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さっちゃん  作者: 菜乃香
4/10

歌声

 どこからともなく聞こえてくる歌声を耳にしながらも、彩音ちゃんは声が出ませんでした。


 勉強机とタンスが置いてあるだけの殺風景な部屋の中に、こんな歌がコダマしました。


 「♪…『さっちゃん』はね、…祥子(さちこ)っていうんだ …ホントはね。」




 …あなたもこの歌を聞いたことがありますね?


 何を隠そうこの歌は、このお話から出来た歌なのです。


 そこで彩音ちゃんは、顔1つ動かせないことに気付くのです…。 金縛りですね。




 (だ、誰っ?)


 彩音ちゃんは恐怖を隠そうと、『さっちゃん』が来たことを確信したくありませんでした。


 部屋の真ん中に敷いた布団に、薄い掛け布団を掛けているだけの彩音ちゃん。


 『さっちゃん』がどこにいるのか確認したいのに、体が動きません。


 「♪…だけど」


 ズズッ


 「…ちっちゃいから、」


 ズズズッ


 「…自分のこ、と …さっちゃんって」


 ズッ ズズッ


 「言うんだよ。」


 歌がどんどん近づいてくるのに、姿を確認することが出来ません。


 そのとき、やっと彩音ちゃんが重要なことに気付きました。


 (…ズズッ?ってなんだろう…。)




 あなたはもうおわかりでしょう。


 この奇妙な音は、さっちゃんが体を引きずってはってくるときの音なのです。




 それに気付いた彩音ちゃんは必死に抵抗し、体を動かそうとしますがまったく動きません。


 瞬きさえ出来ないのです。


 (こ、殺されちゃうよ…。まだ死にたくない!)


 そう思った瞬間、首が動くようになりました。


 寝たまま横を向いた彩音ちゃんは、凍りつきました。


 だって彩音ちゃんの目線の先には、ギラギラと光った目がこちらを直視していたのですから…。


 耳元まで裂けた真っ赤な口は、ニタ〜 と笑っていました。






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