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影姫の暴走奇譚  作者: 綴何
本編
22/71

第二十一章


「ステラ、どうしていってしまうんだね」

 彼女の家の前で、村の仲間達が次々と声をかけてきていたが、ステラはどの問いにも答えずにただ黙々と荷物をまとめていた。

「もう帰ってこないのか?」

「ステラ!」

 とりわけ若い女性の声がした。

「・・ケリー」

 ステラの姉だ。

「アンタ王様に喧嘩売って二度この国に入れないって本当かい!?」

「うん」

「『うん』じゃねーさ!!アンタ何考えてんだい!」

 ステラの手が止まった。

 昔からケリーは気が強く怒ると誰にも止められないぐらい捲くし立てる。ステラは心の中でうんざりしつつ荷物をまとめる手を止めた。

「どうせアンタ一時の感情だけでそうなったんだろ?謝れば許してくれるかもしれない!ホラ」

「ケリー!平気だってば!いいんだ、もう」

 ステラは荷物のヒモをキツクくくり、ソレを抱えて家をでた。

 家族が窓から不安そうな顔で眺めてきた。うん、親孝行できなかった馬鹿娘でごめんな

「ケリー・・姉ちゃん、母さん・・今までありがとうな」

 それだけ言うと彼女は歩き出した。

 今までずっと住んできた村を離れるのはつらいが、後戻りはできないのだから今更後悔などはしない。敵国に言ったら殺されてしまうかもしれない・・それでも、いくしかないと彼女は思った。

 たとえ、一時の感情で言ってしまったことだとしても。

(アタシの馬鹿)

 歩いていくと、馬に乗った立派な服を着た女性がいた。

「・・誰だお前」

 もしかして、王の命令で暗殺・・とかか?身構えていると女性は馬から下りた。

 長い綺麗な髪がふわっと揺れた。自分の髪の毛短いから少し・・うっとおしいと思ったので、思い切って相手の髪の毛を切ってやりたくなった。勿論しないけど

「ふん、自分はケリー・ボールドウィン・・『聖女隊』の一員だ」

「ってことは平か」

ひら言うな!!」

 歩いてくると目の前で止まり、スッと何かを差し出した。

「巻物?」

 ソレをおもむろに目の前で広げられると、なにか書かれていた。なになに

「『勅命 敵国に速やかに進入し、弱点を密告せよ』・・卑怯だなおい!!」

「卑怯言うな!これも戦略の一つなのじゃ!」

 ステラは目の前の長身の女性を見た。

 ケリーっつったよな~?あたしの姉と同じ名前じゃん。しかも同じぐらい気が強いなぁ・・よし、もし自分の周りに女の子を産んだやついたら忠告してやろう!『ケリー』は駄目だと

「なんか失礼なこと考えておらんか」

「別に・・てかアタシ流刑じゃないの?」

「流刑ついでだ、向こうは何を余裕ぶっているのか知らんが、我国から出でいくものをあっさり回収するからな、お前なら口が固いだろうという判断でのことじゃ」

 成程、まぁ否定はできないな。

「分かった、受けてやるよ」

「上からじゃなお前」

「あ、でも条件ある」

「なんじゃ!」

 ステラは指さした。

「馬おくれよ」

 徒歩は無理だろ徒歩は。ずっと悩んでいたところだったんだよなー、村で馬飼ってる人がちょうどあきないに出ていたところだったんだよ

 ラッキー

「・・やるか!」

「えぇー」

 この平はえらそうなわりにはケチだった。

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