プロローグ
異世界転生なんて信じない。
自称現実主義の俺は、物心ついた頃からそんなのは漫画やゲームの世界だけだと思っていた。
だがしかし。
ありえないことに俺は今、上空1万メートルから地上に向けて落下している。
ちょうど飛行機が飛ぶくらいの高さと言えば伝わるだろうか。
何でこんなところにいるかの説明は、悪いが今は省略させてもらう。
一つだけ言えることは、ここから地上に落ちれば普通の人は確実に死ぬ。
だが俺に死という選択は許されていない。
雲を突き抜け、そろそろ地面の形がはっきりわかるくらいまで落ちた時、偶然飛んでいた鳥型のモンスターの背中に直撃した。
その弾みでまた空中落下をするが、明らかに先程とは速度がゆっくりだ。
俺はそのまま、地面から生えている巨大植物の葉っぱの上に落下した。
葉っぱがクッションとなり、俺は地面にゆっくりと背中から着地した。
「痛っ……くないな……」
死ぬどころか怪我すらない。
こんなの奇跡である。
しかし、その奇跡がこの世界の俺には当たり前なのだ。
「やっぱり死ねないよな…」
俺は空に手をかざして呟く。
右手の中指にはキラリと光る指輪が。
俺の名前は沖谷悠斗。
死ねない呪いをかけられて異世界転生をした。
どうしてこんなことになったのか。
さっき省略した部分を話すことにしよう。
話は約半日くらい前に遡る。