表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影姫の暴走奇譚  作者: 綴何
本編
39/71

第三十八章

「あーそれぇ~?知ってる知ってる」

 テルーカ・エニシンはよく分からない機械を弄りながら相槌ついでに返事を返した。

「たぶんアースグランドに身を置いてるシュシュだと思うよぉー、精霊属エルフの中でもずば抜けた変態だよぉ」

「テルちん以上に?」

「あっはっはーテルちんはふっつーじゃーん」

 ってことは予想以上に変人なんだね。

「シュシュは同属の頭の中覘けるからねー、覘かれたポイ?」

「それでなんで、私なんでしょうか」

「考えたらわかるっしょー」

 ウィルがマリの頭を撫でながらにかっと笑った。

「アースグランドのやつらが狙ってたのは后様だろってことわ人質でもとるつもりだったんでしょ?・・ん?でもなんでアースグランドが?」

 自分で言っていてその違和感に気がついたらしい、首をかしげてクエスチョンマークを浮かべた。

「そりゃぁアースグランドに併合している小国アスランダのほうだもんなぁ」

 先に行ってください。

「革命軍たるものができてるってわっけねー・・イスラの国も役に立つじゃない」

 ウィルは楽しそうにそういうとまるで玩具を見つけた獰猛な獣のようにニヤリと笑った。

 マリはなんとなくやろうとしていることがわかった。

「話持ちかけてみよーかな」

「だ、駄目」

 マリは止めてからふと思い返した。

(あ・・私止める必要あるのかしら・・でも母国だもの、私は正しいのよね・・?)

 どうして分からないの?

「母国は君を捨てたのに、君は母国を愛してるのぉ?うわぁー心広いねぇー」

 捨てた。その言葉が胸に酷く突き刺さる。

「まだ、捨てられたわけじゃないわ、すっかり忘れてたけど・・私人質なのでしょう」

「いや?家族だけど?」

 ウィルは当たり前だというように言い切った。

「・・止めて」

 分からなくなる。駄目なのに、駄目なの・・分からない

 欲しい者は手に入る、けれど本当に欲しい者は手に入らない・・

(ふふ・・駄目ね、まだ引きずってたんだ)

 忘れれば、嫌いになれば良かったのに・・まだ、好きだなんて。

「・・・・」

「?」

 テルーカは静かになった後ろの二人を気にして振り返った。

「!」

 そして急いで前を向いた。

「何も見てないよぉ何にも!ちゅぅーしてるとこなんて見てないよ!」

 マリの考えていることが分かったウィルは嫉妬し、マリの唇を奪った。

 手に入らないものは攻略が難しいからこそ面白い、そう思っていたウィルであったが、本当にほしいものがもらえないのはじれったくて・・苦しかった。

「んん!や、嫌!」

 ぱぁん!いい音が響いた。

「・・ウィルの・・馬鹿!!!」

 そう叫ぶとマリは泣きながら走っていった。


「・・だってさぁ」

「聞こえてるよ」


 マリは部屋に勢いよく入ると、涙を拭いてフッと息を吐いた。・・影姫誰かがそう嘲り言ったものはこの国には居ない、なのに私はたった一人の人のために居心地のいい場所を否定している。

 馬鹿らしい、いやいっそ哀れだと思う

「う・・うぅ・・うぶ、ふぅううぅ・・ひっく」

 涙が頬を伝う。

 どうして、割り切れないんだろう・・。

「・・っ」

 涙を袖で拭う。このままではいけない。私・・決めなければ

「自分の気持、整理しなきゃ・・」



久振りに恋愛要素はいったかな?・・入ってないか


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ