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影姫の暴走奇譚  作者: 綴何
本編
31/71

第三十章


 城の大居間にて座り時を待つ。

「・・え」

 マリは耳を疑った。

「あそこに、義兄様も居るの?・・居るの?」

 二回も聞いてしまった。いったん休戦に入り戻ってきた王様が頷いた。

「あぁ向こうの王様の隣にビクビクとしていた、俺のどS心が疼くぞ」

「やめてください」

 シアは突如現れると血まみれの姿だった。

「きゃ!?」

「ふぅー・・戦場の中出かけまわったら血まみれになっちゃったよ」

「そんな雨に降られたみたいに言わなくとも・・」

「で?どうだった」

 王様は手ぬぐいで自分の顔についた血を拭った。

「失礼いたします!王様」

 一人の兵士が跪いた。

「敵、城の裏にまで移動していました!城が包囲されています」

「んだと?」

「敵に『竜神族』が二人、協力しているそうです、名をインファとシーヴァー」

「シーヴァー!?」

 ・・竜神族・・だったの?

「インファといえば、先々代の王の時代、とあるマッドサイエンティストが、人と竜が交わった場合どのような子が産まれるかという実験で生まれた女だろう」

 先代の時代でそのような実験はすべて禁止された。

 竜のオスは仕組まれたことだとも分からずにインファの母と恋をし、科学者から上手く言いくるめられ人間になるクスリを飲み、人としていき、結婚し子を産ませた。そして、子が生まれるの同時に母親は死んだ。その悲しみで竜は狂い科学者を食い殺し、そのまま大暴れしたので最強な盾は竜を殺した。

 残されたのは母親の血に濡れた娘のみだった・・。 

「インファのお母さんはどうして死んでしまったの?」

「・・」

 王様は黙った。誰も何も言わなくなった。

「いえないようなことか?」

 ステラがそう聞くと王様はルーシアが寝ているのを確認して口を開いた。

「インファは母親の身体を切り裂いて産まれた。その頃には既に三歳ぐらいの大きさに成長していたらしい・・俺の親父はソレを知ってこの国で新しい法律を作った『同属以外とは交わることを禁止する』ってな」

 死・・んだ、子に殺されて・・?

 じゃあシーヴァーも?

「でシーヴァーってのは誰だ?」

 王様がこころを呼んだのかと思い、ビックリしたが思い違いらしい。

「昔竜族との戦いでかけた呪いがいまだ残っているようです、見た目は人間ですが力は竜族のままです!クレト将軍とも互角に戦っています」

「巨人族に引けをとらない竜神族か」

 王様はめんどくさそうに欠伸をした。

「戦は明日だ、今日はもう寝る、ミナ!后の世話を頼む。じゃあなウィルシア」

「じゃあ俺らも帰りましょうか」

 指で魔法ノ陣を描くとそのまま館に移動した、館では鎧を脱いでいるレイモンドと鉢合わせした。ララーが新しい服をもって現れた。

「あらお帰り、どうも劣勢みたいよ」

「最強な盾はどうした、たく・・国の大変なときに」

 文句を言いながらレイモンドはララーの持ってきた服を持って歩いていった。

「ショーンが負傷したんですって」

「ええ」

 ショーンが?

「向こうのアーロズ女将軍にやられたらしいわ、自分が潰した聖女隊をもう一度結成して前線に出すだなんて馬鹿じゃないの」

 ララーは憤慨したように地団駄ふむとレイモンドに呼ばれ去っていった。

「俺も風呂に入ってくる、二人は部屋で休んでてさ」

「うんシアありがとう」 

 ステラと部屋に歩いていく。なんとなく無言になる。自分の国が勝っているなら喜ぶべきなのに、あまり嬉しくないのはどうしてだろう・・。

「ねぇステラ」

 部屋について二人並んでベットにすわる。

「ん?」

「私ね、シーヴァーのこと好きだったから、告白したの」

「うん」

「そしたら、さえぎられたの」

「うん」

 最期まであなたは言わせてもくれなかった。でもそれは

「竜神族・・だからかな」

 インファの母親の話、インファとの付き合いの長いシーヴァーが知らないはずはない。知っていたからこそ拒絶した

「私ね、ウィルシアにプロポーズされたの」

「えぇええええええええ!?」

 シーッと指を出して静かにするよう伝えるとコクコクと頷いた。

「お前なんていったんだよ」

「断ったよ!だってのりが軽いから・・それにまだジーヴァーが好きだったから・・」

 長い間募ってきたこの気持は、簡単に消えることはないと思う。

「・・お前さ」

 ステラはマリアンジェラの頭を撫でながら優しく言った。

「コッチの国に入るほうが幸せか?」

「・・うん、多分」

 常識ハズレではあるけど、私の欲しかったものをくれる国、この国は優しく迎え入れてくれる

「そう・・だったら、この国に一緒に居よう」

「ステラも?」

「言うつもりはなかったけれど、国は誰もお前を助けようとしなかった・・むしろ、この国に居たほうが幸せなんじゃないかって言うアホもいた」

 事実幸せだと言った

「だったら、ここで住んだ方がいい、お前ウィルシアと結婚しろよ」

「うん・・え?」

 今何言った? 

「お調子者だけどさ、根は真面目だろ?向こうじゃ見れなかった表情がアイツの言葉一つ一つで見えるしさ!きっとお前に必要なのはあーいうふざけた男なんだって!」

「いやいやいや、ソレとこれとは別だから!」

「そうか?」

「そうだよ!」

 コンコン。ノックがした。

「はい?」

 扉を開けたら血まみれのシアがいた。

「きゃああああああああああああああああ」 

ばっしーん!音が木霊した 

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