4.スキルと名前
IRUCAです!
魔法って憧れますよね!!
主人公チートかもしれないスキルとご対面です!
木々の隙間から漏れる強い日差しによって俺は眼を覚ました。
目の前には寝た場所とは違う、森のような光景が広がっていた。
…なんてことはなく、目が覚めるとそこにはやはり広大な海が広がっている。
目が覚めたら、実は夢でした!!みたいな展開を期待していなかったといえば嘘になるだろう。
俺はおとなしく目の前の現実を受け止める。
(おはよう。)
『おはようございます。』
そういえば、昨日魔法を発動してもらってから、一度も話していなかった。
(昨日はありがとうな。)
『なんのことでしょうか。』
(魔法を発動してくれただろう。)
『いえ、魔法の発動は孝様が生きていく上で必要なサポートですので、感謝には及びません。』
なんていい子なのだろう。
てか、この子に感情はあるのか?
今日は拠点を作ろうと思っているがその前に、いろいろと話さないとな。
(まず、俺はお前をなんて呼べばいい。)
『私はサポートシステムですので、名前はございません。呼称しなくても意識していただければ、反応いたします。』
(そういうことではなんだが。まあいい、なら好きに呼んで構わないということだな?)
『はい。』
(なら、これから俺はお前をサポと呼ぶぞ。)
『承知いたしました。』
サポートシステムだからサポとか安直だとか、気にしてはいけない。
(では次の質問だ。ここが異世界だと仮定して、この世界のルールを知りたい。)
たとえここが地球だったとしても、きっとここに俺を連れてきたやつらは、異世界としての設定を詳しく作っているはずだ。
どちらにせよ、ここのことを詳しく理解してないと生活できるかわからないしな。
『はい。ですが、世界のルールと言いましても何を説明すればよいのかがわかりません。』
それもそうか。確かに自分がこんな質問されたらなんて答えればいいのか、わかるわけがないよな。
(すまん、時間や日付の概念はあるか?)
『ございます。』
・
・
・
どうやら、ここの時間や日付の概念は地球と同じようだ。
1年は365日、更に4年に1度だけ1日増える。1日は24時間だそうだ。
ここまで地球と同じだと少し地球説が現実味を帯びてきな。
地球説というのは、ここは実は地球である、というやつだ。
他にも季節の存在とか、いろいろ聞いてみたが、やはりほぼほぼ地球である。
すこし指向を変えてここの世界情勢なんかも聞いてみたが、ここは絶海の孤島だから、世界情勢などは、わからないと言われてしまった。
あまり良い情報は得られなかったが、地球で生きるように生きて問題ないということだけはわかった。今の俺としては、それだけでもうれしいことだ。
ここについて、ある程度のことをしることができ、話しているうちに、サポとも仲良くなった気がするので、ある提案をしてみた。
もちろんそう思っているのは俺だけだろうが。
(サポ、俺がお前を意識してない時。そうだな、ひとり言みたいに考え事してる時も反応してくれないか?)
『承知いたしました。反応条件を切り替えます。』
(ありがとう。)
切り替えた目的は解決できる問題を無駄に考えるのが嫌だったからだ。
一緒に考えてくれる、スパコンがあったら最高だろ?
そういえば、なんで急に魔法なんて習得したんだろう。
『それはスキルによるものです。』
驚いた。
独り言に反応してくれといったのは俺自身であるが、いきなり脳内に声が流れるのはやはりなれない。
(スキルってなんだ?)
スキルっていよいよゲームっぽくなってきたな。
『スキルとは、本人の持つ能力に対して働く補助システムであり基本的にはより円滑な能力の行使を補助いたします。』
すこしわっかりにくいな。
つまり、本人が持ってる能力をわかりやすく示して、さらに高めるって感じかな。
『その通りです。』
どうにか理解できているようだ。
(俺はどんなスキルを持っているんだ?)
『お自身のスキルやステータスはステータス表示で確認することができます。』
(ステータス表示?)
『はい。ステータス表示と意識していただければ表示いたします。』
すかさずやってみる。ステータスなんて言っていたが、数値なのだろうか。
もう完全にゲームじゃないか。
(ステータス表示)
目の前の空間にパソコンのウィンドウのような半透明の板が現れ、そこに文字が映し出されている。
《unknown(大木 孝)》
lv1
創造術師 lv-
HP 20/20
MP 20/20+***
攻撃力 11
防御力 7
魔力 33+***
精神力 28+***
素早さ 9
運 87
スキル
《魔法生産lv1》
『鑑定』
魔法
《炎魔法》
unknown???何かアスタリスクあるし、変じゃないか?。
(サポ、こういうものなのか。)
『…いいえ違います。申し訳ありませんが、原因は私にも全くわかりません。』
まじか。
自分のスキルよりこっちの方が気になってしまった。
サポもわからないようなことだ。俺が考えても仕方がないだろう。
とりあえずスキルの確認をおこなう。
どうやら、ステータス表示内のスキルをタップすることで、スキルや能力の詳細が見れるようだ。
《魔法生産lv1》
魔法を創造することができる。創造可能な魔法と再使用時間はlvに依存する。
どうやら魔法が作れるスキルのようだ。魔法が本来どのように手に入るかが、わからないせいで、このスキルの重要性がわからないな。
(魔法は本来、教わるかlvが上がることで習得します。本来生産できないもので、孝様が造られた魔法は固有魔法です。)
ほお。要するにやばいスキルなのかな?
いわゆるチートみたいな?今まで、造ったの着火くらいだから、何かパッとしないな。
(今、何が造れるんだ?)
『それは不明です。作成制限は魔法の魔力量に依存しているようで、その魔力内でできる魔法を創造することができます。』
どうやら考え次第ではなんでも作れそうだ。
となると俺に魔法の知識が必要そうだな。
ん?そこじゃないな、そもそもスキルって、もともとできることのサポートなんじゃなかったっけ。
『その通りです。』
(つまり、俺がもともと魔法作れたってこと?それとも、ここにきてその能力を手に入れたってこと?)
『申し訳ありませんが、それは不明です。前に申し上げた通り、私が起動したのはこの島についた後でしたので、その前の状態は不明です。』
なるほど、この話題も不明か、わからないことが多いな…
とりあえずこのスキルは後で研究するとして、再使用時間9:12って書いてあるから大体1日くらいのクールタイムって感じか。これは後で試そう。
他のスキルは『鑑定』か。
『鑑定』
対象の詳細な情報を得ることができる。発動には、特定の動作が必要。
普通に鑑定だった。
特定の動作って何だろう。
近くの木に意識を向けて鑑定を念じてみる。
視界の隅に小さなウィンドウが現れた。
クヌギ(樹木)
温帯性の落葉樹
樹液は森の宝石と言われる。
クヌギだ。これは日本のやつまんまじゃないか…
樹液の価値がすごく高そうに書いてある。
特定の動作は魔法使用時と同じようだ。
あれ、ここ熱帯じゃなかったのか?温帯性の木が生えてていいのか?
『ここの気候は通常のものと大きく異なりますので、そのせいだと思われます。』
うむ、つまりここは常識が通用しないということだな。
相変わらずめんどくさいなこの無人島は…
ステータスの項目も確認しておいた。
HP、MP、攻撃力、防御力、魔力、素早さは基本的にはゲームによくあるものだった。
精神力は少し特殊で、魔法防御力みたいなもののようだ。
運は…よくわからなかった。
少し悩んだあと、ふと名前をタップしてみる。
するとステータスと違うウィンドウが現れた。
《名前を変更しますか?》
その下にはいといいえの選択肢がある。
名前変更できるのかい!!
はいを選択する。
キーボードのようなものは出ないようだ、どうやらこの操作も頭の中で行うらしい。
頭の中オープンすぎない?
試しにタカにしてみる。
《名前をタカに設定しました。確定すると変更はできません。》
下には確定、仮決定、取消がある。
仮決定?名前が偽装できるのか?
確定はしない方がいいか…
とりあえず、取消しておこう。
チェックするものがもうないので、ステータスを閉じる。
俺は名前を自由に変更できて、魔法を創れる結構な変わりものだったようだ。
とりあえず現状もだいぶ整理ができたし、そろそろ拠点を作り始めようか。
拝読感謝です!!
本編では載せられなかったステータスの項目を記載します。
攻撃力
物理的な肉体の参考値
防御力
物理的精神的な耐久値
魔力
魔法を駆使する能力の参考値
精神力
耐精神攻撃への耐久値、自己魔法の限界値
素早さ
行動速度の参考値
運
割り振られた、運命の番号