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影姫の暴走奇譚  作者: 綴何
本編
36/71

第三十五章

 国は今暴れに暴れまわっている大国以外にも多々ある。大国には忘れ去られているが、勿論中小国もあるにはある。忘れられているならまだ良かった……忘れていて欲しかった

中小国の一つ、イスラは恐れていた。今劣勢とされている国に随分昔に忠誠を誓ってしまったのだ。しかし大国、ウェザーミステルには慈悲というものがない。戦場が悪化したら、勝つ為に何かよくわからないものの召喚の、生け贄にされるだろう

 そうなる前に……

「今こそ革命、独立の時!頭のイカれた輩に膝をおることはない!!同志よ!今こそ立ち上がれ」

イスラの国は武器を持って立ち上がり、声をあげた。しかし、演壇の上にいる皆を盛り上げた英雄の顔はひきつっていた。

「?」

何事かと民衆も振り返り、口を大きく開けて絶望の色を見せた。 そこには巨体な男がいた。

「しょー……」

ウェザーミステの魔将軍クレトが不敵に笑っていた。

にやぁー

悲鳴が木霊した。

■・■・■・

勿論不発に終わったが、事は王のみならず国民にも耳に届いた。

「面白くなってきたねー」

ウィルは笑いながらパフェを頬張っていた。そのようすをマリは呆れた顔で見つめた。

「他人事ね!イスラが暴動を行いかけたってことは他の国もそうなるんじゃないの?……ってウィルに言っても仕方無いよね」

「仕方なくないよー?だって俺宰相だもん」

「へー」

 マリは配られていた新聞を丁寧に閉じて机の上においた。

「え、宰相?」

「そうそう」

なんということもなく、当たり前だというように笑った

がし!!!

 マリはウィルの手を掴んだ。

「私あなたが働いている姿見たことないのだけれど!?気のせいかなぁ!!」

「気のせいではないよ」

ララーちゃんが風呂あがりの姿で歩いていった。

「坊っちゃん、チェッピーの餌やり終わった!」

「ありがとうーステラも食べる」

「遠慮するわ。で、マリはどした?」

全くもって口が閉じない

「今すぐ仕事にいけ!!」

多少乱暴な言葉になってしまったけど気にしない。

「まーまー落ち着いて」

「寧ろ何でウィルが落ち着いて……はっっ!!」

そうだった。ここはウェザーミステル

他国からは謎多き国と認識されている国に、拐われて以来なかなか慣れたが

いまだに分からない!!もしかしたらマリアンジェラが知らないだけで何かあるのかも?

「だってさー」

ウィルは最後に残していた苺を掴んで口にいれた。

「働いたら負けかなーて」

「フザケンナ!?今すぐ敗北しろ!!」

事を知らないはずのステラもニート宣言を平気でしたウィルのくびもとを掴んで揺らした。当の本人は笑っていた。

「いいか!!」

 ステラはウィルの頭にズッキして叫んだ。

「働かざるもの食うべからずじゃあ!!」

 がくがくがく!ウィルが揺らされ口から魂が出ていく

「ステラー魂が……」

おさまったのを確認して、ウィルは首を揉みながら言った。

「一応部各配属国には、高身分の人質を二人連れてくるよう命令してるんだけど?」

「何で二人?」

「裏切られた時に備えて」

戦争中に別のいざこざがおきれば、敵に漬け込まれるのは必須、阻止しておきたい。

「ね……ステラ」

「ん」

食べたものを片付けに去っていったウィルを見送って二人は座って息を吐いた。

「長い歴史の間に何度も私達の母国とこの国は戦ってきた」

「そうさね、ばっちゃも言ってたわ。この世の終わりになるまでこの戦争、終わらないんじゃないかな」

長い戦い、そしてその戦は不毛ともいえる。誰もがわかっているが、止められない。諦めることしかできない。それが戦争・・。

「でもさ」

ステラは小声になった。

「今回で決着つくかもしれないな」

本来ならアースグランドとウェザーミステルは互角の力をもっている。だが、もともと好奇心旺盛で子どもらしいこの国の特徴が今、自分の首を絞めている。

訳の分からない物騒な研究をやめてしまえばいいのに……

この国に身をおいている私と自国で産まれた私

私はいざとなったらどちらの道を選ぶのだろう……




きっと、選べない。

ウェザーミステルのミステルがたまにミステリになってたりしますが、にっぽん にほん 的なノリで流しといて下さい<(_ _;)>

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