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第十章

第十章 「不死鳥と命のカケラ」


巨鳥と話せることは勿論驚いたけど一番大袈裟だったのはサクラ。

「えっ?!何で?!どうなってるの?!」

どうやらサクラには巨鳥の声は聞こえないらしい。


〈明日、あの山の麓にある遺跡に来てください〉

近くの山を眺めながら巨鳥は言った。

「うん、分かった。…でも…、どうして?」

〈そ…それは…〉

僕の問いに巨鳥は言葉に詰まった。

〈と、とにかく来てくださいね!〉

巨鳥は慌ただしく洞穴から出ていき、

〈僕、食糧持ってきます!〉

と付け足して走っていった。


次の日…。

巨鳥との約束通り、僕たちは山の麓の遺跡に向かった。

「…ここか…」

「まさに”遺跡”って感じね…」

僕たちの目の前に建つその遺跡はかなり古いものらしく今にも崩れそうな程ボロボロだった。

まるで廃墟と化した学校か病院のようだ。

こんな所に夜に来れば”お化け屋敷”なんてレベルじゃないだろう。

そんなことを思っていると遺跡の奥から巨鳥が出てきた。

〈あっ!スカイさん、サクラさん、待ってましたよ。中へどうぞ〉

巨鳥は僕たちを遺跡の奥へと案内した。


遺跡の中は薄暗かった。

〈ここを抜ければ直に明るくなります〉

細長い通路を歩きながら僕は壁を見た。

そこには何か文字や絵だと思われるものが刻まれていた。

外と同様にボロボロに崩れていたからよく分からなかったけど。


「うわぁ!」

通路を抜けるとそこには神秘的な光景が広がっていた。

何十本もの古びた柱が並び崩れて空いた天井から光が差し込んでいた。

柱にその光が当たりきらきらと輝いていた。

「…あれ…」

僕は思い出すように呟いた。

確か前にこれと似たような景色を見た…筈…。

色んなことがあり過ぎて混乱していた。

半分、記憶障害になっているのかもしれない。

「スカイー!置いてっちゃうわよー?」

考え事に耽っていると遠くでサクラの声が聞こえた。

「あっ!うん、今行くよ」

そう言ってサクラの方へ走り出した。

考えたって仕方ない。

今はただ前に進むしかないんだ。

僕たちは巨鳥に連れられて遺跡の奥へと入っていった。


〈着きました!”遺跡の祠”です〉

巨鳥の声で顔を上げるとそこは遺跡の一番奥にある広い部屋だった。

その奥には光輝く小さな何かが台座らしきものの上に浮かんでいた。


〈これは”命のカケラ”…、世界中の”命の源”が集まるとこのように結晶となります〉

巨鳥は説明を続けた。

〈この遺跡の祠は別名”命のカケラの間”とも呼ばれていて、この遺跡は元々命のカケラを祀る為に造られました〉

巨鳥はすらすらと説明していく。

でも何で態々僕たちを連れてきてまで…?

それだけが不可解だった。


「わぁ!これ色が変わったよ!」

台座の上の命のカケラを眺めていたサクラが突然言った。

確かによく見ると赤から青に変わっていた。

〈いろんな命にはいろんな色があります。そしてこの世界は成り立っているのです〉

「いろんな色…ねぇ…。オーラみたいなものか…」

僕から通訳を聞いたサクラは一人で頷いて納得していた。

でも僕にはまだ納得出来ないことがあった。

一体この巨鳥は何者なのか。

どうして僕たちをここまで連れてきたのか。


〈黙っていてすいません…。僕は”不死鳥のフェニックス”、命のカケラを守りし者…〉

「…えっ…?」

不死鳥…、死んでも生き返る伝説の鳥。

まさか本当に存在したなんて…!

〈お願いがあります!この世界の何処かに在るといわれているもう一つの命のカケラを見つけ出してください!〉

フェニックスからのまさかの依頼。

でも困っているのなら…。

「分かった、やってみるよ。少女も見つかるかもしれないしね」


こうして僕たちは冒険への一歩を踏み出した。

こ世界を救う為。

そして僕たちの世界に帰る為。

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