第四章~第五章
第四章 「秘密」
「…ここは…?」
深緑色の葉が生い茂った大木に囲まれたその森はまだ朝だというのに薄暗かった。
「私だけが知っている”秘密の森”です」
秘密の森、前に本で見たことがあった。
まだ誰も見たことのない幻の森。
そこには数多くの秘密が隠されているという…。
「私は今まで、この森の秘密を守ってきました。…それが私の役目だから…」
そう言った少女は何処か悲しげだった。
そして僕たちはその”秘密”を目の当たりにすることになる…。
第五章 「不思議な泉」
「着きました」
「うわぁ…!」
少女が足を止めて言うと目の前には今まで見たことのない光景が広がっていた。
中央の泉を囲むようにしてピンクや青の光の玉が浮いていた。
これは”光ホタル”といってこの森にしか生息しないとされている幻のホタル。
そして何より不思議なのはこの場所が森の一番深い所なのに光が差しているということ。
空を見上げると一か所だけぽっかり空いている所があってそこから差し込む光が泉に重なって流れる水がきらきらと輝いていた。
本に描かれていた挿絵とは少し違ったが神秘的な光景に感動していた。
「綺麗…」
サクラに至っては目に涙を滲ませていた。
…感動していたとは言ったがサクラ程ではない。
「ここは”神の泉”…、古代の神が創ったとされている泉なんです」
神の泉…、確かにこの光景には神々しさを感じる。
そして何故か懐かしさまで感じた。
「ここからワープします」
「えっ?!」 「ワープ?!」
少女の発言に僕とサクラは同時に叫んだ。
本当にそんなことが出来るのだろうか。
否、出来る以前の問題だ。
僕もサクラも半信半疑。
すると少女は何か呪文を唱えた。
「フェニアレイカ・ラグナージ!!」
何を言っているのか分からなかったけど何か不思議な感じがした。
「…?!」
突然辺りが眩い光に包まれた。
「うわぁーっ!!」 「きゃあーっ!!」
そしてその光とともに僕たちは泉の中へ吸い込まれてしまった。