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呪われ転生じゃ死にきれない  作者: 鳴神 春
26/46

21話 ほんとについてない!

1


冬も終わり、どことなく空気が春色に染まり始めたある日。

イリカと2人で買い物をして、市場のキャンペーンで回した福引きが全ての始まりだった。


「おめでとうございます!1等です!」


カランカランと鐘を鳴らし叫ぶ店員。

目の前には小さな金色の玉が、たしかにそこにあった。


「すごいぞイリカ、1等だ!」


「ん、すごい、の?」


よくわからず首をかしげるイリカと一緒に受け取った景品は。


「デスティニーパークの招待券ですって⁉︎」


その日の夕方、アリスの声が家に響き渡った。

デスティニーパーク。

ベルメルク王国から少し南に行ったところにある大人気の遊園地だ。


「すごいじゃないイリカ、1等賞なんて!」


「ん、もっと、褒めて」


さっきまでなんのことだかわからなかったイリカの頭を撫でるアリス。

多分今でもわかってないのだろう。

まあ今回の福引きを引けたのは、イリカが余計なものまで買ったからなのだが、それを言うとアリスに怒られそうなので、今は言わないことにしよう。

止めなかった俺も怒られそうだし。


「そうと決まれば早速明日出発よ!」


ノリノリなアリス。


「デスティニーパークかぁ……すごく楽しみ!」


楽しそうに夕飯の支度をするルミナ。


「ん、明日、どっか行くの?」


やっぱりわかってないイリカ。


「うーん、俺も分からん」


当てた本人たちより、周りが喜んでいる異様な光景。

ルミナとアリスの喜び様と圧力がすごいので、アリスの希望通り明日の朝に出発することになった。



そして翌日。


「悠斗、早く起きなさい!」


太陽が昇り始めたばかりの時間帯に、アリスが俺の部屋を勢いよくノックした。

まだ意識がぼーっとする中、なんとか一言発した。


「………寒い」


「もう春よ!」


春の寒さをなめないでほしい。

特に朝晩の冷え込みは異常。

ソースは前世。


「早く、起きなっさい!!」


アリスが部屋に入ってきて布団を引っ張る。

冷たい空気が流れ込み、体温が一気に下がる。


「やだ〜起きたくない〜」


「子供みたいなこと言ってないで早く起きて!今日はデスティニーパークに行くのよ⁉︎」


アリスが寒さでうずくまる俺に言う。


「……わかった」


そう言って俺は手を伸ばす。


「全く、1人で起きなさ…っきゃ!」


手を取ったアリスを布団に引きずり込み、俺は上から布団をかけた。


「わかったから、夢の国に一緒に行こう……」


「全然わかってないわよ!!」


俺の頬に平手打ちが叩き込まれるのには、そう時間はかからなかった。


「あ、遅いよ悠くん。何してたの?」


小さなリュックを背負ったルミナが眠そうなイリカを連れ玄関で待っていた。


「すまんな、ちょっと準備に手間取ってな」


「すまんな」とか慣れない言葉遣いで喋ってみたが、腫れ上がった右頰の痛さを紛らわすことはできなかった。

超痛い。


「それじゃあ出発よ!」


アリスが元気よく声をかける。

デスティニーパークまでは馬車で移動する。

大体2時間も走れば到着だ。


「だからってこんなに朝早くに出なくても……」


馬車の中で抗議するとアリスがチッチと指を振る。


「甘いわよ悠斗。あなた、前の世界の某ネズミーランドの怖さを知らないの?」


「知ってるに決まってる。俺は生粋の江戸っ子だぞ」


「あそこがあるのは千葉でしょ…」


場所の話は置いといて、あそこの人の混雑具合は嫌と言うほど体験してる。

駅のホームの人の多さもさることながら、到着してからの倍の量の人。

あと学校の休み期間中の制服着てる女子高生の量は異常。

一体どこからこんなに人が出てくるんだろうか。

おそらく各々の家からだと思うが。


「とにかく、わかってるならもっとシャキッとしなさい」


アリスがピッと指を立てる。

こんな世界にもテーマパークがあるのもびっくりだが、アリスのガチ度にもびっくりした。

それにひきかえ、ルミナとイリカは爆睡だ。

興奮するアリスをこのまま野放しにできるはずもなく、俺は仕方なくアリスと某ネズミーランドあるあるを話して時間を潰した。

そんな俺たちを乗せた馬車は、デスティニーパークに着々と進んでいたのだった。


3


「着いたわ!ここがデスティニーパークよ!!」


アリスが馬車を降りるなり、両手を広げ宣言した。


「ほらイリカ、着いたぞ。早く起きろ」


「ん、まだ、着いて、ない」


「いや着いてるんだって」


俺は馬車で完璧に寝てしまったイリカをおぶりながら必死に起こした。

だが結果はご覧の通り。

目的地に到着したのに着いてないと言い張る始末。


「この人混みの中でこいつをおぶりながらまわるのはきついぞ……」


パークを前にして早くも帰りたくなってしまった。


「なあルミナ、交代してくれよ」


「やだよー、私だって楽しみにしてたんだもん。がんばれ、お兄ちゃーん♪」


「くっ………」


俺は諦めてイリカをおぶっていくことにした。


「ほら、早く入りましょう!」


アリスが待ちきれない様子で言った。

アリスに続いて入場ゲートを通ると、色んなアトラクションが目に入った。

レールがなく宙に浮いてるジェットコースター。

大きなシャボン玉の観覧車。

ペガサスのメリーゴーランド。

どれも異世界ならではのアトラクションだ。

つい見入っているとアリスがふと気づく。


「あら?キャラクター達がいないわ。よく見ればキャストさんもいないわね…」


本来入場ゲートにはここのキャラクター達が出迎えてくれるらしいのだが、今日は全くいない。

アトラクションを見てもキャストはおらず、無人状態だった。

すると突然パーク内にアナウンスが流れる。


「あー、デスティニーパークにお越しの皆様に大変嬉しいお知らせです」


くぐもった声の怪しい男の声がパークに響き渡る。

そして男はこの最悪な事件の始まりを宣言する。


「あなた方は、ここで死んでいただきます」


「はあ、ほんとついてない…」


俺は自分の不幸を思わず嘆いた。

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