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ありふれたひと時に、微笑みを  作者: 白熊 猫


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18/20

第18話 お絵描き猫パン

ゆるやかでほっこりした日常系の話を書いてます。

1話あたり2~3分で読める短いショートショート形式で、基本的にどの話からでも楽しめるようにしていく予定です。

楽しんで読んでもらえると嬉しいです。

今日はずっと楽しみにしていたアニメの日。

でも、テレビの画面に映し出されたのは、まさかの「緊急ニュース」の文字だった。

「えーっ、アニメは……?」

私はソファにごろんと倒れ込み、クッションを抱きしめる。

ずっと楽しみにしてきたのに、見られないなんて、やだ!

「美羽ちゃん、元気ないね?」

キッチンから葵お姉ちゃんの優しい声が聞こえる。

「だって、楽しみにしてたアニメが見られないんだもん……。」

ぷいっと顔をそむける私に、葵お姉ちゃんは小さく笑って言った。

「じゃあ、代わりに楽しいことしようか。猫パンを作ってあげるね。」

「ねこ……パン?本当に!?」

思わず跳び上がって、キッチンの葵お姉ちゃんを見つめる。

「葵お姉ちゃん、はやく作って!」

ソファに座ったまま、わくわくしながら見守る私。

ボウルの中で小麦粉と牛乳、卵がふわりと混ざり合う。

葵お姉ちゃんの手で、丁寧にこねられていく生地。

やわらかく整えられ、猫の形に成形されると、オーブンの中へ。

じゅうじゅう、と小さな音を立てながら焼かれる生地から、甘くて幸せな香りが部屋中に広がった。

「もうすぐできるよ。」

焼きあがったパンをお皿に置く葵お姉ちゃん。

そこにあるのは、まんまるでかわいい猫の形のパン!

「かわいい!」

「ここからは美羽ちゃんの出番ね。」

葵お姉ちゃんがチョコペンを渡してくれる。

「やった!おめめとおひげを描くよ!」

小さな手でそーっと線を引く。

にっこり笑った猫の顔が完成する。

「できた!すっごくかわいい!」

ソファに持っていき、2人でひと口。

ふんわり温かく、甘い香りとカリッとした表面が口の中でほどける。

猫の形が少し崩れてしまうのは残念だけど、美味しさに勝てず、ついぱくり。

「おいしいね。葵お姉ちゃん、また作ってね!」

「もちろん。今度はもっといろんなお顔も描いてみようね。」

テレビは見られなかったけれど、猫パンのおかげで、心はぽかぽかになった。

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