第4話 ほんわかクレープ
ゆるやかでほっこりした日常系の話を書いてます。
1話あたり2~3分で読める短いショートショート形式で、基本的にどの話からでも楽しめるようにしていく予定です。
楽しんで読んでもらえると嬉しいです。
週末のショッピングモール。
私たちはアパレルショップの扉をくぐった。
入り口で、美羽ちゃんが小さくぴょんっと跳ねて目を輝かせる。
「わー!いっぱいあるー!どれにしようかな!」
その小さなジャンプに、思わず私も笑ってしまう。
空さんは落ち着いた足取りで店内を見渡し、私にそっと声をかけた。
「葵、どの色が合うと思う?」
私は笑いながら、彼の隣でシャツを手に取る。
「このブルー、落ち着いてていいと思いますよ。」
空さんは小さく頷き、照れたように目をそらす。
その仕草が、なぜかちょっとかわいく見える。
美羽ちゃんは手に取れるだけ洋服を抱え、楽しそうに試着室へ駆け込む。
「葵お姉ちゃん、これ着てもいい?」
「もちろん。でも、お店のものだから汚さないように気をつけてね。」
膝丈のワンピースに着替えた美羽ちゃんは、鏡の前でくるくる回り、ツインテールをふわふわ揺らして満足そうに笑った。
「どう?かわいい?」
その笑顔に、思わず頬が緩む。
空さんは数枚のシャツを見ながら悩む。
「これ……いや、こっちかな。」
「試着してみたほうが早いですよ。」
私の言葉に、彼は少し照れくさそうに頷き、試着室へ入って行った。
しばらくして現れた空さんを見ると、美羽ちゃんの目がまん丸になり、思わず小さな拍手が飛ぶ。
「かっこいい!空お兄ちゃん、そのシャツ似合う!」
空さんは照れ笑いを浮かべながら少し肩をすくめ、私の方に目を向ける。
私もつられて微笑む。
二人の無邪気なやり取りは、いつも胸がほっこりする。
買い物を終えた私たちは、ショッピングモール内のクレープ屋さんに立ち寄った。
ショーケースには苺やバナナ、リンゴが彩りよく並び、甘く香ばしい香りが漂っている。
「どれにする?」
美羽ちゃんは迷わずチョコバナナを指差しながら叫ぶ。
「私、これ!」
空さんは少し考え、苺とチョコソースの組み合わせを選んだ。
「葵は?」
「私はバターシュガーにしようかな。」
注文を済ませると、店員さんが薄く焼かれた生地にたっぷりのクリームとフルーツを巻き、チョコソースや粉砂糖で丁寧に仕上げてくれる。
「いただきます!」
三人で同時に頬張ると、口の中は幸せでいっぱいになった。
美羽ちゃんは口の周りにチョコクリームをつけながら、にこにこ笑う。
「おいしー!」
空さんはその様子を見て微笑み、そっと私の手を握った。
「こういう時間も、いいね。」
私も小さくうなずく。
甘くて少し冷たいクレープを味わいながら、肩を寄せ合って歩く午後。
三人で過ごす、何気ない日常が、そっと私の心を温めてくれた。




