第二十八章
お茶のんでまったりしている場合ではないのに、ここに居る人たちは全く微動だにしていない。
「なんでそんな平気なんだ?!」
ステラが叫ぶのも分かる。でも当の本人達ニコニコとお茶会を楽しんでいた。
「お城は最強な盾が居るから平気なのー」
口の周りをクリームだらけにしているルーシアがそういったら、皆も頷いた。
・・最強な盾?
「巨人兵?」
「ぶっぶー残ねーン」
シアが紅茶を楽しみながら首を振った。
「じつわね」
「王様!」
先ほどとは違う兵士が現れた。
「なんだ、茶会中に騒がしい・・静かに来い!」
「はっ!申し訳ありません!」
「なんだ?」
兵士は顔を真っ青にしてきた道を指差した。
「最強な盾が・・居ません!」
「「「ナンだってぇええええええええええええ」」」
「きゃ!?」
先ほどとはうって変わって態度が変わった。
「またかアイツ!」
「ちょ、さきと態度ちがくない!?余裕何処いったわけ!?」
ステラよりもワタワタしだした王様
「あ、でも大丈夫!クレトが居るだろう!クレトが敵を一掃すれば何の問題もない」
「ソレが王様、前回縮小魔法薬を飲んでからなんか元に戻れなくなったそうです」
「何ー!」
ルーシアも不安げに王様に抱きついた。
「敵の数は」
「100万が先陣きって攻めておりますが、千は後ろで控えています」
「最強な盾が居ると思って油断していた」
「油断しすぎて関門閉めるの忘れていました!」
「アホか」
怒られる兵士をみてマリは不安を感じた。大丈夫なんだろうかこの国・・。
「敵は今どこにいる」
王様はルーシアを姉に任せると歩き出した。
「レイモンドが今どうなってるか見てきなさいウィル」
「あいあいさー」
魔法でシュンッと消えた。
中庭は女だけになった。
「・・」
なんとも沈黙が重い
「どうして、争うんでしょうか・・」
なんて、聞いても分からないことだけど・・。
「そうね、アースグランドでは教えてくれないらしいわね。ただ戦えという命令のみ従う・・」
誰も疑問に思わない
「パンドラの扉のことは知っていて?」
首を横に振る。
「コノ世を支配していた邪神を封印したという扉よ」
「何ソレ」
ステラは馬鹿らしいという顔をしている。実際は扉というよりもっと大きな門のようにも見えた。
「封印するための扉を作ったのがわが国の始祖、そして封印するまでに持ち込んだのが其方の始祖」
「始祖同士は仲間だったのでしょう?後世で仲が悪くなったわけじゃないの?」
「いいえ、この話には実は続きがあってね」
冷めたお茶を飲み干す。
「封印するために、我始祖は『無色万象』に手を出したの、それは二人の間でどんなことがあっても開けてはならない約束のものだったわ。封印した後其方の始祖は憤慨し我始祖を責めた。我始祖は偉大ではあるけれど、寛大ではない」
言い合いになり、二人の仲はますま険悪化し、そのまま二人は別れた。
「魔法使いって私達のことをそう呼ぶけれど、私達もれっきとした人間よ。厳密に言えばね」
「そうだったんだ」
ステラはショックを受けた顔をした。
「お互い憎しみ合い、殺し合いその連鎖が続いてるってわけ」
「そもそも『無色万象』ってなにさ?」
「知らないわよ、誰も知らないんだもん。始祖以外わね」
ズズズン・・地が揺れる。
「きゃ」
「激化しているみたいね!」
シュン
「ララーちゃん父上は・・どこにいるのやらさっぱり」
「そう、私も出るわ」
ララージニアの服が変わった。
「駄目だって!」
「五月蝿い!巷じゃ最強で通ってんのよ!」
「でも戦争じゃあか弱い女性だって!まーいざとなったら俺に任せといて『解除』さえしてくれれば最強だからさ」
「解除?」
「俺、この国で二番目に強いの、本当ならね」
本当なら_?
ずどどどん!!またふたたび地鳴りがした。
「マリアン頼んだよ」
「シア!」