第四章
「シーヴァー聞いてくれ!うわ!あ!ったぁ!!」
「ミケーレ様いかがなさいました?シーヴァーなら先ほど出かけましたよ?」
急いで走ってきたミケーレは躓いてコケタが、けっこう日常茶飯事なのでインファは今更心配したりはしない。
「インファ!聞いてくれ!実はね妹が侍女として宮殿に来ているんだ」
「まぁ!・・良かったですね」
お嬢様が?・・かなり消沈なさっておいでだったからご病気にでもならないかと心配していたけど・・お元気そうで良かったわ、それに何よりもそのことによってミケーレ様が少しでも明るくなられた
「・・」
「インファ?」
でも、まさか・・
「ミケーレ様・・そのことはシーヴァーには内緒にしましょう」
「え?どうして?マリはシーヴァーに凄く懐いていて二人とも仲が良かったじゃない」
「どうしてもです」
「う・・(顔がスゴイ笑顔なのに凄く怖い)わ、分かったよ」
・・知られてはならない。お嬢様になんのお考えがあるのかは分かりませんが、シーヴァーには決して知らせてはならない・・。
「おや?ミケーレ様そのようにお洋服を埃だらけにして、どうかなさいましたか?」
「あ、シーヴァーなんでもないよ」
脅しに弱いミケーレは起き上がると服についた埃を払ってのけた。
「ミケーレ様・・いいえ?お兄様と呼ぶべきかしら?」
「それともミケーレと呼ぶべきかしら?」
同じ声が同じ音程で響く、ミケーレが汗を流しながらおずおずとそちらに目を向ければ、そこには綺麗な洋服で着飾られた人形のようなそっくりな顔立ちの二人の娘が居た。
インファとシーヴァーは頭を下げた。
「ジュリエ姫にシュリア姫」
「あら?姉の私を差し置いて・・妹姫の名を先に呼ばれるのね?」
「それとも、私たちの見分け・・まだついていらっしゃられないの?」
「ご、ゴメンナサイ」
シーヴァーはあまりにも不甲斐無い様子のミケーレを見て小さく溜息をついた。これがこれから王になるというお人なのだろうか・・不甲斐無さ過ぎる。
お飾りではあるが・・。
「両姫様、本日はどういった御用で?」
インファがにっこりと微笑んだ。
「きまっているじゃない」
「テセヴル将軍はいずこに?ミケーレを守っていると聞いたけど?」
「全く、テセヴル将軍は本来ならわが国のために奮闘しているはずなのにね」
「ごめんなさい、ボクが邪魔してるんですよね」
「「そんなこと一言も言ってませんわよ」」
両姫に苛められる王子・・なんだか情けなく見えた。
それを控えめに見守りながらインファはシーヴァーにしか聞こえない声で聞いた。
「テセヴル将軍といえば、死んでしまった聖女隊長エルシオン様にぞっこんではなかったかしら?」
「本人曰く、彼女以外愛すことは永遠しない・・だそうで、先ほども両姫が来ると知って逃げて行った」
「テゼヴル将軍も罪なお方ねぇ・・こーんなに可愛い少女に純粋に好かれるなら、少しは誠意を見せたらいいのにねー?勿体なーい、乙女心を傷付ける人って最低よね~?」
「・・・・・・」
シーヴァーはインファのほうを向いた。
「何が言いたい」
「は?何が?」
インファはシーヴァーのほうをみないまま双子姫にお茶を出すために歩いていった。
・・先ほど別れたテセヴルとの会話を思い出す
『こんな別れが来ると分かっていたら・・俺は、エルシオンさんに告白しておけばよかった』
酷く悔いた表情でそんなことを行っていた。
『両姫には悪いが・・俺は彼女以外を愛するつもりはない、彼女は死んでしまったが俺の心の中で・・永遠に生きる・・せめて触れられなくとも、想い続けることができるだけで・・俺は構わない』
・・想い続けるだけで・・いい、か・・。
俺にはできるだろうか・・幼い姫を思い出す・・。
『・・最期まで言わせてもくれないのか』
聞きたくない、聞いてはいけない、答えても受けてもならない・・それはもう『定め』なんだ・・。
それが天命・・なのに
コンコン・・
「失礼します。本日より太子のお世話することになりました」
なぜ・・
「マリアンジェラ・アナスタジアと申します」
「ステラ・ジャックです」
なぜ居る!?
「あちゃー!」
お茶を汲んで戻ってきたインファは顔を抑えた。
見てらんねー、帰ろ