第二十三章
アースグランド国は人間の住まう国、農作や酪農・・鉱山の発掘など活発に行い国を営んでいる。そしてウェザーミステルは・・どうやって国を営んでいるのかまた謎なのであった。
「マリアン」
ウィルシアに名を呼ばれ、顔を上げた。机の上においてあった本を閉じる。
「んー?何読んでたの?」
「歴史書・・なんだけど、どうしてこの国の歴史書・・薄いの?」
「書く人がいなかったんでしょ」
へー・・って納得できるわけ無いだろう。
「・・ねぇシア」
「ん?」
彼の家に来てからというもの、質をしてではなく、家族として迎えられていた。前の暮らしより此方の暮らしのほうが楽しいといったら、向こうの人たちに悪い気もする・・。
「私、人質なのに、いいのかしら・・部屋一式貰った上にこんなによくしてもらって」
「別にいいんじゃなーい?そのぶんララーちゃんに遊ばれてるでしょ?」
「・・・・・・」
ララージ二アさん、普段はいい人なんだけれど・・たまに度を越した悪戯をしてくる。
「・・うっ?」
「?」
「くしゅん!!」
なにやら急にくしゃみが出てきた。
「くしゅんくしゅん!・・はぁー・・え?」
ウィルシアの目が驚きに見開いていた。
「・・何?」
嫌な予感。
「は!」
ぴょこ、ぴょこ・・これは、耳?長い?まさか
「うさ耳ィ――――!?」
「ぶはっ!?」
「シア!笑ってないで解いてー!?」
「無理だよ、コレがまじないなのかクスリでなったのかわかんないもん」
「って、きゃぁーーーーーーーーーー!何スカートの中を除こうとしているの!?シアの変態!!!」
ばっしーん!
「で!?」
「何事ですか!?」
「ニヤニヤしながら来ない!」
とりあえず一拍いて。怒る
ララージニアは全く反省する様子はなく、ニコニコと微笑んだままだ。反省してもらうのはもう諦めよう・・。
「とにかく、このふざけた魔法解いてください」
「えー可愛いじゃん」
シアをキッと睨む。
「まぁ怖い、ね!ララージニアちゃん」
「そうだね、で・・その手に掴んでいるスカートどうする気?」
「またか!」
すぱぱん!
「痛!?・・だってさ~気になるじゃん」
「なにが?」
「尻尾」
・・しっぽ?
「スカート中ではえてるのかなって」
「変態!!!」
ゴス!
「ウィルシア、こんな所にいたか」
「父上なんか用?」
「あぁ、予言爺のいうことでは、近々むこうが国に攻め込んでくるらしい」
「確率は65%」
「うーん、微妙ですなー」
「戦争?」
不安な気持になり、聞くとシアが手を振った。
「小競り合いだよ~」
「本当?良かった・・ってなんでララさん倒れてるの?」
「み、耳・・ぷぷぷ、似合ってるもうずっとソレでいたら?」
「嫌ですよ!」
人が真面目に心配しているのに、何しとるかこの人わ
「心配する必要なんて無いわよ、マリアンヌ、わが国の魔軍は強いもの。ねーレイモンド」
「あぁ、だが万能ではない、油断すれば負ける・・肝に銘じておくんだ。いいなウィルシア」
「了」
指をマリアンジェラのほうに向けて鳴らした。
「解」
ぽふ、魔法が解けた。耳がもとの普通の耳にもどった。
良かった・・。
「食事の前に私は庭の手入れをしてくるわ」
「手伝おう」
「ありがとうレイモンド・・じゃあね」
二人の仲の良い夫婦は去っていった。マリも読書を開始しようと椅子に座ったが、ウィルシアが机の上に座ったままだった。
「・・何?」
「うん」
「・・いや、うんじゃなくてね?」
「・・えい」
左手の薬指に金色のワッカが光り、その光が消えたときには、指にピッタリ指輪がはまっていた。
「・・えぇえええええええええ!?」
なんじゃこりゃー!?
「婚約指輪」
「そんな、まだ私そんな」
「OK貰ってないけどNOも言われてないし、ってことは可能性あるってことでしょ?」
「う・・で、でも」
「俺にしときなよ」
頬を優しく触れられ、胸が高鳴る。
「ここにいればさ、皆が君が好きだよ・・俺も・・君のこと好きだし」
「そんなことない」
「ないわけない・・少なくとも、君の好きな人に比べればね」
「!!」
ズキ!
「もう忘れたほうがいい!」
「嫌!」
「やっほーふったりっともー!遊びにきったよぉ?」
テルカは二人の雰囲気を読み取って止まった。
「お邪魔だったぁ?」
「うん」
「そんなことない!」
ウィルシアを押して机から落とす。
たしかに、シーヴァーは・・私を拒絶した。でも今までの想いを消すことはできない・・。
できないよ