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第八章
第八章 「心の中」
目を開けるとそこは真っ白な世界だった。
何一つない”無”の世界。
そこに小さな鳥が居た。
ピー、ピーと小さな声で鳴いている。
その小さな鳴き声は弱弱しく儚いものだった。
それでもその鳥は鳴き続けていた。
僕に何かを伝えるように。
〈…助けて…〉
そんな声が聞こえた気がした。
小さな鳥は泣いていた。
自分が弱いことに、何も出来ないことに、悔しくて苦しくて。
でも、それでも助けてほしい。
この弱い自分を心の闇から救ってほしい。
僕もそうだった。
幼い頃、いつも一人ぼっちだったから…。
「そっか、そうだったんだ…」
この鳥もずっと一人ぼっちだったんだ…。
鳥が僕の顔を覗き込む。
〈…君も…一人ぼっちなの…?〉
そう鳥が言った―ような気がした。