表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありふれたひと時に、微笑みを  作者: 白熊 猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/20

第11話 おやすみホットミルク

ゆるやかでほっこりした日常系の話を書いてます。

1話あたり2~3分で読める短いショートショート形式で、基本的にどの話からでも楽しめるようにしていく予定です。

楽しんで読んでもらえると嬉しいです。

「ねえ、空お兄ちゃん……まだねむくないの。」

布団の中から、美羽の小さな声が聞こえてきた。

時計の針は、もう夜の九時を回っている。

今日も一日、外で走り回って遊んでいたのに、まだ目はぱっちりと冴えているようだ。

「もう寝る時間だぞ。」

「でも……ねむれないの。」

うるんだ瞳で見上げられると、どうにも弱い。

小さな体を抱き寄せ、髪をそっと撫でてみても、美羽はくすぐったそうに笑うだけで、寝そうな気配はない。

「……ホットミルクでも飲むか?」

「飲む!」

ぱっと花が咲くように、美羽の顔が明るくなった。

キッチンに降りて、小鍋にミルクを注ぐ。

弱火にかけると、ふわりと甘い香りが漂いはじめた。

スプーンでゆっくりかき混ぜるたびに、白い湯気が立ちのぼる。

ほんの少しだけ、はちみつを加えて味見する。

うん、美羽の好きな甘さになってる。

マグカップに注いでリビングに戻ると、美羽は毛布にくるまって待っていた。

「わあ、いいにおい!」

「熱いから、気をつけて。」

カップを両手で持たせると、湯気の向こうでほっぺたがほんのり赤く染まっていた。

「……あったかいね。」

一口飲むたびに、彼女のまぶたが少しずつ重くなっていく。

「ねえ、空お兄ちゃん。」

「ん?」

「大好き。」

その言葉に不意に胸の奥がじんわり温かくなった。

笑って「ありがと」と答えるのが精一杯だった。

飲み終えた美羽を抱き上げて、寝室へ戻る。

毛布をかけ、髪を撫でると、彼女はもう半分眠っていた。

「おやすみ、美羽。」

「……空お兄ちゃんも……いっしょに寝よ……。」

その言葉に思わず苦笑しながら、隣で横になる。

やがて、小さな手が探すように伸びてきて、俺の袖をそっとつまんだ。

静かな寝息が、部屋の中に満ちていく。

カーテンの隙間から差し込む月明かりが、淡く二人を照らしていた。

まだ少しだけ残るホットミルクの香りの中で、俺は小さく息をつく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ