招かれざる者
既に虫の声が草むらから聞こえてくる。地上はうだるような暑さだと言うのに、標高が高い場所のせいか、空気は澄んでいて冷やりとしている。
「ダメだ、ここからは入れそうにないな」
舌打ちをして、天野は車を止めた。
「えー、何?ここから歩けっての?嫌よ、こんな山道」
「だったら、ここにいろよ」
天野はボストンバッグを手にして車を降り、後部座席に座っていた香菜美も溜息をつきながら渋々降りた。一人で、こんな山の中に取り残されたくはないのだろう。
「方向は、こっちで間違っていないんだろうな、村岡」
そう言ってタバコを取り出すのを見て
「おい、ここでタバコは止めろよ。山火事になるぞ」
荷物を手に車を降りながら、村岡と呼ばれた男はそう声を投げた。相手はムッとしながらも、タバコを元に戻す。
「間違いないさ。草だらけだけど、車一台が悠々通れそうなスペースがあるし、大きい樹が生えていない。元は道があったはずだ」
腰丈ほどもある草を分けながら、彼らは車道から100m程山奥に向かって歩いた。その間も香菜美は服が汚れるだの草で手を切っただの大騒ぎだったが。やがて錆びた鉄製のアーチ状の門が現れ、そこには「売家」と書かれた古い大きな看板が掛かっていた。
「嘘、これを登るワケ?」
あからさまに彼女が不満気な声をあげたが、勿論その意見は無視された。彼らはその門を何とかよじ登って乗り越えて、屋敷のエントランスまでたどり着いた。
「古いけど、綺麗な家」
息を切らせながら、彼女は屋敷を見上げてそう呟いた。それはドイツの木組み建築を真似て作った山荘風の屋敷だった。元々この建物を造った主は、欧州へ旅行した際に、ドイツの建物の美しさに惹かれて、この別荘を建てたのだという。
「かなり古い建物なのに、あまりガタがきてない感じだな。家なんて人が住まなくなれば一年くらいで朽ちてしまうのに」
「あの噂も意外と本当かもな」
「ちょっと……止めてよ」
まだ日が高いというのに、香菜美は寒気を感じたように震えた。
「だから誰も近寄らないんだろ。丁度良いじゃん。問題は、どうやって中に入るかだな……」
天野がそう言った瞬間、中からガチャリと音がした。思わず香菜美が小さな悲鳴をあげ、男達もバッグを抱えたまま身構えた。
ドアを開けたのは十一くらいの目の大きな少年だった。一見すると少女と間違えそうなくらい可愛らしい顔立ちの。彼はキョトンとして三人を見上げると
「誰?」
そう訊ねてきた。
「お前こそ誰だよ?」
安心して息をつき、天野がそう訊ね返した。
「僕は忍。……ひょっとしてお兄さん達も肝試し?」
「いや、この屋敷を購入しようかと思って、下見に来たんだよ」
咄嗟に村岡はそう告げた。二人は驚いた目を向けてきたが、何も言わずに黙っていた。少年は目を丸くして
「この幽霊屋敷を買うの?物好きだね」
「まだ検討中なんだよ。とりあえず、中に入れてくれるかい?」
跳ねるように歩く彼の後について、建物の中に足を踏み入れると、正面に大きな階段があり、それが踊り場から左右に分かれて二階に繋がっていた。二階にはそれぞれドアが五つづつ並んでいる。
「やだ、埃が降ってきた」
香菜美が声を上げ、見上げると吹抜の高い天井には、遠目にもわかるような太い蜘蛛の巣が張った古いシャンデリアが一つ下がっていた。かつては三台のシャンデリアが掛けられていたのだろう。
「あれ、落ちてこないだろうな?」
天野が見上げて、そう言った。
「ねえ、知ってる?お化けの出る場所の事、英語でデストラップって言うんだよ」
「坊主、一人で肝試しとは度胸があるな」
「友達と賭けたんだ。ここで一晩過ごせたら一万円って」
「はー、その年で賭けとはね」
天野はニヤニヤと笑いながら、面白そうに言った。
「君はどこからここに入ったんだい?」
村岡がそう訊ねると、彼は得意げに鼻を鳴らせて
「この家の横にある大きな木を登ったら、二階のベランダに入れるんだ。窓が壊れてる場所から簡単に入れたよ。お兄さん達が来るまで、一人で探検したんだ。この家、どの部屋にも暖炉があるんだよ」
そう自慢気に話していたが、それを遮るように
「それより、もう少し明るい部屋はないの?」
周囲を薄気味悪そうに見ていた香菜美が口を挟んだ。確かにこのホールは玄関のドアにしか窓が無く、昼でも薄暗かった。
「大広間は明るいよ」
話を止められて不満気ながらも忍はそう言い、左手にある両開きのドアを開けた。
そこはガランとした空間で、西側の大きな窓からは山深い風景が見渡せた。ドアの正面には大きな暖炉が、その上にはヒビの入った鏡が備え付けられていた。天井には古びた、だが頑丈そうなシャンデリアが下がっていた。
「綺麗」
ほっとしたように彼女が呟くと、少年はからかうような顔をして振り返り
「知らないの?『ここ』がいわくつきの場所なんだよ」
意地悪そうに言った。先ほど話しを止められたお返しと言わんばかりに。案の定、香菜美はサッと顔色を変えた。
「君、ここで肝試しをするつもりだったんなら、懐中電灯とか灯りの類いは持って来たんだろう?」
村岡がそう訊ねた。
「持って来たけど必要ないよ」
彼はそう言うと、飾り棚を開け、中から大量の和蝋燭を持って来た。
「これだけあれば一晩は充分持つな」
天野の言葉に香菜美が顔を引き攣らせた。
「お兄さん達も、ここに泊まるの?」
「泊まってみれば噂が本当かデマかわかるだろう?」
「そう言う事。さて、少し大人同士で大事な話があるから、子供は外で遊んできてくれるか?」
少年は不服そうな顔をしたが、確かに自分はお邪魔虫だと察したのだろう。大人しく広間を出て行った。
「冗談じゃないわ!私は嫌よ、こんな所!」
「でも暫く身を隠すには最高の場所じゃないか」
「嫌なら一人で帰んな。でも今からじゃ途中で夜になるぜ。車の運転はできないんだから野宿だなあ。幽霊が出なくても、クマがでるんじゃないか?」
「……あんたって、本当に最低」
からかうような天野の言葉に、彼女はそう吐き捨てた。この二人は同じパチンコ店で働く同僚であり、付き合ってもいる。が、天野は職務怠慢で、一ヶ月前に辞めさせられていた。いい加減な性格と客とすぐにトラブルを起こすためだ。が、彼にしてみれば、解雇はひどくプライドを傷つけられたらしかった。
村岡はというと職場で人間関係が上手くいかずに、職を次から次へと転々としていた。貯金などはなく、むしろ小さな借金を重ねていくうちに、それがどんどんと増えてきていた。大金はいらなくても、まとまった金は欲しい、そう思っていた。
そんな時、高校の同級生でもあった天野に再会し、ある話を持ちかけられた。それは、自分の勤め先だった会社から売上金を強奪する、というものだった。
「金・土・日の売上分が日曜の夜の金庫の中に入っている。軽くみても一千万は入っているはずだ」
「そんな上手くいくかよ。金庫ごと盗むつもりか?」
「バーカ、金庫の暗証番号は知ってるんだよ。俺の女がオーナーから上手く聞き出したんだ。これは退職金がわりに頂くんだ」
誰かを傷つける訳じゃない、村岡はそう自分に言い聞かせた。
日曜の深夜、天野が辞める直前に拝借して作ったという事務所の合い鍵で中に入り、懐中電灯の明かりを頼りに、金庫を開けた。二人が生まれて初めて見る札束の山が、そこに入っていた。その時。
「誰だ!?」
室内の灯りが突然点った。暗闇に慣れていた彼らは一瞬、目がくらんで動けなかった。
「お前……天野か!?」
警備員がそう叫んだ瞬間、村岡は事務所にあったノート型パソコンを相手の頭に振り下ろした。そして気を失っている間に持って来た紐で警備員をイスに縛り付けたのだ。
「……お前、用意の良い奴だな」
「お前の立てた計画じゃ不安だったからだよ!」
彼らは金庫の中の札束をとりあえずバックの中に押し込むと事務所を飛び出して、用意していた車に飛び乗った。
「何、どうしたの!?」
後部座席で待っていた香菜美が驚いたように問いかけてきたが、彼らは何も話さなかった。途中で天野が前もって用意していた車に乗り換え、三人は当てもなく走り続けた。最初はヒステリックに喚いていた彼女も、その頃には諦めたように黙り込んだ。こうなってしまった以上、諦めるしかないのだ。
二時間ばかり走り続けただろうか、ある街に着いた時、
「酒飲みてえ」
唐突に天野が呟き、いかにも地方のバーといった微妙な灯りのついた鄙びた感じの店に入っていった。
「こんな時にお酒なんて……」
彼女は不満そうだったが、村岡もできることなら酒でも飲みたい気分だった。でなければやってられない。小一時間ほど店にいた天野がほろ酔い気分で戻ってきた時、ある情報を仕入れてきた。
この街のはずれに○○岳という山があり、かつては別荘地としてそこそこ賑わっていた。その中腹に今でも残っている昭和初期の洋館がある。第一次世界大戦の大戦景気に乗って、製糸と貿易会社を経営して一代で巨万の富を築いた社長の別荘だった。が、その後の震災や昭和金融恐慌の煽りをくらって、あっという間に破産した。覚悟を決めた社長は家族を連れてその別荘へ行き、妻と二人の子供、姉と弟を猟銃で撃ち、自分は大広間のシャンデリアで首をくくって自殺した。
その後、新しい持ち主が現れて、数年の間は何事もなかったが、やはり大広間で一家心中してしまった。以来、その屋敷は幽霊が出るといわれ、地元の子供達が夏になると肝試しに出かけようとするらしい。だが、普段は人気がない所だという。
「絶対に嫌!」
真っ先に香菜美は反対したが
「住むわけじゃない、ちょっとの間場所を借りるだけだ」
「まあ、人があまり来ない場所ではあるな」
男達がわりと乗り気の様子を見て、自分一人が反対してもムダだと悟ったのだろう。
「……せめて明るくなってからにしようよ」
という彼女の意見を尊重し、彼らはその夜は車の中で過ごし、昼過ぎのあえて車の通りが多い時間を選んで山へと向かったのだった。
「とりあえず戦利品を数えるか。それをやらなきゃ始まらねえ」
バッグをひっくり返して札を床に落とすと、数え始めた。何しろあの状況で手当たり次第に掴んで放り込んできたので、一体幾ら頂いてきたのか、わからなかった。
「……ねえ、今ドアの開く音がしなかった?」
不意に彼女がうわずった声をあげた。
「そりゃするだろう。ガキがいるんだから。……チッ、また一から数え直しかよ。数えてる時は変な声出すな」
彼女は肩を窄めながら、金を数えつつも、その間、何度も気になるように背後を振り返った。
「……何だよ、これだけかよ」
吐き捨てるように天野が呟いた。奪った金は五百万ほどしかなかったのだ。思った以上に千円札が多かったので、大金と勘違いしたのかもしれない。
「冗談じゃねえ、これっぽっちかよ!俺は面が割れてんだぞ!」
「そんな事言っても仕方ないだろ!」
「私なんて何も悪くないの巻き込まれた上にこれじゃ、わりに合わないわよ!」
気まずい沈黙が流れた。その空気から逃れたくて
「ちょっとトイレ」
そう言って村岡は大広間を出た。
天野は懐ろからタバコを取り出すと、苛立たしげに火を点けた。香菜美は惚けたように力なく座り込んで、ぼんやりと窓の外の風景を眺めていた。
「……あいつ、やっちまおうか」
まるで世間話でもするように、彼が煙りを吐きながら言った。驚いたように彼女は目を向ける。
「二人で五百万なら悪くないだろ」
「……本気で言ってるの?……あの子は?」
「毒を喰らわば皿まで。お前だって、もう戻れねえだろう?金は一円でも多いほうがいい」
「……いつ?」
「今晩。どうせ誰も来ない。幸いここは山の中だ」
香菜美が口を開きかけた時、窓に目を向けてギョッとしたように目を見開くとけたたましい悲鳴をあげた。一緒にいた天野は勿論、驚いて村岡と忍も飛んできた。
「どうした!?」
固く目を閉じながらも、彼女は震える手で窓を指さし
「ま……窓、窓に血しぶき……」
三人は目を向けたが、そこには何も無い。ただ、日が傾き出し、茜色に染まり始めた光が、深い木々を照らしているだけだ。
「そんなもの、どこにも無いよ」
「見たのよ、この目ではっきり!」
「ずっとビクついてたから、そう見えただけだろ。ちょっと興奮してるんだよ、色々あったから」
天野は励ますように香菜美の肩を抱いた。その意味ありげな力の込め方に、彼女は目を開いて、俯いた。
「大人でも恐がりなんだね」
そんな様子を見て、忍は邪気のない声で言った。
夜になると山の空気は急激に冷えてくる。
「……寒い……毛布なんてないわよね」
「屋根があるだけマシだろ」
台所にあった割れた皿を燭台代わりにして、彼らは二階の部屋の一室に固まっていた。大きすぎる空間に蝋燭の火だけでいると、影から何か現れそうな気がして落ち着かないのだ。何より、香菜美が大広間にとどまる事を嫌がった。
「寒いなら、暖炉で何か燃やせば?僕、燃やせる物探してくるよ」
忍は気軽に立ち上がると、部屋のドアを開けた。
「おい、明かりは?」
「懐中電灯があるよ」
ドアを閉めながらそう返事をし、軽い足取りが遠ざかって行く。
「……最近の子供は度胸があるな。僕が子供の頃は、電灯のない道を歩くのも怖かったのに……」
その時、バンッと何かが屋敷にぶつかるような音がして、微かに建物が揺れた。思わず三人は顔を見合わせる。どう考えても、少年がこの屋敷を出て行った時の玄関のドアを閉める音ではない。
「……何だ?」
「ちょっと見てくる。香菜美はここにいろ」
「……嫌よ!こんな所に一人なんて!」
「ここにいた方がいい」
諭すような天野の声色に、彼女は何かを感じ取ったのか、大人しく腰を下ろした。二人は部屋のドアを開け、懐中電灯で照らした。そこに映し出されたのは、古い板張りの廊下だけだ。特に変わった様子はない。村岡が足元を確かめるように先に歩き、その後を天野がついて行った。やがて階段に差し掛かり、村岡は段差を確かめるように電灯を向けた。それを見て、天野は背後から手を伸ばした。
一人残された香菜美は、震えながら天野が戻ってくるのを待った。本当は、今すぐにでもこの暗い部屋を出て、彼の後を追いたい。が、もしかしたら今頃は彼が村岡を……と考えると、その現場を見る勇気も無く、ただ身体を震わせながら、彼の足音が戻ってくるのを待っていた。
ふと、なにかが鼻をついた。思わず眉を寄せる。生臭い、なにかが腐ったような悪臭が漂ってきたのだ。それも、火のない暖炉から。
「ひっ!」
飛び上がるように彼女は立ち上がた。その拍子に蝋燭を乗せていた皿がひっくり返る。辺りは真っ暗闇となった。足がガクガクと震える。少しづつ視界が闇になれてきた。その時、ペチャ、と何かがへばりつくような音が窓の方からした。見たくない、咄嗟にそう思った。それなのに。自分の意思に逆らうように、首が、ゆっくりと窓へと向かう。真っ黒な窓に子供の手型がぺったりとついていた。それも真っ赤な。やがて涙のように、線を引いてしたたり落ちていく。また、ペチャ、と音がした。血糊の子供の手型だ。間髪入れずに、窓を埋め尽くすように無数の手型が次々と張り付いていった。
女のけたたましい悲鳴が暗い空間を裂くように響き渡った。はっと天野が振り返った瞬間、身体が宙を舞った。大きな音を立てて階段を転がり落ちる、その衝撃がガンガンと身体を叩いた。踊り場で一旦止まったが、全身の激しい痛みと頭痛で身体が動かない。ゆっくりと階段を踏みしめるようにおりてきた足音が近寄って来て、天野の身体を再び蹴り飛ばした。彼は一階まで、転げ落ちた。痛みと吐き気で、声すらも出なかった。再度、単調な足音が近づいてきて、動けなくなった天野の側で立ち止まると
「……お前達の計画に、気づかないとでも思ったのか?」
薄い笑みを浮かべて、村岡が静かに問い訊ねた。逃げなければ、天野はそう思って、這うように玄関のドアへと向かう。だが、思うように身体が動かない。まるで重い空気がのしかかっているようだった。
村岡はポケットから紐を取り出した。警備員を縛りつけた時に残った分だった。その時。ミシッと何かが軋むような音がした。パラパラと埃が降ってきて、ガシャンと金属の擦れる音。はっとして村岡はその場から後ずさった。同時に、ホールにたった一つ残っていたシャンデリアが落下してきたのだ。天野の身体に向かって。
屋敷を揺らすような大きな音がして、やがてその余韻は夜の闇に呑まれていった。村岡は落ちたシャンデリアを無感動に見下ろすと、踵を返し、二階の部屋へと向かった。香菜美の姿は無かったが、バッグはきちんと残されていた。それを手にして、再度玄関ホールへ戻った。もう、この屋敷に要は無い。
ところが玄関のドアは押しても引いても開かない。揺すってみたり、体当たりしてみたりしたが、ビクともしないのだ。そんなバカな、そう心の中で呟いた時。
「ムダだよ」
静かな声がした。
振り返ると、階段に腰を下ろして、ほおづえをついている忍が薄笑いを浮かべて見ている。彼は思わずポケットに手を入れた。が、ふと気づいた。彼の側に明かりは無い。なのに何故、自分には彼の姿が見えるのだ?思わず息を呑む。彼は木を登って二階から屋敷に入ったと言った。だが、木の所までたどり着くには、自分たちが通ってきた正面玄関へ続く草深い道を通らねばならないはず。自分がこの屋敷に来た時、人が通ったような形跡はなかった。そして、この屋敷の元の主には姉と「弟」の子供がいたと言ってはいなかったか。
ポケットの中の紐の感触が、変わったような気がして、村岡はそれを引っ張り出した。
「……!」
思わず悲鳴にならない悲鳴を漏らして、手を払った。それは血まみれの、長い黒髪。
「気づいたみたいだね。……でも、気づかない方が良かったんじゃない?」
忍は薄笑いを浮かべながら、、冷ややかにそう告げた。
翌日、他県ナンバーの見知らぬ車が止まっている、という通報があり、それが盗難届のあった車らしいことから、警察が人の通った後のある古い屋敷へ踏み込んだ。そこで、強盗犯人達の変わり果てた姿を発見した。警察は犯人達は奪った金を巡って仲間割れをしたのだろう、と判断した。そうとしか結論づけられなかったのだ。
何故なら、一人の男は玄関ホールのシャンデリアに押しつぶされ、女は二階の窓から山の斜面に向かって飛び降りて事切れており、そしてもう一人の男は大広間のシャンデリアで首をくくっていたのである。
当初の予告と少し変わってしまいました。が、お読み頂ければ幸いです