第12話 ポップポップコーン
ゆるやかでほっこりした日常系の話を書いてます。
1話あたり2~3分で読める短いショートショート形式で、基本的にどの話からでも楽しめるようにしていく予定です。
楽しんで読んでもらえると嬉しいです。
ぽつ、ぽつ、ぽつ。
窓の外では、静かに雨が降っていた。
せっかくお外で遊ぼうと思ったのに……。
私はソファに寝転がって、つまらなそうにため息をついた。
ガラス越しに見える外は雨粒でぼやけていて、外で遊べそうにない。
すると、キッチンから葵お姉ちゃんの明るい声がした。
「じゃあ、美羽ちゃん。おうちで楽しいおやつを作ってみる?」
「おやつ! なに作るの?」
「ふふっ、ポップコーンよ。」
「わー!映画館のやつ!好き!」
私はぱっと体を起こして、ソファから飛び降りると、キッチンへ駆けていった。
葵お姉ちゃんはフライパンを取り出して、小さな粒をざらざらと入れる。
「これが弾けてポップコーンになるのよ。」
「ほんとに!?こんなちっちゃいのがポップコーンになるの?」
「うん、見ててごらん。」
火をつけると、フライパンの底からじわじわと温かい音が広がっていく。
背伸びして、椅子の上に立ちながら目を輝かせた。
どうなるのかな?
「ぱちっ!」
1粒が跳ねた。
「わっ!」
続いて──「ぱんっ、ぱちぱちっ!」と、次々に白い花が咲くように弾けていく。
「すごーい!雪みたい!」
小さな粒から大きなポップコーンになって、すごい綺麗!
葵お姉ちゃんが蓋を押さえながら笑う。
「ね、楽しいでしょ? もう少しでできあがりよ。」
部屋の中に、香ばしい匂いがゆっくりと広がっていった。
「いいにおい!早く食べたいな。」
「ちょっと待ってね。味をつけるからね。」
葵お姉ちゃんが塩をぱらぱらとふり、バターを溶かして全体にからめる。
そのとき、空お兄ちゃんが顔をのぞかせた。
「お、なんだこのいい匂いは?」
「ポップコーン! 葵お姉ちゃんが作ってくれたの!」
「おお、いいなあ。みんなで食べよう。」
テーブルの上に、大きなお皿を真ん中に置く。
「いただきまーす!」
指でつまんで口に入れると、ふわっと軽くて、ほんのり塩とバターの味。
「おいしい! ぽりぽりしてる!」
空お兄ちゃんも笑いながら頬張っている。
「うん、これは美味しいな。映画でも見ながら食べたいくらいだ。」
「じゃあ今度は、おうちで映画館ごっこしようよ!」
そう言うと、葵お姉ちゃんが嬉しそうに笑った。
「美羽ちゃんの好きな映画を、みんなで見ましょうね。」
窓の外では、まだ雨はやまない。
でも部屋の中はあたたかくて、バターの香りでいっぱい。
空お兄ちゃんの笑い声と、葵お姉ちゃんのやさしい笑顔に囲まれて、私は思った。 雨の日も楽しい!




