第二十六章
「レイモンドさん、彼女は私の友達ステラ・ジョーン」
ステラは頭を下げた。レイモンドは疑わしげな目で見ていたが、ララージニアは娘が増えたと思っているらしく嬉しそうだ。
「日の光を十分に受けた健康的な肌してるわね~好きだわー」
「ちょ」
ステラの肌を撫でながらララーはニマニマと笑っていた。そのスキンシップがだんだん激しくなっていた、ステラが暴れる。
「ぎゃぁぁぁあああああ!!??どこ触ってんだぁー?!」
「うふふ、んふふふふ、うふふふー」
「ぎゃぁーぎゃー!?」
マリはなんとも言えず見守る。なぜなら自分も受けた洗礼だから・・。
「ララージニア」
「何レイモンド」
名前を呼ばれピタッと止めた。
「あまり、馴れ馴れしくするな・・攫われた友に会いにわざわざ危険を犯しに来るとも思えん。怪しい」
「そんな・・」
マリが心配そうな顔をした。が、ソレと反対にウィルシアは笑っていた。
「まーまー、で?どうだった?」
「そうね、心配と勢いだけで来た感じ?」
「?」
レイモンドは髭を撫でながら微笑んだ。
「なるほど、先ほどは失礼した。マリの親友とならば我家は喜んで歓迎しよう」
「え?」
ステラの目が丸くなる、マリも丸くなった。
・・なんで?
「ララーちゃん得意の魔法、≪心眼法≫だよん、心の奥そこに沈む感情を読みとる。欠点、平気で悪いことできるやつにはあんまり意味ない」
「でも、ステラちゃんそんなに悪い子じゃなさそうでしょう?」
ステラは汗を流した。
「ただのセクハラじゃなかったのか?」
マリもうんうんと同意を示した。
「安心していいのよね」
ララーが言うとステラは頷いた。
「じゃー歓迎会しよー!!」
「おー!」
どっかーん!!!
・・え?家が、天井が・・空が見えますよ?
「え?えっ」
「あらー?」
シアが汗を流して両親を見た。
「チェッピー!」
ダチョウのような、ヤギのような、ライオンのような・・動物。
「うおぉぉ!!??」
ステラが攫われた。
「おぉー!?チェッピー!駄目駄目!返しなさい」
シアがあわててチェッピーをしかる、と悲しげな顔をしながらステラを降ろした。
真っ青の顔をしたステラが汗を流しつつ上を眺めて、叫んだ。
「なんじゃありゃぁああああああああああ」
「ごめーん」
シアはテヘっと笑った。
「あのコ実験狂が主人でさ、失敗作っていわれて捨てられてたんだ。んで拾ったんだ」
「そうなんだ・・今まで何処にいたの?」
「かわいそうだろう?」
「うん・・で、今まで何処にいたの?」
レイモンドは電話を片手に修理を呼んでいた。
「あー」
折鶴が空から飛んできた。ララーはソレを手に取ると開いた。
「あら、妹からだわーえーっと?・・『お茶会開くの来て下さい♥』だって」
「行って来い・・家のことは私がしておくから」
「愛してるわよレイモンド」
ステラが小さい声で「安い愛だ」と呟いた。
「さーステラちんも行くわよ!誰かーフリフリの服をー」
「ふ!?」
ステラが嫌そうな顔をした後マリアンジェラに耳打ちした。
「ど、どこにいくってんの?」
「王宮かなー」
「な!?王宮?!アタシただの農民だよ!?は・・入れっこないって!」
どころがどっこい入れちゃうんだなー
「え?なに?何微笑んでんだ?なぁ?ねぇ・・ちょっと!?ってぇ!助けてー!?」
この館のお手伝いさんたちによって、ステラは連れて行かれた。次会うときはきっと・・フリフリだろう。
「うきゃああああああああああ!!」
それにしたってステラ・・悲鳴あげすぎやないかな?