第九章
第九章 「絆」
気が付くとそこはあの洞穴だった。
「あっ!スカイ!…良かったぁ…、気が付いて…」
ハァと溜息を吐くサクラ。
「…ここは…」
だんだん意識がはっきりしてくる。
「もう、スカイってば、急に倒れるんだから。
スカイが気絶してる間、本当に大変だったんだからね」
腰に手を当てて少し怒り口調で言うサクラ。
「ごめんごめん、僕が悪かったよ」
言い訳をするとまた何か言われそうなので素直に謝っておく。
「あれ?そういえばあの鳥は?」
辺りを見回しながら問う。
「あぁ、それならこの奥で寝てるわ」
サクラが指差した先であの巨鳥が静かに眠っていた。
規則正しい寝息を立てているその巨鳥を見て僕は何故か少し安心した。
「しばらく寝たままなのよ」
再び溜息を吐くサクラ。
「きっと疲れてるんだよ」
そう言って僕は思い切り伸びをした。
空は青く澄んでいた。
ここで僕はふと気が付いた。
そういえばしばらく何も食べてないな…。
気が付いてしまえば不思議なもので。
少しお腹空いてきた…。
外に何か食べるものがあるかもしれない。
「僕、食べ物探してくるね」
そう言って洞穴を出ようとした時。
〈…行か…ないで…〉
何処からか声がした。
「サクラ…、何か言った?」
「えっ?何で?」
サクラはきょとんとしている。
じゃあ一体あの声は…?
―…行か…ないで…―
途切れ途切れだけど確かに聞こえる。
「…もしかして…」
僕は奥の方で寝ている巨鳥に近づいてみた。
〈お願い…、行か…ないで…〉
今度は巨鳥から聞こえてきた。
「やっぱり!」
この声の主は巨鳥だった。
僕たちはもう、”絆”という糸で繋がれていたんだ。