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呪われ転生じゃ死にきれない  作者: 鳴神 春
32/46

27話 こんな人知らない!

1


「見つけたぞ!沖谷悠斗!!」


そう言って声の主は俺たちの方につかつか歩いてきた。

年齢は俺と同じか少し下くらいだろうか。

汚れた灰色のフードを被り、腕には傷が数箇所あった。

そして俺たちの前で立ち止まり、ぶつぶつ話し始めた。


「ようやく……ようやく会えたわけだ………」


「あの、ちょっと待っててくださる?」


アリスが少年に断りを入れて、少し距離を置いたところにみんなを集める。


(誰なのあいつ、なんか悠斗のこと知ってるみたいだけど)


(いや、俺知らないし。あんな危なっかしい奴、俺の知り合いにいないから)


(で、でもあの人、悠くんの名前呼んでたし………)


(ん、叫んでた)


(呼ばれただけで知り合いとは言わない。あっちが一方的に知ってるだけだ)


(とにかく、あっちが悠斗を指名してるんだから悠斗がなんとかしてきてよ。ちゃんと元いた場所に返してきなさい)


(捨て犬かなんかかあいつは!んな無茶苦茶な………)


「おい、相談は終わったか?」


少年が痺れを切らして俺たちに声をかけてきた。


「あー……えっとー…………」


俺が言い淀んで後ろを見ると、アリスが目線で「何とかしなさい」と訴えてきた。


はぁ、やだなぁこの役。


「…とりあえず、どちら様でしょうか?」


観念して俺は声をかける。


「俺の名前は、不知火 純だ」


「ん?しらぬい?それって……」


どう考えても日本人の名前だ。

てことはまさか……。


「気づいたか。俺もお前と同じ日本人だ」


2


「お、お前も日本人だったのか……」


まさか俺以外にも転生してきた日本人がいたなんて。

その事実に俺は驚きを隠せなかった。

だがよく考えてほしい。

容姿は変わっているが、同じ転生者であるアリスが俺の後ろにいるじゃないか。

そう思うと、なんか驚かなくなってきた。


「そっかぁ、日本人かぁ」


「……おい、さっきまで驚いてたのに、なんだか急に冷めたな」


俺の露骨な態度がバレてしまい、不知火はなんだか微妙な顔になった。


「それで、その不知火純は俺に何の用だ?」


俺がそう尋ねると、不知火は高らかに宣言した。


「俺は、お前を倒しにきたんだ!」


「えーめんどくさいー」


「即答するな!」


ほんと、なんでこう面倒なことに巻き込まれるんだ。


「なんで俺なんだよ。もっと他にいるだろ」


「俺の目的が、俺以外の転生者を倒すことだからだ」


「いや、俺以外の転生者ならこっちに………」


そう言ってアリスを紹介しようとすると、アリスがいきなり腕をつねってきた。

やめろってことか……。

こいつ、関わりたくないからって…………。


「でも、なんでまた転生者を倒すのが目的なんだ?」


アリスに根負けした俺が話を続ける。


「ふん、知れたこと」


そう言って不知火が振り返りながら言った。


「この世界の【唯一の転生者】って響きが、かっこいいからだ!」


「ええ、そんな理由⁉︎」


真面目な顔して何言ってんだこいつ。


「そのために俺は、遠い町から噂を聞きつけお前を倒しに来た!」


そんなこと俺は知らない。

どこから来ようと俺の対応は変わらない。


「だが途中で何度も死にかけるわ、身分証がないだけで門番に吹っ飛ばされるわで、どれだけ大変だったか……」


それこそ本当に知らない。

なんでこいつが身分証を持ってないのが、俺のせいにされるんだ。

ん?そういえば、俺もあの正門通ったけど、別に身分証なんて出してないぞ?

こそっとルミナに聞いてみる。


「なぁ、俺の時は身分証見せなかったんだけど?」


「悠くんの時は、おじいさんのおかげで出さなくてよかったんだよ」


「そうだったのか。おじいさんすげーな」


俺があのおじいさんとルミナを助けてなければ、俺も門番に吹っ飛ばされてたわけだ。

おじいさん様々でした。


3


「ということで、お前は倒させてもらう。恨むならお前をこの世界に転生させた神を恨むんだな!」


そう言って不知火は俺に斬りかかってきた。

俺はすかさず剣で対抗し、隙を見て魔法を放ち、距離をとった。


「ふっ、次は当てる」


「なるほど、口だけじゃないってことか」


不知火の剣を受け止めたのは良かったが、手の痺れがまだ取れない。

相当重い一撃なのだろう。


「死ね!!」


不知火は再び斬りかかろうとした。

だが。


「待ちなさい!」


アリスの魔法が不知火の行く手を遮る。


「邪魔をするな!」


「あなたこそやめなさい!大体、仲間がやられそうなのに、指をくわえて見てるだけなわけないでしょ!」


不知火が吠えるがアリスも負けじと返す。


「それに、あなたに悠斗は殺せないわ」


「何、どういうことだ!」


不知火の質問に答える代わりに、アリスとルミナの魔法がとぶ。

不知火が魔法を避けた先に、イリカが盾で突進する。

盾の上部に当たり、打ち上げられた不知火を俺が魔法で火柱を作り、閉じ込めた。


「なるほど、魔法が使えるのはその指輪のおかげか」


火柱から脱出した不知火が、燃えたフードを捨て、俺の魔法のからくりを見破った。


「しかもただの指輪ではないな。どれ、ちょっと見せてもらおうか」


不知火が俺に近づき、右手の指輪に触れようとする。


「あいにくだけど、これは俺の指から外れないんだよ」


俺は魔法で牽制しながら言った。

だが不知火は一瞬で間合いを詰め、俺の右手に触れた。


「問題ない。奪ってしまえばいいのだから」


不知火が不敵な笑みを浮かべそう言うと、俺から離れて拳を突き出した。


「はあっ!」


不知火が声を出した瞬間、なんだか不思議な気持ちになった。

まるで何かが抜け落ちたような。

だがその原因は右手を見てすぐにわかった。


「っ!指輪が……ない!!」

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