第十八章
「きょうで、一週間か・・」
敵国に来て一週間たった。この一周間がまたスリリングだった。
まず、レイモンドさんが戦友だと紹介してくださった方が巨人族でとても大きなお方だった、名前は確かクレト魔将軍といった、彼について回る雑兵のショーン・チャイは、もとは私と同じ故郷出身だと聞いた。何故ココにいるのかという経緯は聞かなかったから分からない。でも彼女はとても将軍に懐いていて、昔の自分と重なって眩しかった・・。
次に奥様のララージニアさんは暇だといっては王宮に行っていた。帰ってくると決まって向こうでちょろまかした御菓子を私に下さったけれど、たいてい魔法でできた悪戯お菓子なので食べないことにした。
それからウィルシア
「・・今日はテルカ・ユサラ殿のところかな」
テルカ・ユサラはとてもテルーカ・エニシンとそっくりなのだが、まず性別が違うし、本人も違う赤の他人だといっていた。
確かにユサラのほうが寡黙で威厳ある将軍だ、エニシンは軽いマッドサイエンティストだ・・全く違う
ウィルシアはどちらとも仲がよかった。
「マリアン」
「シア、帰ってきたの?」
ココに来たときにウィルシアがいきなり出だしたのはあだ名を決めようということだった。
ということで私はマリアン・・で、ウィルシアのことはシアと呼び合いあうことになった。今ではもう、なれたものだ。
「寂しかったー?」
「レーガンがいたから寂しくなんて無かったわ、ね」
「ばふ!」
レーガンは毛が長い犬だ、何故かばふっと吼える。ある意味五月蝿くないからいいけど、悪いところは中々自分の足で歩こうとしないところだ、今も転がって移動している。
「歩きなさいよ」
ばふばふと足元で吼えるので仕方なく抱き上げる。
「マリアーンヌ!」
あだ名がレベルアップしている。
「ララーちゃんどったの?」
「あら、いたのウィル」
スタスタ歩いてくるとマリの肩を掴んだ。
「さぁ、遊びに行きましょう」
「え?どこへ?」
嫌な予感
「王宮よ!」
・・予感は的中した。
主人公じつはコッチにきたほうが笑っているという・・、