第十三章
「ウィルシアといったな、貴公・・魔法使いの分際でわが国によくもコレたものよ」
「あーまぁ余裕っすよ」
皆がしんとなった。
どうやらこの人は天然らしい、もしくはこういう性格なのか
「何しに来た」
「わが国に跡取りがいないことはご存知ですよね?そちらには三人の姫がいらっしゃる、こちらは一人もいない・・言いたいこと分かりますよね」
「ミケーレをそちらに渡せというか」
「はい」
ウィルシアは全く物怖じせずに言う、ケリーと影でその様子を見守っていた。
「義兄様を寄越せと言いに来たの・・?」
「そうみたいだな・・って義兄様?」
王様は少し黙っていたが、宰相などが王様に何か耳打ちをする。
「条件は」
「我国王は協定条約を結ぶと仰っていましたが?」
「・・」
「逆にこうもお考え下さい、拒否した場合・・此方は実力行使させていただく」
義兄様がウェザーミステリに行ってしまう?義兄様が行ってしまったら・・まさか・・インファやシーヴァーも行ってしまう?!
行ってしまったら・・もう二度と会えない?
そんなの、そんなの・・いや!!
「お、おい!マリアンジェラ!」
どうして!!どうして!シーヴァー!!シーヴァー!!
「・・?」
ミケーレの部屋に行く、何も知らないミケーレがお茶を自分で用意していた。
「義兄様ぁぁぁああああああああああああ」
体当たりをするとミケーレはあっさりと倒れた。
「どうして、連れて行ってしまうの?!」
「え?」
「うぅ、うぅぶふぅうぅ」
「え?え?え?」
・・。
「そうなんだ・・」
「はい」
時間が少しして私はやっとのことで説明した。
そうしたら、ミケーレは私の頭を撫でながら微笑んだ。相変わらず頼りになりそうもない弱弱しい笑みをみせながら・・。
「君は本当シーヴァーのことが好きだねぇ」
「うん・・」
「まぁ、親みたいなものだからね」
「・・」
お茶を下げに来たステラが驚いた顔をした。
「あれ!お前、聖女隊になったんじゃなかったっけ?」
「うん、ちょっと戻ってきた・・」
ステラも椅子に座って頭をなでてくれた。
「っていうかさ、ウェザーミステルって国は魔法使いの国だろう?」
「うん」
「ミケーレ様さぁ・・魔法使えんの?」
二人でミケーレを見た、ミケーレはそういえばと首をかしげた。
「生まれてこの方使ったことなんて無いよ?」
「「だよねー」」
使えてたら使えてたでこの人なら何か大変なことをやらかしそうだ。
「義兄様、王様になれるの?」
「・・マリアンジェラ」
「はい」
ミケーレの顔が真剣なものになった。
「実は・・頼みがあるんだ」
「?」