第十九章
第十九章 「運命の変わるとき」
フェニックスは甲高い鳴き声を響かせた。
〈皆も手伝ってくれるみたいですよ〉
この世界に生きる全ての動物たち、小さな虫までもが遺跡に集まってきた。
…虫、ということは…。
「きゃあぁぁぁーー!!虫ぃぃぃーー!!」
…やっぱり…。
このまま連れていく訳にもいかないので僕たちはサクラを置いて奥へ進んでいった。
一番奥まで行くと遺跡の祠があった。
そしてその奥には…。
「…あった…」
命のカケラが浮いていた。
「…もう一つの…命のカケラ…」
もう一つの命のカケラはこの世界に実在したのだ。
「フェニックスは前に”これは運命、誰にも変えることの出来ない宿命”って言ってたよね。
でも違うよ。運命は変えるもの。そして今がその時!」
〈…スカイさん…。僕…、胸がいっぱいです…!〉
フェニックスは大粒の涙を流しながら言った。
「まだ泣いちゃ駄目!まだやるべきことは終わってない!」
やるべきこと。
それはフェニックスが一番よく分かっていた。
〈…スカイさん…〉
「フェニックス、運命を変えなくちゃ!それが出来るのは今の君だけなんだ!」
フェニックスは何かを決心したように命のカケラを抱えた。
〈これを遺跡の祠でもう一つの命のカケラと合わせるのです〉
フェニックスはそう言って動物たちに命のカケラを託した。
〈皆!スカイさんとサクラさんを外へ!僕は遺跡の祠で儀式の準備をする〉
動物たちに指示するフェニックスの姿は何処か逞しかった。
「儀式って一体…?」
〈時の神と空間の神を崇め、敬う為の儀式です。
命のカケラの力を借りることで闇に染まってしまった世界を浄化したり病や災害から世界を守ることが出来るんです〉
説明しながらもフェニックスはせかせかと動き続けていた。
暫くして遺跡が揺れ始めた。
〈そろそろ時間です。早く外へ!〉
フェニックスがそう命令すると動物たちは僕と既に気絶していたサクラを連れて遺跡の外へと駆けていった。
遺跡の中にはフェニックスだけが残った。
サクラが目を覚ます頃、遺跡は跡形もなく崩れていた。