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Synthetic School  作者: 南雲 楼
六章 生徒総会、争奪戦
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3

 メガホンを通した女子生徒の声。何度か聞いた声だ。顔を向ける。緩く巻かれた明るい茶髪の生徒――三好(みよし)裕子(ゆうこ)だった。なんでこんな時に? だが、全校生徒の衆目が集まっている中で慌ててはならない。


「すいません、質問の意味が分かりません。もう一度お願いします」


 落ち着け俺。そう言い聞かせ、言葉を返した。


「頭わりいな、生徒会の優等生もよ」


 裕子のスピーカーを奪い、話しながら体育館内に入ってくる生徒。髪は銀とも茶ともつかない色に染められている。菊川(きくかわ)(すぐる)。総会中にも関わらず、普段通りの崩した服装だ。


 メガホンを持っていない右手は何かを隠しているのか、体の後ろに回されている。


「ちょっと! 今は総会中ですよ!」


 席を立ちあがり、雛が叫んだ。だが、勝はそれを無視して、生徒会役員達へ視線を投げた。それに憤りを覚え、さらに口を開いた雛を帳が制する。助かった。彼が居なければ余計に話がこじれるところだった。


「俺らがこうして総会に割り込んだのは――お前らと戦うためだ。ささやかな復讐ってこったな」


「戦いたいなら後でにしてもらえますか。今は総会中なんで。迷惑なんで」


「そんなこと言っていいのかなー?」



 勝は体の後ろに隠していた物を掲げた。それが何かを理解する前に名月が叫び声を上げた。


「うさちゃんんんんんんんんん!」


 名月が愛してやまない飼育小屋のウサギだった。


「お前らふざけんなやあ!」


 椅子から立ち上がり、ウサギの元へ駆け寄ろうとする名月。蒼冱が反射的に彼女の腕を掴んで押さえた。


「落ち着け! 今は総会中だ」


「そんなもん知らんわ! うさちゃんに触れたクソ野郎に制裁加えるんやあ!」


 名月は叫び、蒼冱を振りほどこうともがく、しかし、女子の中でも細い部類に入り、筋肉の少ない名月に男子の手を振りほどくことはできない。


「ウサギを飼育小屋から勝手に出さないでください!」


 摩胡が立ち上がり、勝に向かって叫ぶ。委員長として見過ごせないのだろう。勝はそれを面白そうに眺め、扉の向こうに視線をやる。それを受けて彼の仲間たちが現れた。ほぼ全員がウサギを抱えている。


 名月の怒声とも奇声とも判別がつかない叫びが上がった。こいつらの目的は何なんだ……。


「なんでうさちゃん達連れてきてるんや! お前らが汚い手で触っていい存在じゃないんやあ!」


「落ち着け」


 蒼冱が名月の口を押えて黙らせた。そのまま舞台袖に引き込んでいく。ウサギが大切なのはわかるが、ああも叫ばれては話が進まない。蒼冱の判断に感謝だ。



「お前らさ、何が目的でウサギ連れてきてんだよ」


「お前ら生徒会を潰すためだ」


 梳玖の一件の後、出かけたコンビニで出会った裕子と心愛。あの時の裕子の言葉が思い出される。『今、アタシら面白い計画立ててんだよ』。こういう事だったのか? だが真意が分からない。ウサギ等連れてきたところで勝達に何の得がある。


 勝は勿体付けたようににやにやと笑いながら口を開いた。


「俺達はお前ら生徒会とゲームがしたい」



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