死因
さぁさぁ、大変おまたせ致しました。
前回も言っていた通りですが、『さっちゃん』の死因についてお話するとしましょう。
そもそも『さっちゃん』というのは…なんですか?
…いいから死因を教えろ?
ハッハッハッハ!
いやぁ…、あなたには参りました。 とても私の好みでございますよ。
…? あぁ、変な意味ではございませんよ、クックックックッ…。
そこは古い…というより、ボロボロな2階建てアパートでした。
アパートの1階、1番奥の小部屋にその女の子は住んでいました。 『さっちゃん』。
本名は『祥子』。5歳の幼稚園年中。
父、母と3人家族で、とても素晴らしい家系だったのにもかかわらず突然の離婚となり
今は祥子と母の2人でとても貧しく暮らしていました。
母は、祥子にだけは…幸せになってほしい、…辛い思いをさせたくない、と強く思っていました。
が、働きすぎた母は酷く痩せこけ、やつれていき、
終いには祥子に 虐待 を加えるようになっていきました。
それでも祥子はお母さんが大好きだったので、
アザが出来ようが深い傷が出来ようが、幼稚園に通っていました。
先生が 「さっちゃんその傷どうしたの?」と聞いてきても、
祥子は 「転んでね、すべり台にぶつけちゃったの !」と言うだけ。
誰もが虐待にあっているのではないかと思いましたが、
祥子は明るく振舞うだけで、決して本当のことは誰にも言いませんでした。
……それは怖いのではなく、純粋にお母さんが大好きだからでした……。