22話 ゾンビが止まらない!
1
男からのデスゲーム宣言はパークにいるお客をざわつかせた。
「何?なんかのイベント?」
「そんなの聞いてないぞ……」
「ママ……怖いよ………」
怖がる者、イラつきを見せる者、相手にしない者が様々いる中、男はなおも続ける。
「ああ、まだ肝心なルール説明をしてなかったね…。ルールは簡単。パーク内にいるゾンビ兵達から逃げ切ればいいだけ……」
するとどこからともなくゾンビ達が現れる。
気づくと空も薄暗くなっている。
「おい、やめろ!離せよ!」
近くでエルフの青年がゾンビ達に囲まれていた。
そしてゾンビ達が腕に噛み付いた瞬間、エルフは動かなくなり、起き上がったと思ったら彼はもうゾンビとなっていた。
「このように、ゾンビに噛まれたものは同じくゾンビの仲間となる……せいぜい気をつけてくれよ……」
ブツリと音を立てアナウンスは終わり、同時にパークのお客達は騒ぎ始めた。
「おいふざけんな!ここから出してくれ!」
「ゾンビなんて嫌ぁ!助けてぇ!」
楽しい遊園地が一気に死の戦場と化した。
「どうする、アリス!」
「決まってるでしょ!パークを取り戻すのよ!!」
アリスに即答された。
あー……なんか前にも似たような展開があったような………。
これがデジャヴか。
「とりあえず中央のお城に向かいましょう。あそこならなにかわかるかも!」
俺たちは人混みをかき分けお城に向かった。
2
「いい?噛まれないように気をつけるのよ!」
振り返りながら走るアリス。
「わかってる!ルミナ、強化魔法を!」
「うん、わかった!」
ルミナの魔法を受け、俺は道行くゾンビを薙ぎ払う。
「くらえ!」
右手をゾンビ達に向け、魔法を使おうとするが……。
「ちょっと!しぶきが冷たいんだけど!」
「くそっ!久々に使うとこれだ!」
勢いよく水が噴き出すのだった。
まあゾンビを怯ませるくらいなら使えるから、まだ大丈夫。
そんなこんなで城の前の広場まで到着した。
「さすがに城の前だと守りが固いな……」
広場はゾンビ達で埋め尽くされていた。
3人の魔法を持ってしても、ここを突破するのは難しそうだ。
「裏手に回りましょう。そこからでもお城に入れるわ」
アリスの機転の良さで、俺たちは広場を諦めて脇道に逸れた。
だがそちらもゾンビでいっぱいだった。
それを見て怯んだのがいけなかった。
「悠くん危ない!」
ルミナが俺をかばい、一体のゾンビに腕を噛まれてしまった。
「っ!ルミナ!!」
「大丈夫だから!早く行って!」
思わずルミナを助けようとするとアリスに止められた。
「早く…みんなを助けて……」
「くっ!ルミナ………」
「悠斗!早く行くわよ!ルミナの犠牲を無駄にしないで!」
ルミナがなんとか食い止めている間、なんとかゾンビの大群から脱出できたが、俺たちは1人目の仲間を失った。
3
「ん、ここ、どこ?」
「起きるの遅っ!てかよく今まで寝られたな!」
俺の背中でイリカがやっと起きた。
「お前が寝てる間に凄いことになってんの!ルミナもやられたんだよ!」
「ん、ルミナ、が?」
「ああ…けどそれについては説明する暇はなさそうだ」
城の後ろから中に入ったのだが、さすがに敵のいるところだけあってゾンビが多い。
俺の魔法が炎に変わったおかげでゾンビ達は逃げていくが、それでもまだ多い。
「ん、おにい、先、行って」
イリカが剣を構えて言った。
こういう時にイリカは役に立つ。
遅いゾンビ達にイリカがさすがに負けるはずないだろう。
「…悪い。絶対噛まれんなよ!」
階段を駆け上がりながらイリカに忠告した。
「ん、なんくるないさ〜」
手を振りながら沖縄弁を話すイリカに違和感を覚えながら、俺たちは階段を上っていった。
イリカは素早いし、間違ってもゾンビに捕まることはない。
そう思っていた。
だが……。
かぷり。
「ん、噛まれちゃった」
「こんのあほぉぉぉ!!!!」
俺の叫びが城に響き渡った。
これで2人目……。




