第二十五章
「あぶない!」
ショーンは男の腕を掴むと、そのまま投げ飛ばした。
「貴様」
もう一人の男が三歩引くと、家来を呼んだ。投げ飛ばされた男の家来も現れ仇を討てという命令を受けて、数が一気に増えた。
マリが逃げようとショーンに声をかけようとしたら、ショーンの目がすでに戦士の目になっていた。止めようがない・・。
「・・はは」
いくらショーンが鍛えているといっても、丸腰でこのしかものこの数・・絶体絶命。
「襲えー」
ぴ、っしゃぁあああああああああん!
「うわぁあああああああ」
雷が家来を一気に倒した。目をぱちくりさせているとフワッと目の前にウィルシアが現れた。
「あんれー?よってたかって女の子を苛めているのは誰かなー?」
「う、ウィルシア卿!?」
「ショーン、どうした。その服・・いい柄だなぁ」
「げげ!クレト魔将軍!?」
「女性を苛めるなんて最低だな」
「テルカ・ユサラ将軍!?」
この国トップクラスが三人。しがない貴族二人が真っ青になるのも無理はない。ショーンは将軍を見るなり申し訳なさそうな顔をした。
「なんだ!騒がしい!」
挙句、パトガー侯爵まで現れた。
「ねー自分の意思で消えるのと、消し炭にされるの・・どっちがいい?」
「「じ、自分で消えますー!!!」」
二人は自分の従者を引き連れて逃げていった。パトガーはソレを見ると長くなった髭を撫でた。
「どういうことかね」
「何が?」
「とぼけないでくれたまえ、ウィルシア君、君の一族は偉大だが・・なぜ騒ぎを必ずおこすんだ」
「おこすんじゃない、向こうが来るのさ、争いの女神も俺の魅力にめろめろなんですよ」
「そりゃいいな」
クレト将軍も笑った。笑い事ではないと侯爵は溜息をついた。
「さぁ、皆さんこのまま楽しんでいってください」
曲がもう一度流れる。
「んじゃ申し訳ないけど帰るわ」
あっさりウィルシアがいうと、分かっているとでもいいたげに片手を挙げ、去っていった。
「彼は母の子分なんだ、ララーちゃんはじゃじゃ馬だったから」
「へぇ・・」
マリアンジェラの手をとると、そのまま外に出て行った。
「帰ろうかねー」
「あのさ、シア」
「ん?」
「ごめんね、私のせいで迷惑かけて」
「いや?いつものことだから」
・・いつものことなの?
◇◇◇
「クレト将軍・・すみません」
「なぁに、元気があってよろしい!なぁテルカ」
「そうですね、このぐらいの気迫がなきゃ魔軍団に所属できませんね、あんたのせいで」
「なっはっは」
将軍は、ショーンの頭を撫でると抱き上げた。
「お前はもっともっと、強くなる、いずれは俺よりも強くなれよ!」
「はいっ!!」
変な絆だと思いつつテルカは自身を風と化させ消えた。
◇◇◇
家に着くと、マリアンジェラは目を見開いた。
「・・マリか?」
「・・ステラ?」
そこにいうのはなつかしのステラだった。
「っステラぁ!」
抱き合う、懐かしい匂い・・手荷物一つできたらしい。
「どうしてココに?」
「王様怒らしちゃってさ・・追い出された」
「えー!?」
「えーコホン。もしもし?」
シアはステラの顔を見た。
「一睡もしてませんって顔だね~どう?寄ってく?」
「・・いいのか?敵国から来たんだぞ」
「マリアンの友達だろ?なら問題ないっしょ」
「・・あんがと」
ステラが仲間になった。
ステラさん長い(けっこう早い)時間をかけて、マリアンジェラと再開。
ステラのほうが警戒してるけど、ウィルシアくんはオープン★