第二十七章
うとうと・・
『お嬢様』
あぁ、優しい声・・
『お嬢様、泣かないでください。私が居ます』
嘘吐き
『お嬢様・・おいで・・マリアンジェラ』
嘘吐き・・私のことなんて、どうでもいいんでしょう・・馬鹿
馬鹿・・
「マーリアン?」
「っ」
目を開けるとシアの顔が目の前にあった。
「きゃ!?」
「移動魔法が嫌って言うからわざわざ馬車で城まで入ったのに、寝ちゃったら風景なんてヤッパリ関係ないじゃないの~、あー腰痛いったら」
「ララーちゃん婆くさい」
「あ?」
びゅぉぉ。氷の粒が飛ぶ。
それにしても、こうも軽々しく王宮に入れる国なんて、どう考えてもこの国だけだろう・・。他国の者でも、全く警戒する様子はない。
不信そうな顔をしたステラも驚いた様子で恐る恐る私の後ろをピッタリくっついて歩いていた。
「ねーマリ怪しくない?いくら知り合いってたって、こんなあっさり通れるもんじゃないはず・・」
「って言われてもね」
通れちゃうんだから仕方ない。
しばらく歩くと綺麗に手入れの行き届いた庭が見えた。どうやらココが城の中庭らしい。
「へー、魔法使いの国の花ってもっとおどろおどろしいの想像してた」
ステラが素直な感想を述べるとシアが微笑んだ、過去にそういったものでも存在していたようだ・・
「おーい?ルーシア?」
スタスタと案内していた兵士よりもララージニアは先にかけていった。
「いいのかな」
ステラと後からのんびりいくと、長椅子に横になっている王様の上に乗っているルーシアがきゃきゃと王様の顔に花をばらまいていた。
ラブラブしている・・。
「おい」
「きゃー」
お姉さま仮にも王様達の座っている長椅子を蹴飛ばすなんて・・すごすぎる
「お茶会しないのならララーちゃん帰るわよ!!」
「ごめんねお姉さま」
気を取り直してお茶会の席に座る。
膝の上にルーシアを乗せたままの王様はステラを見た。
「それは?」
ソレ扱いされてステラは睨む。
「マリアンジェラの親友だって、向こうの王様怒らせて国追い出されたんだってさ」
簡単にシアが紹介すると王様はふーんっとだけ返事すると後は気にする様子を見せなかった。
紅茶に花びらが一枚浮いていた。
「・・いい香り」
ふと、シーヴァーのことを思い出した。
(ひさしぶりにシーヴァーの夢を見たな)
「―――どうおもう?」
「え?」
急に話題を振られ、困惑する。
聞いてなかった・・。
「だから、王様奥さんと仲良いでしょ?」
「そうですね」
目のやり場に困るぐらい。
「もし、離れ離れになったらどうなるかなって話」
「どうなるんですか?」
「質問返しはセコイよ」
シアは御菓子を手にとって二人を見た。
「うーん、発狂しそうだよねー」
「愚かな」
王様は御菓子をルーシアの口に御菓子を入れながら鼻で笑った。
「発狂どころか、ルーシアと俺を引き裂いたヤツをこの世で最も残酷な死刑送りにしてやる、それどころかそのヤツとかかわったことのアルやつは全員同罪だ」
「最低だ」
ステラの言葉に危うく頷きそうになった。
「それほどまでに愛しているということだ」
ふふんと自慢げだ。
「ルーシアは?」
「お菓子があればいいよー」
「ガーン!?」
愛はすれ違いのようだ。
「俺ならー」
シアはマリの手を掴んだ。
「好きな人を放したりしませんが?」
「・・っ!?」
どうしてそう歯に衣を着せぬことを言えるの?!聞いてるほうだ恥かしい!!
「ということで俺と結婚しない?」
「だか・・」
どっがぁぁん!!!
「・・ん?」
王様が首をかしげたのと同時に、兵士が一人傍により王様に耳打ちした。
「ほっほーう」
「なんて?」
ルーシアが聞くと王様はにっこりと笑った。
「アースグランドが攻めてきたってー」
「「笑顔で言うことじゃないよ!?」」
ステラと二人で突っ込んでしまった・・。
っていうか、なんでそんなに落ち着いてお茶飲んでるの!!?