閑話
「なんなんだろうねぇ」
アローズはいつもと違うお客様が牢屋の前に来ていた。しかもそのお客様っていうのが、これまた珍しい聖女隊所属ケリー・ボールドウィンだった。
しかも会いに来たというその内容というのが、男のはなしであるのだから、笑うのを堪えるこの腹筋が痛い・・。
「将軍殿、自分はどうすればよいだろうか・・」
「結婚すりゃイーじゃん」
「そう簡単にできる分けなかろう!!!」
「でも好きだったんだろ?ルジオ君のこと」
そう、彼女は片思いしていたルジオとお見合い結婚する予定なのだ。
「・・・・でも」
「ミケーレ様?」
「・・・・・」
他人の恋の悩みを聞くほど面白くないものはないねー
(でも、ま、ケリーはこんな性格だから友達は居ないし、マリアンジェラは向こうに嫁いだからね~) 心の師匠って言っていたインファも、マリアンジェラの成長を見守った後、今の地位や契約を破棄して、修行に出て行っちゃったしねー・・
「ルジオ君はエルシオンちゃんに似て真面目で少々天然だから、きっとまた好きになれるって」
「そうで・・すよね」
お?
「分かりました、将軍。自分は自分の道に素直に真っ直ぐに勝負しようと思います!!ご口授ありがとうございました!」
「え・・別になんか言った覚えないけど、まーいっか」
面会の時間は終了だと看守が言う。
名残惜しそうにケリーは歩いていく、最期扉を閉める前に振り向いた。
「将軍、将軍に幸あらんことを!」
「・・・・ありがと」
・・・・ちょうど明日の朝処刑なんだけどね・・?最期の面会者がケリーってのも、悪くないねぇ
「ふ」
処刑当日まで、誰にも言うなって頼んでいたから知らないのも無理ないけど・・
「・・・」
・・・・朝か?
光が目を射して痛い・・、久振りにぐっすり眠ったなぁ・・。
「将軍、お出でください」
鎖を引っ張られる。
戦争が終わってから久振りの外の光は、眩しいな・・見世物のように人々に見られながら死ぬってのも悪くないね・・。
「将軍!」
声のほうを向くと、ハレル君が居た。
「なんで処刑場なんかに!」
円の中に入ろうとしたから、看守にぼうっきれで殴り飛ばされていた。
あーららぁ
「・・・・戦争の時代が終わったからさ、あたしゃ戦争ありきのときでなきゃ、外に出られない身、永遠に・・」
「なんで、処刑・・なんですかぁ!」
「自分で望んだんだ」
巨人族は恐ろしいほど長生きする、ハーフだけど、巨人の血を色濃く受けづいた自分自身もきっと人よりは三倍は長生きするだろう、それまでずっと埃だらけの牢屋で生きていろだなんて、鬼かお前等
「あたしゃ死を望んでるんだ」
聖女隊を滅ぼしたときから。
本当はずっと、ずっと・・後悔していたんだ。
「将軍!」
ケリーの声がした。
おぉおぉ、これはまた、感動的なシーンだね
処刑方法も自分で指定した。やっぱ、美しく死にたいからね・・ギロチンですっぱーんだ。
「あの二人が暴れないうちに、さっさと殺っちゃってー」
穴に首を突っ込んで、準備おっけー
「処刑を執行する!」
「そんな、駄目だ、やめてください!」
ハレル君が看守を押しのけは駆け寄ってきた。
「将軍!!」
差し伸ばされた手は、届かないわ・・。
「その執行待った!!!」
・・ピタ・・ギロチンの刃が、あと三十センチというところで止まった。
「あん?」
顔をずらし見上げると、そこに見えるわテセヴル副将軍
「王女代理、報告する!」
テセヴルは巻物を広げ皆に聞こえるように大声を上げた。
「アーロズ女将軍は過去に大きな大罪を犯したが、何年にも渡りその身を捧げわが国のために尽力を尽くしてきた。故に、その大きな罪を許す!!」
・・・・は?
許す?
え?
「・・・・まじで?」
ギロチンから外され、手首をしめていた鎖も外された。
「将軍!」
ハレル君が抱きつく。
「・・貴殿の罪は許された・・お帰りなさい将軍」
「テセヴル君、あたしが憎くないのかね?」
「罪を憎んで人を憎まず、ですよ」
何だこのいい人。
「将軍!なんでそういうことを黙っていたのじゃ!自分のほうが先に死にそうじゃったわ!!」
「あらそー」
「将軍!!」
おやおや、どうやらあたしゃ
「まだまだこれからみたいさね」




