぱ死ぬのは怖いな」
ルウは俺の話を黙って聞いていた。
「だから呪いを解いた後願いが叶うってやつで、俺はまたこの世界で生きていたい」
「そう……変わったね」
ルウがふっと笑みをこぼした。
「前までは死んでもいいみたいな考え方だったのに」
「まあそれも、あいつらのおかげで変わったのかもな。あと、お前もな」
「えー、僕のせいじゃないでしょ」
そう言いながらも、ルウは嬉しそうだ。
ルミナたちに出会って、あの世界を知って、こいつに支えられたからこそ生きたいと思えた。
俺の考えも少しは変われたと思う。
「じゃあ、早く呪い解かなきゃだね」
「ああ、やってやる」
俺は必ず呪いを解いてやると心に誓った。
3
一方その頃。
「ふぅ……」
ユナの元から立ち去ったフシミは、思わず一息ついた。
「全く、なぜあの神のなりぞこないなどに肩入れするのか……理解できん」
フシミが手をあげるとスクリーンが現れ、そこにはルウにやられる不知火の姿が。
「ふん、あれは失敗だったか……いずれにしろ、もうあれは用済みだな」
男が指を鳴らすと、不知火の姿が一瞬で消え去った。
「奴のせいで私のシナリオに狂いが出てしまった。まあこいつが出来たからよしとするか……」
「早くこいつを試すための触媒を探さねばな……また転生でもさせるか」
そう言ってフシミは魔法陣を作り、力を注いで魔法陣を発動させた。
「次は邪魔してくれるなよ、なりぞこない」




