第二十九章
「右だ!右に回れ!聖女隊ー前ぇ――――!!!」
前線を走っていた兵士は後退し、後ろに控えていた聖女隊が前に出て応戦する。
聖女隊の特殊攻撃で魔法つかいどもの魔法を使えないように魔道を封じていく。
「これで五分五分だ!」
ケリーは汗を流しながら叫んだ。ツルギをもって敵に立ち向かう。
補佐団長ルジオが聖女隊を守りつつ前進していく。
「推して参る!!!」
次々と敵を薙ぎ払っていくと、魔法使いも新たなるものを追加した。無数もの合成動物が現れ力の差が相互入れ替わる。
「はぁっ・・!はぁっ・・!マリアンジェラは無事かソレだけが心配じゃ」
敵を切りつけ血で汚れた戦士は練習とは違う本物の戦争を体験し、震えていた。ソレを隠すように敵に喰らいついていく。
「いったん退けぇー!!」
総司令官のほうから命令があがった。
「―――な」
優勢なのに退くだと!?そんな馬鹿な
仲間は退いていく、ココには居たくないというように、そのような弱気なところを見せたら向こうを付け上がらせるだけじゃ!愚かな!!自分は違う!戦う
「うぉぉぉー!!」
「なっ」
魔将軍隊長クレト将軍が現れた。巨人族特有の馬鹿力とごり押しをしてきた。
「逃げろォォォ!!!」
敵味方がもうごちゃごちゃしていて分からない。
大きな素手が目の前に・・死
「きゃあああああああああああああああ!!!」
・・なんともない?
「!?」
目の前には片手で巨人の手をふせいでいる謎の仮面の男が居た、戦場に居るのにもかかわらず服装は鎧ではなく執事のスーツ。
何だコイツ
「・・竜神族か!」
クレトは楽しそうに笑った。
「楽しもうやぁ」
巨人族と素手でやり合っている・・人間ではない!?
「・・っ、助力感謝する」
退くしか、なさそうだ・・。
糞!
「アーロズ将軍!どこですか!」
将軍とはぐれたハレルはへっぴり腰で剣を持って走っていた。
「将ぐ・・わ!」
横から剣が飛んできた。
「死ね!アースグランドの雑兵め」
「うわぁあ!」
短い髪の男らしいナリをしているが、女性のようだ。しかもよく見れば魔法使い特有の濃い色をもっていない、どうやら同属らしい。
「ひゃぁああああ!?」
ザシュ!
「がっ!おのれ!」
女性は振り返りざま剣をふった。
「ハレル君大丈夫かい」
「アーロズ将軍!」
女兵士はポケットから小型爆弾を出してアーロズに投げつけると、一拍もおかずに剣で一の字を描いた。
「将軍!」
煙が上がる、が
「うぐ!?」
「残念なかなかいい戦闘センスだけど、私も巨人族の血を引いてるのさ、人間の血よりも少し濃くね」
掴んだ首がメキメキという。
「あ・・が・・ぐ・・し・・ょ・・軍」
「ん?」
「将・・軍ずみま・・ぜ」
アーロズの手を引っかいていた手が、だんだんと力がなくなっていく
「ショーンを放せ!糞女が」
「うぎゃ」
アーロズは巨大な足に蹴飛ばされ飛んでいった。
「アーロズ将軍!」
ハレルは急いで追いかけていった。
「ショーン平気か?」
「ごほ!がはがは!ごふ・・じょうぐん・・ごほ・・将・軍・・」
ショーンはわざわざ小さくなって介抱してくれているクレトに抱きついた。
「・・将軍!ごほごほ!!・・将軍!将軍!クレト将軍!!」
「ショーン」
あぁ・・役立てなくてすみません。
「退けー!!休戦だぁー」