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ありふれたひと時に、微笑みを  作者: 白熊 猫


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17/20

第17話 くるくるたこ焼き

ゆるやかでほっこりした日常系の話を書いてます。

1話あたり2~3分で読める短いショートショート形式で、基本的にどの話からでも楽しめるようにしていく予定です。

楽しんで読んでもらえると嬉しいです。

「はい、空さん、この竹串でひっくり返してみて。」

葵が笑いながら、たこ焼き器を指さした。

じゅうじゅうと生地の焼ける音。

香ばしい香りが部屋いっぱいに広がっていく。

「けっこう難しいな……。」

「がんばれ、空お兄ちゃん!」

隣で美羽が小さく拳を握って応援してくれる。

休日の昼下がり。

リビングのテーブルにはたこ焼き器。

窓から射す陽が、鉄板の上でゆらゆらと揺れていた。

「自分で作ると楽しいね!」

美羽が目を輝かせながら言うと、葵はエプロン姿で笑い、材料をてきぱきと並べていく。

まずは生地作り。

ボウルに薄力粉とだし、卵を入れて、泡立て器でくるくる。

美羽が両手で懸命に混ぜていたけれど……。

「わ、ちょっと飛んじゃった!」

頬に粉をつけたまま、ケラケラと笑う。

その姿があまりに無邪気で、思わずこちらも笑ってしまった。

「私が混ぜようか?」

「ううん!わたし、やる!」

美羽の小さな手が、また一生懸命に動き出す。

そんな光景を、葵はどこか優しい目で見つめていた。

鉄板が温まり、油をひくと、じゅわっと音が弾ける。

その瞬間、美羽が目をまん丸にして叫んだ。

「おお……! お店みたい!」

「さ、いくよ。生地を流してー……はい、次は具材を入れて!」

葵の声に合わせて、私と美羽はおそるおそる具を落としていく。

「タコ入れた! ネギも入れた!」

「空お兄ちゃん、ここスカスカ!」

「あ、ほんとだ……しまった!」

笑い声が弾けて、部屋の空気がさらにあたたかくなる。

少し焼けてきたころ、葵が竹串を器用に動かして、たこ焼きをくるりと回した。

その動きがあまりに滑らかで、美羽と二人で思わず拍手してしまう。

「すごーい! 職人さんみたい!」

「コツをつかめば誰でもできるのよ。ほら、空さんもやってみて?」

「こう……か? ……あっ、崩れた!」

「大丈夫、大丈夫。落ち着いて。」

そんな他愛もないやりとりをしているうちに、香ばしい匂いがいっそう強くなる。

焦げ目がついて、丸く膨らんだたこ焼きたちがころころと転がった。

焼き上がったたこ焼きをお皿に盛り、ソースをたっぷりとかける。

青のりとかつお節が踊るたび、美羽が「わぁー!」と歓声を上げた。

「じゃあ、いただきます!」

「いただきます!」

ひと口かじると、外はカリッ、中はとろっ。

だしの香りとタコの弾力が口の中で広がっていく。

「うまいな……自分で作ると格別だ。」

「うん!おいしいー!もう1個!」

美羽は熱々のたこ焼きをふーふーしながら頬張り、 葵はそんな二人をやわらかい笑みで見つめていた。

窓の外では、ゆっくりと日が傾きはじめている。

笑い声とソースの香りが混ざって、休日の午後は穏やかに過ぎていった。

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