第五章
コレはただの嫌がらせ、たぶんシーヴァーにも、自分にも・・嫌いだから、っていうかただの嫌がらせなんだと思う、シーヴァーが困ってしまえばいい・・そう思ってたのに・・
「おい、マリ・・なんか執事さん怒ってないか?」
「・・・・」
見えない顔の・・仮面の下からでも分かる、物凄く怒ってる。なんで?困惑させるつもりがなんで困惑させられているの・・?
「何か?」
「お、おう・・命知らずな」
マリは胸を張った。コネで入ったけど実力でここまで来たのだ、何か言われる筋合いは無い!
「・・いいえ」
ミケーレは笑顔でマリの肩を引き寄せた。
「やぁマリ会いたかったよ。両親から手紙が来ていたから知っていたから、いつくるかと楽しみにしていたよ」
「手紙?」
「あぁ、ココに来てから毎日来てるよ?そこによく君が元気がないと聞いて心配していたんだ」
お義兄様に手紙・・?私には一通も無いどころか、そんな話・・ちらとも聞いたことが無い・・また、私だけはぶられた・・?・・親馬鹿か!
「あーら、彼女がミケーレの義理の妹?」
「アースグランド一の美女ってインファから聞いていたけれど、そうねぇ・・」
ジロジロと見られる、品定めされるというのは、物凄く嫌なものだ。しかし相手は身分が違いすぎるぐらい高貴な方・・我慢我慢
「言うほどのものでもないわね」
「すこしあれよねー愛嬌が無いわ」
「そっちのほうも、そうねぇ・・なんだか品が無いし」
「ミケーレには十分かもね!」
二人の姫は大笑いをし始めた。・・私のことだけを言われるならいくらでも我慢してやったものを、愚かな・・
「お言葉ですが両姫方・・淑女がそのように大きな口を開けて笑うものではありませんよ」
「!」
「私達に説教たれるつもり!?」
「ご忠告をしただけですわ」
「なんですって!」
「止めないか」
シーヴァーが間に入った。しかしふたご姫の怒りは収まるはずが無かった。
「下賎の身が私達に意見するなんて!」
「どうなるか、分かっているの!?」
「さぁ?・・私は私の主人を馬鹿にされて黙ってはおれませんわ」
「お前の主人は私達の父である王でしょう!その娘を愚弄することは、王も愚弄したということよ!」
「生憎ですが!」
マリの一歩も引かぬマリの気迫に逆に圧された二人の姫は黙ってしまった。
「私が今お仕えしているのは、ミケーレ義兄様ただお一人です」
「あっらぁー」
いつの間にか戻ってきたインファがシーヴァーの横腹をつついた。
「お嬢様言うようになったじゃなーい、これでもう安心ね・・え”?」
シーヴァーから怒りの炎が見える。インファも二歩三歩と蟹歩きで離れていく。
「ふふ・・ふふふ・・お嬢様、私に対していい度胸ではないですか・・ふふふ」
(こ、こっわー)
ミケーレもあわあわと困惑していた。
「さ、三人とも落ち着いてください!ね?」
「「「アナタは黙っていて!!!」」」
「は、はい」
これでも次期王様・・。
「い、インファ」
に、助けを求めた目で見たが、インファは既に避難していた。仕方ないのでマリと一緒に来た侍女をみたが、両手を持ち上げて首を横に振った。ならばとシーヴァーを見れば
「ククク」
なんだかこれ以上に無いぐらい怖くて話かけれない・・あうあぅ、カオスだ、カオスだよぉ
「そこまでよ」
声がした。
双子姫の肩が震えた。・・この声は・・?
「シュリナ、ジュリエ・・いい加減になさい」
「「お姉さま」」
急いで頭を下げる、今この場にいる誰よりも身分がお高い・・。そしてミケーレの姉の地位でもある。
「アマンサ姉姫様・・」
ミケーレはビクビクしながら節目がちにアマンサ姫を見た。母親に最も似た女性と呼ばれるほど、気位が高く、凛として鋭い瞳を持っていた。
「お姉さまもミケーレを見に来たの?」
「ミケーレの義妹が生意気なのよ!」
彼女はふぅっと溜息つくと、ぐいっと双子姫の首根っこを掴んで持ち上げた、二人が小さな悲鳴をあげた。
「『ミケーレお兄様』と御呼びなさい、ミケーレはもう我王族に帰ってきたのですから」
「・・え?」
「え?マリ聞いてなかったのかい?僕、正式に王族として認められたんだ・・だから・・ボクは次期王様になるんだ・・」
聞いてない、じゃあもうミケーレはもうわたしの義兄様じゃないの・・?なのに、両親は手紙を・・?
「・・・・」
「マリアンジェラ」
「っあ!はい」
アマンサは両姫から手を離すとマリの手をそっととった。インファと同じぐらいか、ソレより低いかぐらいの身長・・
「二人に言われたことはお気にさらず、仕事を続けなさい」
「はい、ありがとうございます」
「それから、ミケーレ」
「はい!」
怯えるようにいい返事をする、アマンサは眉一つ動かさずに平手打ちをかました。
えぇえええええ・・・!?
「これから王となるものが、なんと無様な!」
仕方ないわ、甘ったれに育てられたんだもの
「義理の妹殿はあのようにはっきりと物申されるのに・・アナタは何を指をくわえてみていることか!情けない、王座に相応しい男になりなさい!そのために第二将軍テセヴルをつかわせているのでしょ!」
「す、すみません」
「シーヴァーとインファ!お前達もお前達、お前達の任務は守るだけにあらず!契約は守りなさい」
「「畏まりました」」
シーヴァーとインファは特に何か反論するわけでもなく頭を垂れて承諾した。・・姫の仰った契約ってなんだろう?
「今日は帰ります、二人とも・・お前達も少しは慎みなさい!」
「「う、ゴメンナサイ」」
姉強しでした