第十六章
第十六章 「繋がりの糸」
僕たちがこの世界に来て半年が経とうとしていた。
この世界にはカレンダーはないから正確には分からないけど。
ある日の夜、僕は”友達”と呼べる男の子のことを思い出していた。
名前は「ラウド」、曲がったことが大嫌いな僕の親友。
何事にも諦めず真っ直ぐな彼に何度も助けられてばかりだった。
「…会いたいなぁ…」
僕は真っ暗な空を見上げて呟いた。
空は雲一つない快晴にも関わらず星一つなく、辺りは真っ暗だった。
そんな真っ暗な空に手を伸ばして呟く。
「大丈夫、きっと僕がこの世界の”光”を見つけてみせるから」
きっと、この世界に、いつまでも輝き続ける光を照らしてみせるから…。
〈スカイさん、ここに居たんですね〉
後ろでフェニックスの声がした。
「あぁ、フェニックス」
僕は振り返って答えた。
〈…この問題が解決したら…、帰っちゃうんですね…〉
フェニックスは寂しそうに言った。
「また会えるよ」
僕は笑顔で言った。
「だって、僕たちは繋がっているのだから…」
そう、繋がっているんだ。
誰にも見えない糸で。
「僕たちの間には糸がある。その糸は僕たちを引き寄せ、出会わせる」
〈…スカイさん…〉
フェニックスは照れ臭そうに笑った。
「これは運命なんだ。この世界が生まれると同時にこの運命も生まれた。…そして…」
そして―フェニックスと出会った。
今までいろんなことがあったけど、やっぱり。
「僕、フェニックスに会えて良かったよ」
〈スカイさん…、ありがとう〉
フェニックスは笑っていた。
この空のような何一つ曇りのない純粋な笑顔。
それこそフェニックスの本当の笑顔だった。
…見つけた。
僕が出来ること。
否、僕にしか出来ないこと。
世界を変えることは出来なくても、フェニックスを勇気付けることは出来る。
後はフェニックス自身が変わらなくてはならない。
だけど…。
「きっと大丈夫だよ」
どんなことがあっても、僕たちは繋がっているから。